カルディアの渇愛は孤独と共に

　インベルにはサフィラスが必要だ。
　孤独な生活の中で、初めて知った恋。
　それを手に入れるためには、どうしてもアウラが邪魔だった。

　半分だけ血の繋がった姉。
　同じ父の子だというのに、正妃の子というだけで、全てにおいて恵まれている姉。
　母の出自が悪いというだけで、王族として認められない自分。

　アウラさえいなければ、全てうまくいく。
　そう思い、この世から消そうとした。

　そのアウラが、まさか自分を助けようとしているなんて──
　なんて邪魔なことをするのだろう。

　ただインベルは、サフィラスと、子どもと、つつがなく暮らせれば、それで良かったのに──


『紺青の囚人は憎しみに染まる』の続編です。
　単品で読んでいただいても大丈夫だと思います。