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73 デジタルくん、改めタブレット

「……では、解説をできる人は?」


後5分ほどで授業が終わると言う時間。

私はぼんやりと、窓の外を眺めた。

飛華との全力勝負の時には鮮やかな緑だった木々も、徐々に色づいてきている。


「……では、紫月夢華さん」

「はい。この問題では……」


夢華は立ち上がり、ハキハキと解説を述べる。真面目だなぁ。

授業で発言するとか。私は絶対やらないね。だって、めんどくさいんですもん。

……というか、私のこの授業態度でよく注意されないものだと思う。


あのあと、私に関する批判は、徐々に収まった。

数週間たった今では、もうすっかり聞かない。ただ、今でもちょっと遠巻きにされているかな、って感じだけど一時期に比べれば断然マシ、なのだろう。

後、飛華の火力とスピーチの効果も高かったと思うんだよね。

だって、選任祭とは桁違いの火力なんだもん。見ている方もヒヤヒヤしますよね、あれは。やっぱり、我らが生徒会長、って感じだ。貫禄もあるし。

そこで、授業終了を告げる鐘が鳴る。


「それでは、今日はここまで」


挨拶の後、フーッと背伸びをする。うん、気持ちいい。

いつもならこの後、すぐに研究室に直行するけど、今回はそれ限りではないんだよね。


「陽華ちゃん、稜華ちゃん、行こっ!ほら、つむぎちゃんも!」


今日はなんかの打ち合わせで、生徒会の集まりがあるのだ。

1日中、真面目に取り組んでいたのに元気な夢華には、感心するよ、ホントに。


──前にも言ったけど、稜華ちゃんは、1人で抱え込みすぎなんだよっ!


耳を裂くような、悲鳴に近い夢華の声が、耳をよぎる。


──夢華ほどまではいわないけど〜、私も稜華は無茶しすぎだと思うよ〜。


そう、言われた。全力勝負の後。

特に夢華は、珍しいぐらい、すごく取り乱していて。


──もし、飛華ちゃんの魔法のあたり所が悪かったら、どうするつもりだったの!?


口調はすごく厳しくて、だけど、私を心配してくれていることが感じられて。私は、何も言えなかった。

どうするも何も、風華にお願いするなんて、言えなかった。

いつも温厚な夢華がこれほどまで言うなんて、今までになかったから。

……結局、何かが吹っ切れたように気絶するように寝たけどね。

相当なストレス、とかだったのだろう。

ちなみに飛華は風華と美華に叱られていた。


「稜華ちゃん?」

「あ……うん。行く」


私の方を振り向く夢華は、いつも通りだ。……あの時とは、違って。

そっと、右の頬に触れる。もう、そこには傷なんてないのに。

だけど、飛華と同じ位置にあった、傷だった。

飛華か……飛華、もしかしたらバレているかもなぁ。鋭いし。

少なくとも、私が何かを隠していると言うことは、確信に変わっただろう。

……ミアのこと、バレないと、いいな。

生徒会室には、既に飛華と麗羅先輩がいた。


「あ、1年生組が来たね」

「そう、ね、麗羅……」


生徒会室の片付けをしていたらしい麗羅先輩と、ずっと書類と睨めっこしている飛華。

というか、私達も授業が終わってすぐ来たのに、もう来ているなんて凄すぎません?

各々の席につき、雑談している間に全員が揃う。


「では、全員揃ったので、第3回生徒会執行部会議を始めます」


麗羅先輩のセリフで、会議が始まる。

ちなみに飛華と私(生徒会長・副生徒会長)以外の役職は第1回生徒会執行部会議に決まった。

議長は麗羅先輩とブリティオ・バスキ。

書記がニア・ミニアと陽華。

庶務がティリ・ヴェラルドと夢華。

会計が風瀬真と美華。

広報が風華と津城さんだ。


「今日の議題は、約1ヵ月後に行われる、魔法学園合同文化祭についてです。……デジタルくん、の資料をご覧ください」


麗羅先輩はデジタルくん、と言うけど少し顔が赤い。うん、やっぱりネーミングセンスなさすぎで恥ずかしいですよね。

なので、私は異世界の英知をお借りして、タブレットと呼ぼうではないかっ!

