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77 お嬢様な生徒会長

「色入り。知らないか?」


バクバクと、心臓の音はより一層大きくなる。

息をするのも苦しくて、目の前が暗くなっていく。

……ダメだ。ちゃんと、何もないように、取り繕わないと。今、この場では。


「もしかして、色鉛筆ですか〜?持っていません〜」

「陽華ちゃん、それ、明らかに違うと思うけど……」


2人が答えている間に、私は大きく息を吸い、顔を上げる。


「……そっちの副会長は?」

「すみません、私には色入りが分かりません。……なんなんでしょうか?」


私は今、上手く取り繕えているだろうか。

目があったとき、バチリと何かがぶつかる。……何かじゃない。魔法だ。幸い、防げたみたいだけど……向こうは、私の情報を、見ようとしたのだろうか。

だけど、青龍希翠はそんなことを感じさせないぐらいの自然体だ。


「……そうか。紫月会長、ありがとうございました」

「私は別に何もやっていないから大丈夫です」


飛華がそういう。

とりあえず何とか逃げ切った、みたいだ。

だけど、逃げ切るのはこの場だけでいい。


「青龍会長、また明日」

「明日もよろしくお願いします」


そう、明日は休日。だけど、時間がないし(予算を削るため、かなり貸切期間を短くしているから) 明日も会議なのだそうだ。休日出勤とか、マジブラックなんですけど。

そして転移人の使用には膨大な魔力が必要となるため、できるだけ使用回数を減らすようにするらしく、他校の生徒は王都校の寮を借りるか、王都の宿を取るらしい。大多数は寮らしいけどね。だって、タダだから。ただ、転移魔法とか、空間移動系の魔法が使えたり、飛行魔法で行き来する自信がある人は帰っているみたいだ。

要するに、転移陣は動かさないから、自力で帰れない人は王都にいてね、と言うことだ。


「じゃあ、まっすぐ帰る?美華」

「そうだね、風華。転移魔法で帰ろうよ」


あー、私、ですね。いつも通りのヤツですか。

分かりました。私も早く帰りたいし。


「飛華ちゃん、早くして。帰るよ。……別に歩いて帰ってきてもいいけど」

「ゴメン、すぐ行く」


麗羅先輩と話していた飛華はすぐにこちらにきた。早い。歩いて帰るのが相当嫌なのでしょうか。


「……、寮の部屋に転移」

「魔法支援」

「魔法補助」


魔法が発動され、私達は寮に部屋に帰る。飛華と私に部屋だ。


「はい、魔力回復」


風華が私達に回復魔法をかけてくれる。別に回復させるほどでもないんだけどね……。


「風華にしては上出来だよね」

「風華ちゃん、ありがと〜」

「ありがと」


小さくお礼を言っておく。

……美華のお礼が皮肉混じりだったのは気にしないことにしよう。


「それにしても、なんで青龍会長は私達に色入りを知るかって聞くんだろうね?」

「私達?風華ちゃんも聞かれたの?」

「風華だけじゃないよ。飛華も、私もそうだった」

「多分、私達以外には聞いてないのよね」


……青龍希翠は、聞く人物を選んでいる。【研究成果】の私達にだけ、聞いているから。

姉達も聞かれたとなれば、きっとこちら側が魔術師のことを知っているか、知りたいのだろう。だけど、誰も知らなかった、と言うことだ。


「ねぇ、そろそろいい時間だし、ご飯食べに行こ〜」


陽華の提案で話は終わり、私達は部屋から出る。

……警戒心は装備、だよ。

まだ女子寮の中だから心配はないけど、食堂では青龍希翠がいるかもしれない。向こうは私が何も知らないと断定していないだろう。

どこかで、疑っているはずだ。私も、姉妹のことも。


「飛華さん」


凛とした声が、廊下に響く。

カラン、と言う音と共に、鮮やかだけど派手すぎない和服を着た人が姿を現す。授業でなければ、制服を着る必要はないから、私服を着る人が大半だ。だけど、彼女の服装は明らかに周囲から際立って見えた。


