第1話 僕と佐藤☆
よーし!がんばって書くぞー!
「夏だぁー!!」
昼休み、佐藤はそんなことを叫んでいた。
「まだ春だよ」
「いや、もう俺の中では夏だ!サマーだ!エンドレスサマーだ!」
「春だよ。てか、エンドレスサマー関係ないし。ハルヒネタ乙」
「冷たいなぁ遊は。じゃあ何月から夏なんだ?」
「うーん…7月くらいからじゃないかなぁ?てか、今4月だよ?春じゃないか、春の真っ只中じゃないか」
「誰が4月が春だと決めたんだ?こんなくそ暑いのに春だと言い切れるのか!?」
「佐藤くん?テレビを見てごらん?春の桜特集やってるよ?それと暑いことについての愚痴は、地球温暖化を進めている先進国のお偉いさん方に言ってほしいなぁ」
「もしもし、母ちゃん?総理大臣の電話番号知らない?」
ホントに文句言う気だ!てか、お前の母ちゃんが総理大臣の電話番号知ってるわけないって!
「…え?分かった。ちょっとまった、紙とペン用意すっから。えーと…090…」
知っていた!
「よし!今から総理に文句言ってやる!」
「…うん、そだね…」
『トゥルルル…』
「くそ!総理め!居留守使ってやがる!」
いや、まだ一回しかコール鳴ってないでしょうが…。
『トゥルルル…』
「総理め!この俺がそんなに恐いか!?」
いや、総理はお前のことを脅威には思ってないと思う…。
『トゥルルル…』
「総理めぇ!俺をこけにしているのか!?ふざけやがって!今日から毎日ワン切りしてやろうかコラ!?」
むしろ怖いわ。
『トゥルル…ガチャ』
「…えーごほん、本日はお日柄も良く…」
ご丁寧だ!
『何ですかぁ〜?』
お、ケータイの音量デカいせいか相手の声も聞こえるぞ。
「お前が総理だな…!」
『違います』
違かった!
「…いや、お前は総理だ」
いや、違うって言ってんじゃん!
『違います』
あんたもツッコんであげて!多分ボケてるだけだから!…多分。
「俺は真面目に言っているんだ!お前は総理大臣なんだろう!?」
佐藤ごめん!ボケかと思った!
『違います』
あんたそれだけか!
「お前が総理なんだろう?」
『違います』
「多分お前が総理だ!」
『違います』
「総理のはずだ!」
『違います』
「お前が総理であってほしい!」
『違います』
「総理!総理!!総理!!!」
『違います』
「……分かった。だが念のため最後に聞いておこう。…お前は総理大臣ではないのか?」
『黙秘権を発動する』
なぜ黙秘権を!?
「……分かった。パス1だな」
『パスはあと2回までか…』
「いーや、誰がパスは3回までと決めた?パスは1回までだ!」
『な、何だと!?公式ガイドブックには3回までと…』
公式ガイドブック!?
「…ここでは俺がルールだ!!」
『な、何だって!?』
「フッ…、さぁ答えるがいいさ!お前は総理か否か!!」
『否。以上。ガチャ…ツーツー』
「……………」
「……………。えーと…、佐藤?」
「死のう」
「いやいやいや!!」
なぜ総理じゃなかっただけで自殺願望が!?
「何で総理じゃないんだぁーー!!」
佐藤はそう言いながら窓から飛び降りようとしていた。
「だめぇーー!佐藤ーー死なないでぇーー!!」
「いやだぁーー!!止めないでくれぇーー!!」
「死んだらお前の母ちゃんが悲しむってぇーー!!」
「母ちゃんのせいでこうなったんだぁーー!!」
「そういやそうだったぁーー!!」
こいつの母ちゃんはなぜ息子にあんなどうでもいい嘘を!?
そして電話にでたあの人は誰だったんだ!?
そして何でこんなことになったんだっけ?
「うーん…」
そんなことを考えていると、佐藤が窓から落ちないように佐藤の制服を引っ張っていた手を離してしまった。
案の定、その反動で佐藤は……
「ギャアァーーーーー!!」
落ちた。
ていうか、むしろ墜ちた。……多分。
「………………」
キーンコーンカーンコーン…
予鈴が鳴った。
「…あ、次移動教室だった」
僕は次の授業の荷物を持ち、歩き出す。
ふと、僕は佐藤のことを思い出す。
「佐藤……。君のことは忘れないよ……。」
「……おい!」
振り返ると、そこには佐藤が血だらけで立っていた。
「………誰?」
「おい!!」
まぁその後、佐藤は死にそうだったので、保健室に連れて行きました。
後々訊いてみたところ、佐藤は内臓破裂とかいろいろで、普通だったら全治1年くらいの重傷だったそうです。
でも、次の日になったらピンピンしていて、何事もなかったように学校に来ていましたとさ。
チャンチャン。
佐藤は無敵です。殺しても死にません。