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50 原始の魔法陣

文字の解読がある程度できたら次は魔法陣の組み立てだ。

この段階でもう1つのチームと現段階の確認をした。

おかげで、数割ほど進んだと思う。

陽華と夢華もかなり効率的になる配置を考えてくれて、バッチリだ。

四方で属性が分かれるようになっていて、なんだかすごい。

……と言うわけで、魔法陣は完成だ。


「やりきった!って感じだね、美華」

「気を抜きすぎだよ、風華は。まだまだ続いているんだよ?」


確かに。

魔法陣を床に書いて、発動までしないといけないから。

それに、どんな効果が実際に起きるのかは未知数だ。

警戒するに越したことはない。


「それじゃあ、魔法陣、書こう?稜華、お願いしていい?」


飛華の頼みなら喜んで、です。

私は大きなペンを持ち、床に完成した魔法陣を描いた。

それぞれの属性が一箇所に固まっていて、互いに効果を及ぼしている魔法陣だ。


「……魔法詠唱、するね。みんな一応、魔法陣の上で固まっていよっか」


飛華は、緊張を隠しきれていないようだ。

少し、胸に何かが詰まったような顔をする。

姉妹全員が飛華の元に集まる。

夢華と私を中心に置き、4人の姉が私たちを囲むように背中合わせでそれぞれの属性に向かって立っている。

みんなが位置にいるのを確認すると、そこで、飛華が大きく息を吸った。



「……火よ、燃え上がれ。全てのものを焼き尽くすように」



静かな、しかしあつい、深い詠唱。

飛華が向いている方向にある文字が詠唱に呼応するように赤く発色する。

この詠唱に、全力を、全ての集中力を使っているようだった。



「風よ、吹き荒れろ。全てのものを破壊するために」



風華が詠唱する。

飛華の右隣に位置する文字が黄色に光る。

さらり、と述べられているが、言っていることは、詠唱の意味は重い。



「水よ……渦巻け。全てのものを飲み込むように」



美華が詠唱する。

飛華の左隣に位置する文字が青く光る。

深く、涼やかな。流れる水のようだ。



「土よ、地を響かせろ。全てのものを無にするために」



落ち着いた、揺るぎない詠唱。詠唱により、緑に光る。

まるで、陽華そのものだった。

これで、()()全ての文字が発色した。




……次は、私だ。

実際、指示された詠唱には入っていないけど、4人の負担をできるだけ減らすために、私達も詠唱をすることにした。

魔法陣の位置は、魔法陣の外側の円、それから少しだけ、文字がある。


「……無よ、集え。我らの望む場に」


他の姉妹より少しだけ短い詠唱。円が、白銀に光る。

だけど、これでいい。

私は、サポート役。本来なら、必要ないはずの詠唱だから。

だけど、やらないよりは、何倍も、何十倍もいい。

だって、重要だから。

無となったモノを、全て集めて。


「複合させよ。全ての秩序を正すために!」


内側の円が虹色に光り、魔法陣が一層強く、カッと輝いた。

複合され、新たな物質になる。

これこそが、還元、だ。

全てを破壊した後に、もとに戻す。

これほど残酷で優しい魔法陣は、あるのだろうか?

