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84 ほしいもの

「……これ……」


キラキラひかる、もの。


「稜華さん?何か見つけまして?」


手元を、セレーナさんが覗き込んでくる。

私の目の前にある、キラキラした小さいもの。


「イヤリングね。最近流行り始めてきたものよ。確か、耳につけるのだったかしら?」

「そうです、伊緒さん」


いやりんぐ……。

イヤリング。……知ってる。私、知ってる。


「お客さん、それがお気に入りで?」


声の方を振り返ると、年齢不詳の女性がいた。腰も背筋もピンと伸びていて、年がとっているように見えない。


「それはつい昨日、仕入れたものだよ。若い者の間で流行り始めていると聞いてね」


だけど、口調は、お年寄りっぽい。


「あの、これ……」

「どうしたんかい?」

「この、飾りの部分を好きな形に変えること……できますか?」


その人はイヤリングを覗き込むとう〜んと唸る。


「できなくは、ないね」

「ホントですかっ!?」


だとしたら。


「どういう風にしたいのか。言ってごらん。言うのはタダだ」

「えっと、片方を花、もう片方をそれぞれ別のものに……あ、全部で6つです」

「6つ!?」

「はい」


普通に6つってビックリだよね、うん。私もびっくり。

なにせ、6姉妹ですから。


「……詳しく」

「あ、はい……右側は全部花です。赤、青、黄、緑、白銀、虹色で」


店主さん?はどこからもなくメモ帳を取り出し、メモっていく。


「左側なんですが……赤の花には鳥を、黄の花には月を。青の花には雫を。緑の花には太陽を。白銀の花には銀狐を。虹色の花には虹を」


……全て、私達を表すもの。


「花はどんな花かい?」

「えっと、シンプルなスタンダードなものでいいんですけど……」

「分かった。出来上がるのは……1週間後だね」


1週間で作れるんですか!? 6つもあるのに。

すごいです。凄すぎです。尊敬します。


「大丈夫です。ありがとうございます」

「ダンジョン攻略どころか、合同文化祭にも間に合いますわね」


そうですね〜。


「そっちの嬢ちゃん達はどれにする?」

「わたくしはこれですわ」


セレーナさんが持ってきたのは高級そうなハンカチ。


「ああ、それかい。で、もう1人の嬢ちゃんは?」

「……これです」


桜川さんは豪華な髪飾り。

和服にとても似合いそうな、綺麗な作りのものだ。


「……あの、お代は……」


私はかなり細かく注文してしまったし、実際はオーダーメイドというやつだろう。


「出来上がった時でいいよ。そっちの嬢ちゃん達は値札がついているからね」


なるほど。受け取りに来るときに。


「恐れながら、お客様を選ばせて頂くソーニョ・ネゴーツィオは、お客様のお望みをお叶えます。……ご来店頂き、誠にありがとうございました」


チリン、と言う音がして。

気づいたら、私達は店の外に立っていた。


「……不思議なお店でしたわね」

「そうね」


どこかふわふわしたまま、私達の足は勝手に寮へ向かう。


「そろそろ帰る?」

「そうですわね。帰りましょう」


既に帰りかけていますけどね。

寮に着いたら2人は荷物をまとめる。明日からは平日で、授業もあるからそれぞれに学校に戻るのだ。


「じゃあ稜華、次の打ち合わせの時にね」

「お互い、頑張りましょうね、稜華さん」

「……はい。お二人も無理しすぎないでください」


まぁ、私は副生徒会長ですし?

一説によると副会長が一番楽らしい。

それぞれの学校へ帰っていった2人を見送ると、私は部屋に戻った。


部屋には誰もいなかった。

……飛華、生徒会長だし、忙しいんだろうなぁ。

きっと、かなりの責任も付随してくるだろうし……。


そんなことを考えていたら瞼が重くなり、私は寝てしまった。




**




「……さん。紫月稜華さん」


現在地、寮のエントランス。現在時刻……朝、7時。昨日は珍しく早く寝て、つい先程まで寝ていたのだ。うん、グッスリと。気持ち良かった。そんな朝です。

受付嬢に呼び止められた。うん、受付嬢。だって受付にいる若い女性だから。


「お手紙が届いています」


は?

私に手紙を送る人物なんて見当たらないんだけど?

