第1話:ダンジョンコアになった!?
目が覚めたら、俺はダンジョンコアになっていた。
なぜ自分がダンジョンコアになったと理解できたのかというと、神に教えてもらったからである。
どうしてこんなことになったのか。
それを遡ればちょうど一ヶ月前になる。
~1ヶ月前~
俺は夢を見た。俺はその夢を、朝起きてからもはっきりと覚えていた。
いや、夢などではない。俺はなぜか確信していたのだ。これは神のお告げであると。
夢の内容は単純だった。
{これから人類の多くは異世界に転生することになる。準備期間を一ヶ月もうけるから、その間に準備をしておくこと。}
たったこれだけである。
だが、目覚めてからも決して忘れられない臨場感と、神と出会ったことのインパクトが、俺を本気にさせた。
実は他の人もこれと全く同じ夢を見たらしい。一時期、このことで多くの人が盛り上がった。
これ、もしかして本物なんじゃね?
という声も多少はあった。しかしそんな風に話題になっていたのはいっときの事だった。日々の忙しさに流され、3日もすればそのことは他の新たな話題に塗り替えられていた。
そんな中、俺は真剣に行動し続けた。ある意味俺は、狂人であるといえるだろう。自分で自覚があるだけまだまともなのかもしれないが。
俺は考えた。準備とはなんなのか。
あらゆる情報を貪欲に探り、様々な可能性を考えた。
どのくらい本気かというと、今の職業をあっさりと辞職するほどである。
準備期間が一ヶ月しかないのだから、仕事なんかしている暇は無い、というのが俺の考えだった。一般人から見れば、これがどれだけ狂った行為に見えるのか検討もつかない。
自宅に引きこもり、情報を集める日々。
そして、神のお告げから4日目にして、不思議なゲームを見つけた。
☆準備を頑張ろうby神☆
というタイトルの、アナログチックなゲームである。
最初は、誰かがちょっとしたいたずら心で作ったゲームなのかと思った。だが、神のお告げの手がかりとなるものは今のところこれしかない。俺は真剣にそのゲームに取り組んだ。
そのゲームは、有り体に言うと、くそゲーであった。
自分は魔王で、7体の守護者がいる。指令を出し、7体の守護者達を強化していくゲームだった。これだけ聞くと、普通に面白そうに思えるかもしれない。
しかし、いかんせん、敵である魔物が強すぎるのだ。こちらの攻撃は全然通らないが、相手の攻撃を食らうと一撃で死ぬ。それくらいの差があった。弱い魔物もいることにはいるが、探すのが一苦労だった。1時間、強敵を避けながら探し回って、やっと一体の弱い魔物を見つけられる程度である。
さらに厄介なのは、食事を与える事である。7体の守護者達は、一定の時間ごとに食事を求めてくる。{食事を与える}をクリックすればいいだけなのだが、それが大変なのである。
考えてみてほしい。ろくに眠りもせず、守護者達に食事を与え続ける暇人がどこにいるのか。
・・・まあ俺は、常に二時間ごとにアラームをかけて欠かさずに与えていたのだが。食事を与えないと、だんだんレベルが下がっていくのである。これもこのゲームをくそゲーと認定している要素の一つである。
それでもとにかく、俺は諦めずにそのゲームをやり続けた。弱い魔物を倒し、少しずつ守護者たちのレベルを上げ、だんだんと強い魔物達と戦うことが出来るようになっていった。
一週間が過ぎたころ、俺は再び夢をみた。
{順調に準備が進んでいるようだな。}
神が一言つぶやいた。たったこれだけだった。
だが俺は心の底から喜んだ。やはり俺が努力したことは間違っていなかったのだ。
その後も俺は、このくそゲーの廃人となり、準備期間終了までやり続けた。その甲斐あって、守護者たちのレベルはほぼ最大まで上がっていた。
気付いたら最初の神のお告げから一ヶ月が経過しようとしていた。周りの人は何事もなく明日を迎えると信じ切っている中、俺は緊張した面持ちで眠りについた。
そして冒頭につながるのである。俺はダンジョンコアに転生していたのだ。まあこの際、ダンジョンコアが生命なのかどうかはおいておくことにする。
普通なら焦るこの状況で、俺は喜んでいた。
いつも思っていたのだ。俺には地球という世界が合わないな、と。漫画やアニメの見過ぎと言われそうだが、本気で異世界に転生したいと願っていたのである。それが叶ってうれしくないはずがない。
さて、神のお告げが本物なら、俺には7体の守護者がいるはずだ。俺が準備期間に鍛え上げたあの7体が。
しばらくすると、俺の目の前に、なにやら光輝く魔方陣のようなものが現れた。そしてその上に突如出現したのは、杖を持ち、頭から2本の角を生やした魔法使いである。
例のゲームでは、“魔法使い”と表示された、ただのアイコンを操作しているだけだったので、実際の見た目などは見たことがなかった。
だが俺にはすぐに理解できた。今現れたのが、魔法使いであると。杖を持っていたからというのももちろんあるが、それよりも感覚的な部分が大きい。
その魔法使いは、俺に向かって深々と頭を下げた。