第19話:一応主人公のリュウです。
③リュウですよ
ふう。俺はリュウ。一応このセブンスの支配者やってる。一応主人公のはずなんだけどあんまり出てこないんだよな。悲しい。まあ俺別に強く無いしな。
まあせっかく権力あるわけだし、頼もしい仲間達に囲まれてるわけだし、俺は好き勝手
やってるわけよ。助けたい奴は助けるし、嫌いな敵は容赦なく倒すし。
貴族の多くは、くだらないプライドが高くていけ好かないけど、だからといって全員が
そうとは限らない。そもそも、わざとそういう態度をとらないといけない場面もあるしな。そういうところまで含めて観察したら、ひとりいたんだよ。優秀なのにバカなフリして周りに溶け込まなきゃならなかった奴が。
不憫だから当然手をさしのべた。今はもうセブンスを気に入ってくれている。
まあそんな感じで、俺の独断でどんどん気に入った奴をセブンスの第2層に招待してるわけ。
なのにさ、なんで俺、神様と思われてるんだ?好き勝手やってるだけなんだが(笑)
まあ感謝してくれるのはうれしいし、これからも続けていこうと思うけどね。
あ、そうそう。イザベルの研究のおかげで、ついにゴールド級のアイテムの量産が可能になった。イザベルほんとさすがだわ。さっそく守護者たち全員と、ゴブリンの戦闘部隊のやつらに与えといた。これですこしでも仲間達の危険が減るといいな。
まあだいたい、こういう普通の日常を送っていると、なんか不穏な知らせがとどくものだよね。それが異世界の実力だよね。現実とは違ってイベント盛りだくさんなわけ。
「リュウ様、緊急連絡です。ある貴族が勝手に暴走し、セブンスに向かって攻めて来ました。あの領地は俺のものだ、と言い張っております。どうしますか?」
ほらね。
連絡をくれたのは、ブロークの眷属のひとり、ドラールである。脳内会話のスキルを所持している。
脳内会話って便利だなあ。これがあったら携帯の会社全部つぶれるな。そんなことを考える余裕があるほどおれ達のダンジョン、セブンスは強いと思っている。
だが、油断は禁物だ。よく、アニメや漫画で、普通なら勝てるはずのない最強な敵を倒してハッピーエンドを迎える話がある。俺は知っている、そういう最強な敵達の共通点を。ずばり、油断、慢心である。それさえ無ければそのボスキャラ達は負けるはずなどないのだ。だったら、俺はそこから学んだように、油断しなければいいのである。
さて、ダンジョンの守護全般を任せたマジョールの出番かな。そう思って、俺はマジョールに連絡を始めた。報告連絡相談、略してホウレンソウ、これは大事だからね。
表面と金だけのつながりの貴族がらみ冒険者たちに対し、俺たちは絆で連携していこうと思う。絆とか簡単にいうやつってどうかと思うけど、俺たちの場合はその言葉のまんま当てはまるからなあ。別に使っていいっしょって感じ。
で、本題に戻るけど、攻めて来た冒険者たちを問答無用で殺すのは俺の趣味じゃないし、仲間に危険が及ばない限り、とらえる方針でいこうかな。そして、俺がじきじきに面接して気に入った奴はセブンスに取り入れ、気に入らない奴は2度と関わりたくないほどの恐怖を与えて遠くへ飛ばしてやろう。俺も会社とかで、面接してあげる側をやってみたかったんだよね。うむ、いい機会だ。
まあこんな感じで俺は、ホウレンソウをしっかり行いながら、一応このダンジョンのトップとして、なるべく威厳を放ちながら頑張っていこうと思っている。