親はいないし、親戚もいない。親らしい親といえばミアだけど。

だけどミアは絶対にこんなところへ手紙を送らない。そもそもミアは手紙を書かない。なんでも、あまり文字を残したくないみたいで。過去に筆跡から自分のことを割り出されて、どうのこうの……で、ストーカーだったとか。結果的に炙り出せたからよかったとか言っていましたけどね、ええ。

だから、ミアは必要最低限のメモしかしないし、もし書いたとしても使わなくなったらすぐ燃やすそうだ。どうしてもっていう時は筆跡を変えたり、タイプライターを使っていたりするけど。


「送り主様は『ソーニョ・ネゴーツィオ』店主、となっています。……お心当たりは」


ソーニョ・ネゴーツィオ……。

なんだっけ? えっと、えっと……。


「あ、あのお店ですね。心当たりがあります」


思い出した。桜川さんとセレーナさんと行ったお店、だけど……。


まだ、3日しか経っていない。


店主さんは1週間って言っていたのに。

倍以上のスピードで仕上げたのかな?計算的に。


「ありがとうございます」


私は手紙を受け取るとポケットにしまい込み、食堂へ向かった。


「稜華、なんだったの?」

「手紙。週末に桜川さんとセレーナさんと行ったお店の人から」


飛華と並んで歩きながら話す。


「へぇ〜。あの時か。大丈夫だった?」

「なにが?」

「ほら……会長、なんというか、キャラが濃い、じゃない?」


あ〜、確かに。

2人ともお嬢様。しかも他大陸から渡ってきた一族の末裔と宮廷音楽家の天才少女、だよね。そりゃあ、キャラも濃くなりますわ。

この2人に限ったことだけでなく、飛華も青龍希翠も魔術師の【研究成果】。【研究成果】ということを抜きとしても、飛華はすごく強いし、1年生の時から生徒会長。うん、色々と目立っているね。

もう1人の生徒会長、冴島フーガのことはよく知らないけど……。


「……うん、なんとかは、なったよ」


実際は制服のまま街に出ようとしていましたけどね。

私がいい感じの服屋に連れて行ったので結果オーライです。


「なら、良かった。……というか、桜川会長で思い出したんだけど!」

「何?」

「稜華、桜川会長からの食事のお誘い、断った時あったよね!?」


え?

あ〜、そんなこともあった気がする。


「麗羅巻き込……連れて行ったんだけど、『生徒会長同士のお話、でしたわよね?』って、フラウト会長に言われたの! いたのは、桜川会長とフラウト会長と冴島会長で、青龍会長、いなかったのに!」


……お疲れ様です。

まぁ、私が言ったんだよね、生徒会長同士の話って。気づかなかった飛華も飛華だと思うんだけどなぁ……。


「でね、その食事の席がものすご〜く怖くて! 周囲に全然人が寄ってこなかったのよ!?」

「……飛華、分かったから音量を下げよう」


注目されています。

だって、生徒会長の愚痴ですもん。気になりますよね。一大スクープです。


「……分かったわ。それで、冷え込んだ雰囲気で。桜川会長とフラウト会長がうふふおほほな会話をしていて、冴島会長は黙々と食べていて、時々なんかすごく斜め上なこと言って」


わぁ、ご飯が不味くなりそう。

うふふおほほな会話ってなんでしょうね?普通の世間話なんでしょうか。

それとも、誰かの……って、これはないね。流石にあの2人は場を弁えるでしょう。私は信じています。


「私、あんなにマズ……美味しくなかったご飯は初めてなの」

「え?去年とか一昨年は食べなかったの?」


あの2人は結構強そうだけど。見た目に反して。生徒会長でなくても、生徒会には入っているぐらいだと思うんだけよね。


「えっと……あったような、なかったような……」


つまり嫌な記憶すぎて飛華の記憶から消されているってことか。なるほど。


「飛華、去年はあの会長さんたちとご飯、食べていないよね、美華」

「そうだね、風華。去年は先に私たちとご飯を食べていたからなんとか乗り切れたんだよ」


へぇ〜。

今年は運が悪かったと。なるほど。


「というか、週末も桜川さん達、来るんじゃない?」

「いやあぁ〜〜!!」


……マジで嫌われてるな、桜川さん達……。

むしろ180°ぐらい回って可哀想です……。

桜川&セレーナコンビは雲の上の人すぎて遠巻きにされています

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