「桜川会長」

「そんな他人行儀はやめてくれるかしら?」


すごく嫌そうに眉を顰める桜川伊緒。

人を寄り付かせなそうな雰囲気なのに、飛華にこんなことを言うなんて意外だ。


「……分かりました。桜川先輩」

「ええ、それでいいわ」


いいんですか。


「一緒に夕食を食べないかと思って。ねぇ、セレーナさん」

「そうですね。わたくしも飛華さんとお食事がしたいです」


いつの間にか桜川伊緒の横に金髪ウェーブ髪の人がいた。

しかも、私、ミア以外で一人称がわたくしの人は初めて見た。2人ともめっちゃお嬢様感が漂っているんですけど。


「申し遅れました。わたくしはソル・ジェンテ校、生徒会長のフラウト・セレーナですわ。どうぞよろしくお願いしますね」


え、マジお嬢様なんですけど。

マジで真面目にお嬢様ですね。大事そうなので2回言いましたけど。


「これはわたくしも名乗った方がいいかしら?」

「そうではなくて?」

「……改めまして、クアットロ・ラーゴ校、生徒会長の桜川伊緒です。どうぞ、よしなしに」


お、おおう。


「わたくしは飛華さんとお食事をできればと思ったのだけど……よろしければ、妹様達もどうかしら?」

「私には荷が重いです。ね、美華」

「そうです。辞退します。風華と一緒に」


フラウト・セレーナのお誘いに双子、即離脱。


「あ、向こうに友達がいるので、私はつむぎちゃんと一緒に食べます〜」

「じゃあ、私も。会長、失礼します」


陽華と夢華も離脱。


「……残念ね。嫌われているのかしら。……ところで、残っていらっしゃる副会長はどうするのかしら?」

「わ、わわ、私、も、研究があるので、失礼しますっ」


……すみません、本当は研究がそんなに危機的な状況でもないです!別にめちゃくちゃ順調って言うわけでもないですけど。


「ちょっと稜華……」

「どうぞ生徒会長同士でしか語り合えないことにお時間をお使いください」

「それは嫌みと受け取ってもよろしくて?」

「ご自由に」


私の知ったことじゃありませんからね。

というか、桜川伊緒、喧嘩腰にならないでくれます!?


「お嬢様な人達に囲まれてご飯食べるなんて私、無理なんだけど……」

「麗羅先輩を呼べば?」

「そうね!」


飛華の憂鬱そうな表情は一瞬にして明るくなる。

……麗羅先輩、すみません。私達のために尊い犠牲になってください……!


「では、私は失礼します」


私は挨拶し、横を通り抜ける。

研究がって言ったことだし、研究室に行きますか。食堂で夕飯はテイクアウトでもして。


「食堂へ、転移」


そうだね。最初から転移魔法で逃げればよかったんだ。しくじったね。

ご飯を受け取ると、今度は研究室へ転移する。珍しく、ヘリコニア先生は研究室にいない。

……いや、いない方が当たり前なのか?流石に授業の準備とかあるだろうし……。

ご飯を食べようと蓋を開けたところで私は手を止める。


「……情報強化」


体力と、筋力と、運動神経を。

窓から外に出ると、近くにある木に飛び移る。研究棟の近くには薬草園や植物園が広がっているから、夜は鬱蒼としている。だから、周りがよく見えない。そもそも私、目が悪いし。


「情報強化」


視力と、夜目を。

……よし、見える。

少し先に、黒い人影がある。

私はその人影を目指して走り出す。人影は、逃げる。私は、追いかける。

上下左右に、木々の障害物なんてないかのように、動き回る。その細かい動きに、見失いかける。

突然、フ、と人影が消えた。

……え?どこに行ったの?






──ガンッ……!


突然、背後に衝撃が走る。


「ガハッ……!」


……痛い。熱い。痛い……。

そして、体が宙を舞った。あたりの木より高く。

上がる時は、ゆっくりに。そこで一瞬、止まる。あ、空がめっちゃ綺麗だわ。

そんな呑気なことを考えられていたの一瞬で、ガクンとなったと思うと、ものすごい勢いで地上が近づく。


「ひゃぁ……っ!」


こ、ここ、これ、落下してますぅ!?


「じょ、じじょ、情報操作……!」


なんとか、ふんわりとした着地になる。

無理やり自分の体を制御したんで、重心がグラングランしているんですけど。


「……思ったよりしぶといな」


別にあなたに言われたくないですよ。

木の影から姿を表した人物に向かっていう。


「それは、こっちのセリフです」


ホント、とんでもない手間です。





















「青龍希翠」

本作3大お嬢様の登場です!

桜川伊緒、フラウト・セレーナ、もう一人は……多分後から出てきます。

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