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黒白の王と闇夜の剣  作者: 獅猫
第一章 ー真夜中の幻想ー
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3-襲い来る巨狼-

一日経っての三話目の投稿。今回は初バトル回です。

「ここがエルネの町だね」

「へぇ…」

俺たちは旅を始めて三つ目の町となるエルネの町にたどり着いた。今までの町は規模も小さく、町と言うか村だったが、ここは完全に町と言う感じだ。やっと本格的に旅をしているという気分になる。


俺たちはいつも通り宿屋の部屋に入って荷物を置いた。するとすぐさまソフィリアが立ち上がって部屋を出ていこうとする。この流れは嫌な予感がする。


「じゃあ私情報収集行ってくるね」


やはり。情報収集自体は悪いことではないのだ。だが彼女に行かせるわけにはいかない。何故なら…、


「待て。もしソフィリアが行くなら俺も行く。だってソフィリアって方向音痴スキルMAXだし」

「…う、否定はしない…というかできない…。じゃあ来る?」

「言われなくても」


俺たちは宿屋を出て町に繰り出した。そして町を歩いている時、ソフィリアが何かに目を止める。


「あ、見て!このお店って有名なシェフがやってるお店らしいの。行かない?」

「金が足りないから95%無理だよ…」


するとソフィリアは駄々をこねる子供の様に喚いた。

「お願い私がお金払うから!ね?」

「…それなら…行ってやらんでもないけど」


双方の合意の元俺たちは高級そうな店に入った。店に入った途端いい匂いがしてくる。俺たちはテーブルに腰かけた。そしてソフィリアの奢りでとても美味しい料理を食べたのだった。


「美味かったな…礼を言うよ。どうもな」

「別にいいよ。駄々こねて入ってもらったのはこっちだし」

「確かにさっきのソフィリアはホント子供みたいだったな」


俺がそう言うとソフィリアが体を乗り出してくる。

「ちょっと!?それどういう…、」


しかしその言葉も最後まで続かなかった。店のオーナーのシェフが俺たちの方向に歩いてきて声を掛けてきたのだ。


「君たち、剣士だね?もしそうなら頼みごとがあるんだが」

「えっと…俺たちにできることなら」

「実は最近ここら付近の森に巨大な狼が生息してね。ウサギや羊なんかの食材が食べられて捕れなくなったんだ。あの白狼の群れを討伐してきてはくれないか?」


俺とソフィリアは一瞬のアイコンタクトで意思疎通して言った。

「分かった。俺たちが行ってくるよ」

「いやぁ助かるよ。白狼は危険だ。くれぐれも気を付けて」


俺たちはレストランを出ると再び宿屋へ向かった。武器などの装備とアイテムを取りに行くためだ。俺は宿屋に戻ると脱いでいたジャケットと腰巻、二本の剣を装備した。ソフィリアも流麗なレイピアを装備する。

「じゃあ頑張っていこ!」

「そんな張り切って…あんま力みすぎんなよ」



♢♦♢♦



俺たちはクエスト目的地である森へと向かった。その森はうす気味悪い感じで今にも何かが出てきそうだ。

「なんだか気味悪いね…」


そう言うとソフィリアは俺の後ろに隠れた。

「…怖いのか?」


俺がそう聞くとソフィリアは小さく首を縦に振って肯定した。

「仕方ないな…。…俺の後ろいとけよ」

「うん…。そうしとく」


そうして俺たちは薄暗い森の中を進んだ。時折鳥の鳴き声や葉が揺れるのを見てはソフィリアがびくりとしていたが、そうこうしているうちにひときわ大きな広場に出た。そこには屍などが散乱している。そして俺は周囲の茂みから何かに睨まれている感覚を感じる。

「いるね。それもたくさん」

「ああ。かなりな」


俺たちは同時に武器を抜いた。俺もまずは無難に片手だけ武器を抜き取る。すると俺めがけて茂みから何かが飛び掛かって来た。俺は右手の剣を薙ぎ払って攻撃を弾く。


「白い狼…【白狼】こいつらね」

「間違いないな。ソフィリアはそっちの奴らを頼む」

「分かった」


そして俺とソフィリアは同時に反対方向へと走り出した。俺は先ほど飛び掛かって来た狼の攻撃を弾き、次に二匹目、三匹目と同じように飛び掛かってくる白狼を的確に叩き落す。


