12 貴女に感謝を
「ちなみに、あなたの姉たちの見分け方はありますか?」
検査する手を止め、研究者先生は問いかける。
あ〜、なるほど。確かにそうなるか。
「まず、飛華ですかね〜。生徒会長で、3年花組に所属していて、長女です〜」
「……ハキハキしていて、意見は率直に言っています」
「飛華ちゃんは藤色でロングの髪をハーフアップにしてます」
飛華の見た目は優しそうなお姉さんだけど、実は結構裏では毒舌だったり、強烈な攻撃魔法を容赦なくバンバン放ってたりする。
「風華は副生徒会長で、2年雪組、次女で双子の姉です」
「意見は優しめにいうことが多くて、天才肌なんです。風華ちゃん」
「楝色でストレートの髪の毛をボブのしていて、耳にかけています〜」
風華は仕事ができるカッコいい女性、という感じだ。
「美華ちゃんは2年雪組所属、双子の妹です。」
「どんなことにも現実的で、風華と同じ天才肌でもあります〜」
「風華と同じ楝色の髪色で、ロングのウェーブです。ワンサイドアップ……?とか言うやつにしているらしいです」
夢華の髪がキツネの尻尾だったら美華の髪はネズミのしっぽ見たいな感じだ。
私には尻尾としか感じられないけど。
「……なるほど?多分、覚えました。ありがとうございます」
研究者先生はそう言うと手を動かし始める。
先生が属性検査装置に一瞬触れた時。金色に光った。
「無属性、ですね」
研究者先生が私の検査結果を読み上げる。
しっかり修復したし、グレードアップしたから、希少属性もしっかり計測できる。
「……情報系魔法、ですか。適性魔法」
その、少し怪しむような口調に、ドキッっとする。
……大丈夫。大丈夫の、はずだから。
「魔力の質も高い。魔力貯蓄量も……多い、ですね」
魔力の質は、高ければ高い分だけ、1度の魔法で使う魔力が減るから、魔法力とも関係している。
まぁ、高ければ損はないけど。
「これで検査は終わりですね。……お約束の研究。手伝ってくれますね?」
きっと、私達の魔力の質、魔力貯蓄量はほぼ同じだったはずだ。こんなことは尋常ではない。
それは、わかっている。このことを、姉妹は知らないことも。
「先生、その前に詳細くんで、検査してみたいです〜」
「……しょうがないですね。では、そちらからやるとしますか。後でしっかり研究も手伝ってくださいよ」
研究者先生も、一瞬は疑問に思っただろう。
でも。
「稜華さん?やらないのですか?」
不自然な私を、私達に突っ込まないでくれて。
……ただ、めんどくさいとか、興味がないとか、そういう理由だったとしても。
それぞれを、区別して、呼んでくれたのも。
例え、ただ一回だったとしても。
「……ありがとう、ございます」
嬉しいんだ。
こうやって、1人1人、認識されたことが。
「なんですか?お礼は構いませんよ。ただ、実験の過程と結果、考察を下されば。……というか、それ以外はいりません」
……やっぱり、研究者先生は研究者先生だ。
研究さえできれば、他はどうでもいい。
そういう人だから、信用できる。
だって、研究さえ協力してれば、私の心は抉られないから。
それは、大きい。
「先生、紙、ありませんか?記録したくて」
「その辺にあるんじゃないですか?自分で探してください」
「ちゃんと整理整頓はしといたほうがいいですよ〜。あ、私たちで掃除、してもいいですか?」
「ダメです。私は今の状態で、どこに何があるということが全て分かっているので、不用意に動かされたらたまりませんから」
……楽しそうだ。
陽華と夢華は、笑っている。
一見、めんどくさそうに対応している研究者先生の表情も、実際は明るい。
2人は、周りを明るくすることに長けているから。
一緒にいると、元気になれる。研究者先生も、その1人だろう。
「稜華、やらないの〜?」
やるに決まっている。
修復だけして、何もしないんじゃ、勿体ない。
せっかくだから、自分がどれくらいなのかも知りたいし。
もっとしっかり、『情報』を見せてもらうだけだ。
そしていつか、再現する。……稜華だけに。
ヤバい、ギャグが寒すぎだ。稜華がいつか、なんて。
属性とかに関して、研究者先生の言っていた通り、私はすべてが同じものとは考えていない。
研究者先生は、1から100まで、って言った。
でも、それは仮定だ。その仮定を変えてみて。
最高が百じゃなくて、1000だったら?最低が1じゃなくて、ゼロだったら?
それは、いつでも考えついてしまうものだ。
属性だけじゃなくて、適性魔法も、同じだと思う。
……だって、私自身が、そうだもの。
最後のほうなので短めでした。これで入学編&基礎魔法力検査編はお終いです。
当初、第1章は入学編だけの予定だったのですが、あまりにも短すぎたので……。
基礎魔法力検査もいれました。入学したらすぐにやるし、いいかな、と思って。
次回からは授業編の予定。
これからも6姉妹の物語をよろしくお願いします。