たとえ原始の魔法陣といえど、ないと私は思っている。

そこで魔法陣が作動したのか、ゴゴゴ……という大きな音が聞こえてきた。

一体、何が起こるのだろう。

不安半分、期待半分、という感じだ。


「風華、浮遊魔法!」


1番最初に反応したのは飛華だった。

ふわり、という浮遊感。下を見ると……床が、なかった。


「美華、夢華は支援と補助。陽華は一応、防御をお願い」


飛華が素早く指示を出していく。

そんな中、私の名は呼ばれない。


「飛華、私は!?」


何か、しないといけない。

だけど、分からない。どうしたらいいのかが。


「稜華は待機!」


浮遊魔法で浮いていると言っても、さすがに限度がある。

かなりのスピードで落ちていっているのは事実だ。


「なんで!?」


このままじゃ、危ないのに。

もしかしたら、天井も崩れるかもしれないのに。


「今は、落下していっているの、分かっているよね!?みんな、できることを全力でしている。……もちろん、私も。本音は、稜華も手伝ってもらいたい」


飛華はそう言いながら、何か手はないのかと攻撃魔法を放っている。だけど、何かに当たったところですぐに無効化されてしまっていた。


「だけど、それだと誰かがミスったときに……フォローに回れる人がいなくなるっ!」


あ……。

そうだ。

飛華は全体の指示と、攻撃魔法を。

風華は浮遊魔法を。

美華はその支援を。

陽華は防御を。

夢華は風華の補助を。

それぞれ、全力でやっている。


「なんでも小回りが効いて、威力があるのは稜華なの!」

「……分かった」


ここで私が何かして、フォロー要因がいなくなったら。

いざという時、困る。

本末転倒、だ。


それにしても、随分と長い間落下している。

風華が浮遊魔法で原則させているとはいえ、落ちれば落ちるほど、その速度は上がるだろうし、このままでは落ちた時の衝撃がすごいことになるだろう。

それで全身骨折とかは絶対に避けたい。

全ての回復を風華に頼むのも酷すぎだろうし……もしかしたら落下で死ぬかもしれないし……。


だとしたら、クッションのようなモノの上に落ちるか、風華の浮遊魔法でふんわりと落ちるか……。

だけど、後者だとやはり風華の負担が、そして支援と補助をする美華と夢華の負担が大きくなってしまうので却下だろう。

となれば、クッションのようなものの上に落ちるしかない。クッションに適すモノ……魔法で、作り出せるもの。


「美華!水!水、だせる!?」


美華の属性は水。

すなわち、美華は支援以外にも、水の魔法も適性が高めなのだ。

風華が浮遊魔法を使ったのも、風華が風属性だから。


「はっ!?どういうこと!?」

「いいから、とにかく早くっ!」


ずっと、ずっと落ち続けている。きっと、この状況は良くない。

だから。


「分かったっ!夢華、風華のフォロー、お願いっ!」

「了解っ!頑張ってね、美華ちゃん!」

「……うん!ありがと。行くよっ!……出でよ、たくさんの水!」


その言葉と共に、辺りにたくさんの水が出現する。


「……情報収集、情報操作!」


美華の出現させた水を集めて、空気と言う情報で包み込んで。

本来なら、こんなものでクッションなんてできないだろう。




だけど、ここは、不思議な世界だ。

『チキュウ』ではない。

魔法がある、どこか不思議な世界。

だから、こんなことだって、できるはず、だから。




「風華、浮遊魔法を解除して!」

「え?でも……」

「いいから、早くっ!」


浮遊魔法を解除した次の瞬間。

私達の身体はボスン、と水のクッションに沈んだ。

……成功、だ。


「……で、結局、ここは祠のどのへんなの?」

「分かるわけないよ、飛華ちゃん」


ですよね~。


「というか、ずっと落ち続けてたのにクッションに着地した瞬間、落下が止まったよ、美華」

「だよね。クッションが浮ているってわけでもないし、何かの上に載っているというわけでもないのに」


あはは。

どういうことなんだろうね~。


「とりあえず、辺りを見てみる~?といっても、視認はできないから稜華にお願いすることになっちゃうけど~」


そうですね、そうしましょう。


「……情報探査」


……うん、凄いつくり。

私達が魔法陣を展開したところは真上にある。はるか真上。

そこからず~っと縦に長い空間が伸びている感じ。私達のいる上にも下にも。

魔法陣がそのままストン、と真下に落ちているような感じだ。

よくわからないけど、私達は長~い空間の真ん中のほうにいるみたいだ。

というか、なんで落ちていたのに急に止まれたんだろうね。

思えば、衝撃で跳ね返るってこともなかったし。


「どこか、出口はありそう?」


あ、そうでしたね。もともとの目的はそうでした。

探しますね、はい。

多分、あの魔法陣を発動した時点でこの空間に来ることは計算されていたはずだ。

そうなると、この空間の壁沿いにあることかもね。

情報の探査網を広げていく。


「……見つけた」


見つけた。

おそらく、唯一の出口。


「えっと、こっち側の壁側、少し上の方に長方形の空間があって、多分そこが外とつながっているかな」


こっち側、とは魔法陣を展開した位置でいうと陽華がいた、土の方向だ。


「じゃあ、私が浮遊魔法を使っていく、でいい?」

「風華、私が支援するから」

「あ、風華ちゃん。私も補助するよ」


というわけで、珍しく私は役目なしだ。


「……行くよ」


風華は息を大きく吸い、詠唱を始めた。


「魔法発動範囲、半径5メートル。対象者、姉妹。到着目標、出口。……浮遊魔法、発動」

「魔法支援」

「魔法補助」


魔法が発動し、私達は浮き、出口まで行く。

薄暗い、というか真っ暗な空間の中、自前の明かり(魔法でつくった)で先へ進む。

歩き始めて5分ほどたった時、少し先に、光が見えてきた。


「出口……かな?」

「とりあえず、早く行ってみようよ~」


陽華のその一言で皆が走り出した。

え?それアリ?

私は走り出した姉妹を追いかけるべく、魔法で体力とかを強化して走り出した。











暗闇を抜けた先には、明るい空間が広がっていて。

台座の上に、()()()()()()

今話で50話目となります。

初めての連載ということもあり、自分でも設定が甘かったなぁと思うところもありますが、ハッピーエンドに向けて頑張っていきたいと思います。


これからも、6姉妹の物語をどうぞよろしくお願いします。

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