……で、はい。タブレットには第3回生徒会執行部会議と物々しい字で書かれたファイルが。

開いてみると、今回の議題がなんとな~く見えてきた。

というか、凄すぎません?こんなもん作っちゃうなんて。


「まず、概要から説明させていただきます。広報長、お願いします」

「はい」


早すぎず、遅すぎない返事と共に風華が立つ。


「魔法学園合同文化祭は国内にある国立魔法学園5校が合同で開く文化祭になります」


なるほど。

ここ、王都校と……どこだっけなぁ。ま、いっか。


「王都の国立闘技場を明日から貸し切り、3日間に渡り、開催されます。外部からの来客も多く、王家や大臣、王国騎士団や国立研究所、有力な商家、生徒の保護者など、多岐にわたる方々が来場します。ちなみに、去年の来場者数は、1万人ほどでした。特に4年生、5年生は就職先を探す場ともなっています」


わあぉ。

凄いです。流石魔法学園、と言うべきなのでしょうか。


「生徒の出番としては、クラス単位での出店、各部活動・クラブによる発表、研究発表や企画コンペなどどです。また、同レベルの者が集まるので、顔つなぎも兼ねています」


なんか、こう……巨大イベントが一気に来た感じだね。

しかも、かなり重要だし。


「ありがとうございます。……このように、合同文化祭はイベントなので、どうしてもトラブルや争いが起きます。なので、各校の生徒会は事前に顔合わせや当日の打ち合わせを行い、当日は見回りも含め、トラブルがないようにするのが仕事です」


麗羅先輩、簡単そうに言っているけど、それって、すご~く忙しいですよね……。

私の平穏な学園生活は、どこに……?


「なので、他校の生徒会メンバーを覚えてほしいんです。だけど、まぁ、全員の顔と名前を一致させるのはめんどくさいし、難しいと思うので、最低でも名前だけ、生徒会長は頑張って顔と名前を一致させてください」


飛華……君が、メンドクサイと言ってはいけないのでは……?


「まず、王都校ですね。言うまでもなく、この学校です。3年、紫月飛華」


おぉー、我らが飛華だよ!


「ベッロ・コスタ校、3年、冴島(さえじま)フーガ」


国の南に位置し、貿易船が多く通過するから、様々な人と物で賑わっている。夏に行った、トゥリズモ・テッレーノ地域のすぐ隣にある都市だ。


「クアットロ・ラーゴ校、4年、桜川(さくらがわ)伊緒(いお)


西岸に近い地域。近くには4大湖と呼ばれる大きな湖があって、一種の観光スポットだ。


「ソル・ジェンテ校、4年、フラウト・セレナーレ」


北にある地域。王都とも近い。

それにしても、生徒会長は3・4年生が中心だ。やっぱり、1・2年生はまだまだ実力不足、ということだろう。やっぱ、飛華はすごいねっ!




「グランデ・フィウーメ校、2年、青龍希翠(せいりゅうきすい)


私達の家がある、モルタ・モンテ地域の隣……って、え?

青龍、希翠?

せいりゅう、きすい。


──色入りには、気をつけて。


ミア?


──色入りっていうのはね、名前に色が入っていることよ。


そう。そうだよ。

だから私はあの時、色入りに注意、って、自分でも言って。


──色入りはね、魔術師の【研究成果】なの。


そう。そうだよ。

だから私達の名前には、紫月には『紫』が入っていて。


……これ、どういう、ことなの?

魔術は、もういないんじゃないの?魔術師狩りで、狩られて……。

表へ、出られないんじゃないの? だって、魔術師狩りを恐れているから。何千年と経った今でも、魔術師は禁忌の対象で処刑されるんだから。


……もし、この青龍っていう人が、魔術師に作られていると知っていたら。

飛華の名前で、紫月飛華の名前で、魔術師の【研究成果】っていうことが、知られているかもしれない。

風華と美華と同じ歳だし、何かしらで飛華の存在を知って、飛華の存在を探るために来た、とかなの……?

同じ学校だと、もし、飛華が魔術師のことを知っていたら乱闘になる可能性もあるから、他校だったりするの?

……もし、相手の目的が私達の排除だったら。

ミアは、私達は。……ミアは、このことを知っているの?


「稜華ちゃん? 顔色が悪いけど、大丈夫?」

「……大丈夫じゃ、ない……」


排除が目的なら、姉妹も、巻き添えになる。確実に。


「……すみません。体調が悪いので……抜けます」

第6章 魔法学園合同文化祭編、開始です!

どうぞ、よろしくお願いします。

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