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24 魔法式

翌日からは特にあの元貴族も突っかかってこなくて、スムーズだった。

これって、『チュウカンテスト』だよね、時期的にも。

今日の1時限目は魔法学の1つ、魔法座学だ。


1番最初は思いっきり勝負って感じだったけど、その後から今日までの授業は座学一本だ。

言うところの、『馬鹿どもが調子に乗りすぎないように初回はぶっ潰したが、その後は座学で魔法の常識を身につけないと危険すぎて魔法行使を許可できない』だろうで。

……ゴメンなさい。

既に授業と日常最低限以外で使っています。

昨日、うるさいから黙らせました。魔法で。


「今日も前回に続き、魔法式についてです」


今までの授業で属性、魔法適性、魔法力、魔力、魔力貯蓄量の主要5項目をやって、これらが高い傾向にある人こそ、魔法能力が高い、と言うみたいだ。

他にも主要5項目の詳細、つまり属性の種類や希少属性、魔法の種類などをやって、後は魔法発動の流れ、魔法ランクについて……などなど。

とにかくメチャクチャいろいろなことをやっている。

魔法の1番基礎的な部分で、1番複雑で、1番躓くところだ。

今日はそのうちの1つ、魔法式についてだ。

前回の授業で、少しだけやった。

今日はその応用で、自分で魔法式を成立させる、と言うものだ。

元々ある魔法式に穴があって、そこにあるものを当てはめ、成立させる。


「早速ですが、例題を解いて頂きます」


先生がそう言った後、私達のデジタルくんに通知が届く。

いくつかの端末から、着信音が聞こえた。


「ダウンロードした後、解いてみてください。こちらで採点をするので、解き終わったら提出してください。時間は15分です。時間になったら、こちらで強制的に提出するよう、プログラムしてあります」


私はファイルをダウンロードしながら思う。

ほんと、変なところだけ最先端だよね。

ダウンロードとか、端末上で提出とか、プログラムとか。


「全員ダウンロードできましたね?では、始め」


ファイルを開くと、そこには5問の魔法式がずらりと並んでいる。

まぁ、時間的にもこれくらいの魔法式が妥当か。

まずは……点火の魔法だ。しかも、発動時間は1秒まで。

でも、これは簡単だ。世にありふれ、多くの場面で使われているから、1度は見たことがあるはずだ。

足りないのは……勢い、かな。この魔法式は、1発でつけることが難しい。

だから、魔力を増やせばいい。私は魔力増加を表す記号を書いた。

魔法式とは、『ホウテイシキ』のようなものだ。

周りのものから推測して、当てはめて、式を成立させればいい。


2問目からも簡単なものだ。

少しずつ難易度は上がっているけど、有名な論文とか本、日常にあるものばかりだ。

だけど、最後の5問目。残り時間は、あと13分だ。

この魔法式は見たことも聞いたこともなかった。

効果は多分、小規模な雷を大量発生させ、エネルギーにする、と言うものだ。

これ、『デンキ』だね。

問題点はまず、穴が多すぎる。効果と発生するものしかない。

つまり、過程が抜けているのだ。全部。


小規模雷を大量発生させる。それで、エネルギーにする。


それしか、ないのだ。

だから過程を全て考えないといけないってわけだ。

まずは……エネルギーへの変換法、だ。

雷=イコールエネルギーではない。

雷≠エネルギー、だ。

雷+プラスa=エネルギーになる。

そのaを探すか、考えなければならない。

雷は、そのままだと、ただの自然災害だ。

それを、有益なものに変える。いかに安全に、便利に、手軽に使えるか。

そこにかかるのだと思う。

そのためには、雷を1度、何かに貯めてから、変換するのが現実的だろう。

そうなると、[雷→b]+a=エネルギーになる。


次はbを求める……?

いや、そのままでいいのかな?

ほら、時々あるんだよ。

未知の物質すぎて、未知物質の記号のまま、魔法式が成り立つっていうのが。

この場合も、未知の物質だから、


[雷→a]=エネルギー


になる。

……これで、いいのかな?

