第20話:~王国にて~ リュウに仕返しするために
~王国にて~
①王様だからなんでも出来る
はあ、イライラする。俺は、あのリュウという冒険者を許してはいない。
優秀な部下を誘拐し、この俺の顔に泥を塗った冒険者。現在も行方をくらましている。
それだけじゃない。最近、人や魔物が突然消えるといった事件が急増している。これもあのリュウという冒険者の仕業に違いないのだ。
だがまあ、仕返しの計画が着々と進んでいる。
先日、空間把握魔法の使える賢者を王族権力で無理矢理よびだし、調査に協力させた。そしたらすごいものを発見したのだ。高レベルの阻害魔法の様なもののせいで今まで全然気付かなかったが、王国内のある敷地に、巨大な地下空間が広がっていたのである。
そのとき俺は直感した。そこに、全ての答えがあると。憎らしき冒険者リュウ。そして誘拐された部下。消えゆく人、魔物。それらはそこに集まっているに違いない。それ以外には考えられないのだから。
まずは、小手調べといこう。弱みを握ってあるあの貴族を使うか。ふはははは。
悔しいが、リュウは相当なやり手。俺自身が危険な目に合うのはごめんだ。まあそれでもあんな奴は俺の作戦の上では一匹のネズミのようなものだがな。ふはははははははは。
「おい、準備はもう終わったんだろうな?もうついた頃か?はやく情報を知りたいんだよ俺は。」
「はい、もうすでに出発して2時間ほど経っております。まだ連絡は届いていませんが、届き次第まっさきにお知らせいたします。」
「当たり前だ。」
ふははは。楽しみだな。例の貴族には、できる限りの戦力を使って、脅してこいと命令しておいた。成り上がりの1冒険者にはどうすることもできまい。
誘拐したやつや魔物たちを味方につけたつもりなんだろうけど、そういうのを、烏合の衆というんだよ。
震え上がって降参したところをとらえろ。もし無理そうなら殺して全然よし。そう命令してある。
国王として、このまま黙ってる訳にはいかないんだ、リュウよ。生きていることを後悔させてやろう。すまないなあ、ああ、ほんとにすまない!ふははははは。