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第7話:恥ずかしい名前の組織、陰の力って笑


―――シャドウパワーズという組織―――


「全然たいしたことねーな。」

「異例の速さだって言うからぁ、ワクワクしてたのによぉ。」

「今まで運が良かったってやつだな、たまにいるんだよ、そういう冒険者。」

「にしてもよ、あの子かわいいよな。エンジュ、だっけ?」

「そうそう。あんな鎧なんかより俺たちの方が100倍強いぜ。俺たちのとこに来ないかな」

「ていうかさ、正直、鎧の奴よりもあの女の方が強くね?」

「僕もそう思う。あの結界、ブロンズ級の魔法だったよ。まだ不慣れで、効果は微妙だったけど。」

「ブロンズ級か。なおさらほしくなったぜ、エンジュちゃん。今から俺がもらってきてやろうかな~。グヘへへへ。」



「何の話をしている?」


「ひっ!姐さん!何でもねぇっす。今のは冗談っす。」



はぁ。私はため息をついた。

私の名前はラファ。2年前までは、盗賊の頭をやっていた。

ある人との出会いが、私の人生を大きく変えた。いつものように、商人の馬車を襲っていると、その人はやってきた。いや、こちらに来るのは見えなかった。あまりにも速すぎたから。気付いた時には、私はもちろん、部下達も全員、丈夫なロープに縛られて身動きがとれなくなっていた。


 その人は言った。「世の中のためになることをしてみる気はないか?」と。

私は、何を思ったのか、すぐにうなずいてしまった。優しく問いかけてきたはずのその言葉には、有無を言わさぬ迫力があったのだ。


 そもそも、この人は私たちを殺すことなど造作も無かったはずだ。それなのにこうしてチャンスを与えてくれている。こんな人、今まであったことが無かった。そのときその人の名前を聞かなかったことが悔やまれる。次に会えたら、必ず名前を聞いて、そして・・・仲良くなりたい。こんな感情は初めてだった。

 

 まあとにかく、私はその人に言われたとおり、ある組織を立ち上げた。それがシャドウパワーズである。決して表に出ること無く、裏で様々な活動を行う。強い者達の監視も、その仕事の中の一つだ。

 今回は、異例の速さでBランクまでたどりついたという、2人組の冒険者の調査である。実力を測るため、オークの群れをけしかけた。もちろん、町の安全には注意を払っている。まず、オーク達の接近の情報を最初に流したのは部下達である。また、Aランク冒険者であるグルシアンが残っていることも分かっていた。さらに、オークのまとめ役であるオークジェネラルは、私がシルバー級魔法【テイム】によって操った個体である。故に、最終手段としては、町の侵略間近にして引き返すこともできた。あくまで今回は、例の二人組の実力の調査なのである。そのために町に被害を出すわけにはいかない。元盗賊だった私も、今ではこのようにまるくなったのである。



 私の使役する魔物の中に、アールクローというカラスの魔物がいる。映像記憶のスキルを所持しているため、監視役として役立っている。

その映像を見たのだが・・・。

少し拍子抜けした。たしかにBランクの強さはある。だが、ここまで速くBランクにたどりつけるほど強くは無い。運が良かった、というのが一番筋が通っている。

 しかしなぜだろう。私の勘は違うといっていた。どうも、違和感があるのである。

この違和感の正体はなんなのだろうか・・・?



そんな事を考えていると、はっと気付いた。私としたことが、大失態だ。私は素早く全力でナイフを投げる。こちらに向けられた視線の方向に。ナイフは壁に勢いよく突き刺さった。

「チッ素早いな・・・」


「ど、どうしたんすか、姐さん!怖かったっす。」


「お前ら、あとで鍛え直しだな。今まで気付かなかったのか?この部屋は今まで監視されていた。」

私がそう言うと、部下達は驚いた表情をして当たりを見回しはじめた。

まあ、私でさえ今まで気付かなかったのだ。部下を強く責めることはできない。


それにしても驚いた。この場所は、他の誰も知らない場所のはずだ。警戒も常に怠っていない。つけられていた?いや、昨日と今日、この場所を出入りした者はいない。まあ、一匹だけいるが、それができたらもはや神業だ。アールクローには、【高速】や【目くらまし】といったスキルがある。だからアールクローを追跡出来る魔物などまずいない。


 そしてさらに問題なのは・・・

あの魔物、もしかしてクリアスライムではないだろうか。伝説上の存在といわれる、様々なスキルを備えた上級魔物。もし、クリアスライムが実在し、しかもそれを使役している者がいるとなれば、これは大変なことである。全力で調査に当たる必要がある。

 頭の片隅に、ちらっと二人組の冒険者のことが浮かぶ。いや、それはないな、あり得ない。私はすぐに冷静になり、早速準備を始めるのだった。



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