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15 先生ーっ!魔法、ぶっ放してもいいですかーっ!

「それでは、戦闘(コンバッティメント・)開始(イニーツィオ)、です」


その声と共に、実技場は森へと変わる。

何これ。めっちゃカッコいい。

欲しい。作りたい。研究したい。

いや、それよりも。


「先生ーっ!魔法、ぶっ放してもいいですかーっ!」


こんなに大声出したの、初めてかもしれない。

でも、これはかなり重要だ。


「どうぞ。ただし、実技場の結界は壊さない程度にお願いします。……というか、貴女達はBランク魔法以下の魔法しか使ってはいけないの、忘れてません?」


……忘れて、ません。

すみません、忘れかけていました。


「まあ、忘れていないのであれば問題ないのですけどね」


それきり、先生からの返答はなかった。

つまり、本当に戦闘開始、ということだ。


「稜華、夢華、協力する〜?」

「しよう。というか、しないと辛いよ。陽華ちゃんの防御は凄いし、稜華ちゃんは応用を効かせてくれるし。私だけじゃ、できないこともできるようになるから。むしろ、こっちがお願いしたいくらい」

「……私も、大丈夫。お願い、します」


やっぱり、2人といるのと1人でいるのは安心感が違う。

よく一緒に魔法をよく使っているから、勝手もわかるし。


「じゃあ、私は防御に徹するね〜」

「私は、攻撃で」


3人だと、どうしても後方支援に偏ってしまう。

攻撃は飛華がずば抜けているから、必要以上に磨かなくてよかったからだ。

だけど、3人の場合、攻撃役がいなくなってしまう。

陽華は防御に回すので正解だ。

そうなると、私が1番攻撃できると言っていいだろう。

夢華は全体のフォローと補助に長けているし。


「なら、私は後方支援と補助で!」


大体の方針は固まった。

正直、Aランク魔法が使えないのは辛い。

高威力の魔法は相手に大きなダメージを与えるのに便利だ。

中威力だと、どうしても1発で仕留めるというのは難しい。

ただ、精度を上げれば、それなりにダメージを与えることができると思う。


「盾、張っておくね〜」

「うん。……とりあえず、闇雲に魔法を打つのはやめて、向こうが攻撃してくるまで待とう。陽華、大丈夫そう?」

「ぜんぜん余裕〜」


ならよかった。

先生のいる位置が分かるまでは大人しくしているのがいいだろう。

他の人たちは既に大まかな方針や役割分担は決まったみたいで、魔法をバンバン放っている。

だけど、バンバン魔法を放っている人は魔力の底が見えてきている。まぁ、魔法の精度が荒くて、あまり魔法の意味がないけど。

魔法を放っても姿を見せず、反撃もしてこない中、魔力に不安が出てきたのか、焦りが顔に出ている。


「おいっ!怖いから隠れてんのかっ!?」

「違いますよ」


元貴族君の問いに、すぐに返答が来る。

流石に驚いたみたいだ。

いや、私も驚いているけど。


「そんなことしなくても、勝てます。あなた達くらいなら。……むしろ、方針が決まるまで待っていてあげたのですよ」


既に手加減されていたか。

私達の行動も予想済みらしかった。


「背後も、しっかり警戒したほうがいいですよ」


いつの間にか元貴族君の背中側にいた先生は魔法を放つ。

決して、強いわけではない。Cランク魔法だ。

だけど。


「う……」


そのまま倒れた。魔法で、弱い電流を流しているのだろうか。

ちなみにこの世界に電気はないけど、雷はある。つまり、雷を操る魔法はあるのだ。

だから、電流を流すことができる、らしい。


「陽華、盾のなかは干渉されずに維持できる?」

「もちろん〜。盾の中は外から干渉できないよ〜」


なら、今のところ大丈夫そうだ。

電流ってビリビリしていて痛そうだし。

それで集中力が削がれたら魔法に精度が下がってしまう。


「ナメないでくださいね。私はあなた達より長く生きていますし、様々な事をしてきましたから」


先生の使っている魔法って、なんなんだろう。

せめて、属性と適正魔法だけでも知りたい。


「情報透視」


先生を【情報】として見てみるか。

少し、防御が厚い。普通ならスルッと見れるけど、情報にカギがかかっているようだ。

なら。


「情報解除。情報透視」


鍵を開けて、情報を見るまで。

動いている先生に伴うように、半透明の板みたいなのが動く。

『げーむ』とかである、『すてーたす』みたいだ。

ふむふむ。

闇属性、虚偽系魔法。

魔力貯蓄量は……。


「わっ……!」


その時、バチッと何かが弾けた。

手が、痺れる。ジンジンと熱を持った痛さだ。

先生のほうを見てみると、半透明の板が消えている。