私は問題を見直すと、提出した。

先生が、片眉を上げる。

……合っていますように。


時間になり、全員の解答が回収された。

そしてすぐに先生が採点を始める。

その間、生徒は口々に感想を言っている。

難しかっただの、なんだの。


「稜華~全部できた?」

「……まぁ。最後の問題は少し自信ないけど……」

「稜華ちゃん、解けたの?」

「解けていないわけじゃないと思うけど……2人も、解けたんでしょ?」


2人が、解けていないはずない。


「まぁ、解けたけど……稜華ちゃんみたいに、理論的に解いた訳じゃないし……」

「なんとなく当てはめただけで、合っているか、怪しいし~」


それを才能と言うんだよ。

2人は感覚で魔法式を立てて、魔法を行使している。

曰く、なんとなくわかる、らしい。

なんか、これはここにいそうだな~、仲良さそうだな~みたいな感覚で。

凄いと思う。


「……採点、終わりました。満点の人、いましたよ」


その言葉にザワッと教室が騒がしくなる。

答案が、返却された。

1つ2点の、10点満点のテストだ。


私は、10点。

満点だ。

良かった。

エネルギーの問題も不備がないみたいだ。

それにしてもすごいね、先生って。

5分ぐらいで40人分の回答を採点するって……。

1分8人のペースだよ。

あ、でも私は時間内に提出していたし、他にも時間内に提出した人がいただろうから、実際はそれよりもう少し遅めのペースなんだろうけど。


「1問目は大体の人ができていました。まぁ、当然ですが、2問目以降は正答率が落ちていきましたね。5問目の正解者は3人だけです」


それはそれは。難しい問題を出して来たのですね。

教室は誰だと騒がしくなる。

……なんで人は犯人探しが好きなんだろう?


「紫月姉妹ですね」


大勢の視線が、こちらに向けられる。

陽華はニコニコしているだろうし、夢華は平然としているだろう。

……こう言う時って、どうしたらいいの?

私にはわからない。

「模範回答、見せてくださーい!」


誰かが言う。


「模範解答なんて、ありませんよ?」


当然の如く、先生が言う。

まぁ、当たり前だよね。

魔法の可能性は、無限大だから。


「魔法式の組み合わせなど、数多あるからですよ」


生徒からは不服の声が漏れる。


「私的には紫月姉妹の解答が模範解答でもいいと思いますよ。……公開して、いいですか?」

「私は大丈夫です~」

「陽華ちゃんに同じく、です」

「……構いません」


果たして、私達の解答が参考になるのかは不明だけど。

感覚で当てはめている2人と、ぐだぐだ考えながら当てはめている私。

参考になる気がしない。

先生はスクリーンに3人分の回答を並べて映す。

……ここも最先端。

デジタル系だけは発展しているよね。


「まず、1問目ですね。火力や周囲の環境の変化、魔力の量を増やす、などでしょうか」


魔法式は、成り立てば正解だ。

だから、このように同じ魔法式でも解答が異なることがある。

そう考えると、それを採点した先生はすごい。


「……最後に、5問目です」


スクリーンに、解答が映し出された。

陽華と夢華の回答は、至ってシンプルだ。

単純な結果が、書かれているだけ。

そんななか、私の魔法式は異色を放っていた。

膨大な計算式と、謎の記号……。

2人の解答を見た後に見れば、一見、本当に成り立つのか?と感じられるほどのものだ。

式の周りが真っ黒だ。

全く使わない記号もメモとして書かれているから、余計に。


「解説、お願いできますか?」

「なんとなく、感覚で当てはめちゃっているので~」

「稜華ちゃんにお願いします!」


そんな。

確かに2人は理論ではなく、感覚派、というか直感派だ。

だけど、その分シンプルで、分かりやすいのに。


「……だ、そうですが?」

「……分かりました」


私は立ち上がり、魔法式の解説を話し始めた。


「まず、雷そのままではエネルギーにならないので、何かしら手を入れることが必須です。そのため、私は雷+a=エネルギーと考えました。aは仮定なので、現段階で求めなくて大丈夫です。ですが、雷そのままだと、危険なものでしかない。そのために、安全な物質に変える必要がありました」


そこで1度、息を吸う。

というか、これを解説と言っていいのだろうか。


「そうなると、[雷→b]+a=エネルギーとなります。bもまた、仮定であり、未確認物質です。雷を別のものに変えられたのであれば、仮定物質aを足す必要はありません。ですので、最終的に[雷→a]=エネルギーとなります」


かなり掻い摘んで簡単に説明したのに簡単じゃなくなっている気がする……。

なんとなく、研究発表会的なノリで言っちゃったけど、いいのかな?

それに、この魔法式、すぐに使えるものじゃないと思うし……。

そう言う意味では、陽華と夢華の方が、よっぽどいいんだろうし……。


「と言うわけです。流石、と言うべきなのでしょうか」


一体何が流石なのでしょうか。

私には理解ができません。


「紫月姉妹の場合は行き過ぎですが、理論と直感。この2つをうまく組み合わせると、魔法式を立てるのがラクですよ?」


そ、そうですか。


「それでは、っと」


顔を上げた先生が、ニヤリと笑う。

……怖っ。

何が起こるの?


「テスト勉強、しないでもらえます?」

稜華、研究者っぽいですよね。

実際、研究者ですが。

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