プロローグ
「今日はいつも以上に冷えるな…」
深い森の中、慣れない寒さを小さなテントで耐えながら眠りについた……
「エ…メル…… エル…… エメル!!!!」
俺の名前を呼ぶ五月蠅い声に導かれ、目が覚めた。そこには何故か怒った顔をして腕を組んでる、小さな妖精が居た。エメラルド色の瞳に透き通るような羽を持ち、小指サイズの身長を自慢の魔法で
人間の大きさにでしてる。美しいと言うよりは可愛いの方がお似合いな彼女の名はソニア。
「やっと起きた! もう、何時だと思ってんの!」
眉間に皺を寄せているソニアは怒った顔をしていても可愛らしく、全く怖くなかった。
「おはよう、ソニア。怒った顔も可愛いね。」
そういうと、プルプルと震えながら赤くなった顔を手で覆ってしゃがんだ。ソニアは可愛いと言われ慣れてないのですぐに照れてしまう。いわゆる照れ屋さんだ。
「まっ…またそんなこと言って! のんびりしていたら日が暮れちゃうよ!」
「わかったわかった!ごめんて、ソニア。」
照れながら怒るソニアを落ち着かせ、俺もようやく重い腰を上げた。慣れない野宿に身体全体が軋む様に痛い。そんな俺を横目に、ソニアは朝食の準備に取り掛かろうとしていた。