つまり。

……魔法が、弾かれた。


「稜華大丈夫〜!?」

「結構バチッてなっていたけど……」


正直言って、他の人の相手をしながらこっちの魔法を弾くのは考えてもいなかった。

……向こうのほうが、上だ。一枚、上手だ。技術力も。


「……うん、大丈夫」

「なら、いいけど……」


ちょっと、いやかなり痛いけどね。

まぁ、気にするほどでも無いでしょ。

本当にヤバめになったら情報修復で治せばいいし。


「先生の属性は闇。適性魔法は、虚偽系魔法、だよ」


これだけは、絶対に伝えないといけない。

これから、重要になってくるだろうから。


「闇属性!?」

「それって、希少属性じゃ、ないの〜?」


そう。

闇属性は基本4属性に含まれていない。

つまり、希少属性だ。

属性の持ち主がいないからサンプルが多く取れない。つまり、詳細がよくわからない。

未知数ばかりだ。


「多分、闇属性だから、闇の範囲を伸ばして温度を下げているんだと思う。あと、虚偽系の魔法で、【真実】を【嘘】に変えているのかもしれないし、これからするかもしれない」


細かいことは、分からない。

これらは全て推測でしかない。


「油断だけは、しないで」

「おっけ〜」

「了解っ!」


盾の外を見ると、既に戦闘不能となった人たちが綺麗に並べられている。

まだ生きているはずですけどね。

よくそんな余裕がありますねと言いたい。

そして、最後の1人が倒される。


「さて、やっとあなた達の番ですね。本来なら最初にやっておきたかったのですが、何せ、馬鹿どもが邪魔してきそうなので」


先生の目は、獲物を狩るような目だ。

本気で、潰そうとしてきている。


「散々個人情報を盗み取ったようですね、紫月稜華さん?」


……すみません。

だけど、それは戦略としてアリだと思うし。

作戦の一部。そう、作戦の一部だから、しょうがないっ!


「ちょこちょこと他の馬鹿どもの補助をしていましたね、紫月夢華さん?それに、馬鹿どもの防御をしていた紫月陽華さん?」


……陽華も夢華も、そんなことしていたんだ。

気づかなかった。

そうなると、かなり2人は魔力を消費しているかもしれない。


「まぁ、いいです。……容赦なく、潰すだけですから」


怖っ……。

恐怖しかない。


「陽華ちゃん、防御をお願い!」

「わかってる〜!」


ガン、と盾が震える。

攻撃系魔法が、当たった。

盾は、まだ破られていない。

陽華が、盾を強化したから。

だけど、Aランク魔法以上が使えない中では、何度も強化するのは難しい。

……早いところで決着をつけないと。

そして、もう1発の魔法が放たれる。


「情報操作」


魔法の軌道を、ズラして。

そうすれば、陽華は盾を強化しなくてもいい。


「……なかなか、やるようですね」


そうです。

私達は、やれるんです。

6人いれば最強、3人だと怖いものなしです。

……攻撃魔法が当たる時はめちゃくちゃ怖かったけど。


「私は、負けたくないです~!」

「というか、40人vs.先生なんだから、こっちに1人でも残っていればこっちの勝ちだよ、陽華ちゃん、稜華ちゃん!」


なるほど。

誰か1人でも残ればいいのか。


「情報操作」


私達に向けられた【情報】を、相手に返す。

【情報】の時間を戻して。


「っ……!」


もう、1撃。

そうすれば、こっちが有利になる。


「……しょうがないですね。Bランク以上は使わないと自分でも制限をかけていたのですが……貴女達に手加減は無用のようです」


まさか、かなり手加減されていたの!?

今までのは本気じゃないってこと、になるよね?


「トゥット・ブジ―ア」


その言葉と共に。魔法発動と共に。


全て、ウソになる。


私が放った魔法も、陽華の防御も、夢華の補助も。

全て、ウソになった。

放って、いないことになった。

次は、向こうが、魔法を放ってくるだろう。

……ヤバい、このままだと、姉妹そろって、共倒れ、だ。


「陽華ちゃん、できるだけ盾を強化して!私も補助するからっ!」


2人が防御に徹するなら。

私は魔法を放って、最低でも相殺、出来たらダメージを与えればいい。

2人が、勝ちに行こうとしている。なら、私は合わせるだけ。

勝ちにいかないと、いけない。



……負けたく、ない。



「まぁ、次で終わり、ですね。……テンペラトゥーラ・カンビャメント」






だから、勝たないと。











「流星群……ッ!」

稜華vs.トランクイリタの魔法対決。

果たして、勝負の行方は!?

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