表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

第24話 冒険者リーダー、オロッカーの絶望

なにが、、、起こっている、、、??


もう、現実だと認めたくない。そうだ、これは夢だ。悪夢なんだ。ははは、そっか、そりゃそうだよな、こんなことあり得ない。こんな、、、。だって、もしこれが現実なら。文字通り、王国はもう終わりなのだから。




2時間前。

俺たちは最後の打ち合わせをしていた。個人的には、そんなもの必要無いと思っていた。だが、ここには他の貴族派閥の冒険者も集まっている。適当にしていると後でバレる。だから仕方なく体裁を保った。



「なんで俺たちがこんなところに来なくちゃならねぇんだ。」

「王様の圧力らしいぜ。重要なミッションだとよ。」

「こんなへんぴな場所に重要もなにもあったもんじゃねぇよ。」

「ほんとね。どうせ自分の権威を示すとか、そういうくだらないことのためでしょ。」

「そんなんで俺たち、このつまらない旅をさせられてんのか。あー、帰りてぇ。」

「報酬は高いんだからよくね?」

「とはいえほぼ強制されたんだぜ俺たちは。」

「ほう、俺は自分から志願したけどな。こんなウメェ話、逃す手はねぇよ。」

「ふぅん。で、何と戦うんだっけ?」

「ゴブリンとかたくさんいるって聞いたけど、よく分からん。」

「はっはっは。ゴブリンなんかのために俺たちか呼ばれたと思うと、呆れて笑うしかねぇな。」

「Bランク以上しかいないよな、俺たち。俺たちをゴブリンと戦わせるとか、、、。ライオンとウサギの勝負じゃねぇか。」

「間違い無いわね。」



これが、俺たちのその時点での感想だった。俺もその雑談に混じって盛大に愚痴を言いたかったが、立場上こらえて、みんなを静かにさせた。


「静粛にお願いします!これより最終確認です。まず、、、。」



そして確認を終え、指定された場所へ向かう。


「リーダー。報告です!巨大な蛇を発見しました!」


「ほう。魔物か?ちょっとは面白い戦いになりそうだな。」


「、、、。」


「どうした?」


「あの〜。見間違いで無いとしたらあれは、ジャイアントスネークです。」


「本当か!!!それはいい!久しぶりの強敵だ。おい、俺のパーティが直々に出る。レッドアイズと蒼天の雷は周囲を警戒。スターダストとフォースシャドーは予定通りの方向へ進行してくれ。」



指示を出し、ワクワクしながら報告のジャイアントスネークの方へ向かう。


最初、俺は違和感を感じた。今までに一度だけ戦ったことがあるが、今相対しているそれは、あまりにも大きかったからだ。



だが、今頃逃げ出すわけにもいかない。先手必勝とばかりに、俺はジャイアントスネークに斬りかかった。



その、1秒後のことである。


な、に、が、お、き、た、!!!???



まったくこちらのことを警戒さえしていなかった相手に、文字通り全力の一撃を叩き込んだのだ。


気配を薄めにしているとはいえ、まったく警戒してこない時点で、コイツは雑魚だな、と俺は決めつけてきた。しかし違ったのだ。目の前の相手にとって、俺は警戒する必要さえないほどの儚い存在だったのだ。


その証拠に、全力の一撃は、硬いウロコに完全に弾かれて、傷1つつけることが出来なかった。



ドバッと出てくる冷や汗。

俺は、とんでもないものに手を出してしまったのではないだろうか。


相手は本当に、ただのジャイアントスネークなのだろうか。



俺は迷わなかった。こいつの近くにいたらそれだけで、死ぬ。殺される。

突然だが、空中に漂う鬱陶しい虫をハタキ落とした経験はあるだろうか。正に相手にとって、俺はその虫ケラ程度の存在なのだ。


プライドも意地も全て捨て去って、俺は全力でその場を離れた。



ぜぇ、ぜぇ。肩で息をしている。

滝のように汗が流れている。生命の危機とは、こんなにも体力と精神をエグるものだったのか。



徐々に冷えてくる頭でおれは、[最善]について思考する。


俺は、高い報酬に釣られてここまでやってきた。だから、強い敵にエンカウントしてそのまま何もせずに帰ったとあっては、報酬がもらえないばかりか、名声と信用は地の底。もう冒険者としてやっていけないレベルの出来事だ。


ただでさえ俺は、出発前に勢いよく啖呵を切ってきてしまった。それなりの成果は残さないとまずい。



つまり俺のすべきこととは。


倒せる相手を全力で倒し、その上で、敵わない相手は注意深く観察して詳細な報告を行い、情報を提供する。


そうすれば、最低限の努力はしたうえで、次に繋げるべく強敵の情報を持ち帰ったとして、それなりの功績にはなるだろう。


報酬はもちろん減らされるだろうが、信用を落とすほどのことでは無い。そして帰ったら、もうここには一切手を出さない。


あんなやつと戦うなど正気の沙汰では無いからだ。



さてと、ほかのパーティの報告によれば、北に向かうとゴブリンのパーティがいるらしい。

パーティを組んでる時点で、そこそこ知能の高いゴブリンだと思われるが、それでもゴブリンはどこまでいってもただのゴブリンだ。



勝てないはずもない。先ほどの鬱憤、はらさせてもらおうか。


こうして俺は、報告にあったゴブリンたちの方へ向かうのだった。


向かった先が、ある意味あのジャイアントスネーク(本当はアークジャイアントキリングスネーク)よりも厄介な相手とも知らずに、、、。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