これでも前から動体視力には自信があった。起き上がってくる白狼に強力な斬り下ろしを放ち、二匹並んでいた白狼を横凪に斬り払う。


「ハアァァッ!」

俺は四匹目の狼に突き技を放つ。それは顔面にクリーンヒットして四匹目は苦しそうに倒れた。一匹目はもう倒れているので残るは二匹目と三匹目だけ。


すると二匹目と三匹目の白狼は左右から飛び掛かって来た。俺は獰猛に微笑して手を背中に回す。白狼の驚く声が聞こえたような気もした。


俺は左手に持った二本目の剣を振り下ろし、もう片方の手でもう一方の白狼を斬り下ろす。右手の攻撃を食らった個体はもう倒れているようだが、慣れない左手での剣を受けた個体はまだ生き残っている。


「セアアッ!」

俺は飛び掛かってくる白狼に左手で突きを見舞い、右手で空中にいる白狼を叩き落した。二刀での連続剣技を受けた白狼が動かなくなる。それを確認してからソフィリアの方を見る。彼女の闘いもちょうど終わったようだ。


「さすがだな」

「君もね」

すると急に、広場の奥のほうから大きな足音が聞こえる。その足音はどんどん近づいてくる。

「エイト…これ」

「…ああ。多分奴らの親玉だ。来るぞ」


俺は再び剣を構え直した。そしてそのタイミングで奥の木々が分かれて巨大な生物が姿を見せる。それは体高が3mはあろうかという巨大な狼だった。巨狼は仲間たちを屠った俺たちを睨みつけている。


「エイト…君はまだ経験も浅いんだからあまり無理をしないで…奴の攻撃は多分すごく重たい…」

「でもお前のレイピアと俺の剣、俺の筋力ステータスとお前の筋力なら両方とも俺に分がある。俺がターゲットを取るから的確に攻撃してくれ」


俺はとっさに考えてそう言った。ソフィリアのレイピアの要求筋力値はE。対して俺の剣はD。そして俺の筋力ステータスはB+でソフィリアはB。間違いなく俺が前衛に出て戦うべきだ。それに確かソフィリアの他のステータスは耐久力C、敏捷性A、器用さA、魔力A+というものだったはずだ。素早さと正確さで戦うスタイルの彼女にタンクを任せるのは男としてどうかと思う。


俺に指示されたソフィリアは少し迷う素振りを見せたがすぐに頷く。

「分かった。でも絶対無理しないで」

「了解」


俺たちは再び巨狼の方を向いた。俺たちの方を獲物を狙う狩人の眼で睨んでいる。俺も繰り出される巨狼の攻撃に対応できるように剣を構え、神経を集中させる。

「来るわね…」

「ああ…」


そして次の瞬間、巨狼は巨体に似合わぬ素早さで襲い掛かって来た。俺たちはサイドステップで巨狼の攻撃を回避した。そして俺は巨狼の体に先程のような連続攻撃を加える。確かにヒットはしたが巨狼は痛そうなそぶりを見せない。歴戦のこの巨狼にとっては剣の傷などかすり傷だろう。


俺をロックオンして攻撃を行う巨狼の攻撃を俺はガードと回避を駆使していなし続けた。ソフィリアも的確に攻撃を加えるがさしてダメージは通らない。


俺は相手の噛みつき攻撃を思い切りパリィする。そしてそこから顎に斬り上げを喰らわせた。敵の鮮血が迸る。今までよりかはダメージがあったようだがやはり決定打にはならない。

「ガルルアッ!」

巨狼は攻撃された怒りで俺に攻撃を仕掛ける。俺はどうにかその攻撃を回避して相棒に指示した。


「ソフィリア!」

俺がそう言うとソフィリアが敵の顔面に突きを喰らわせる。今までよりも全然痛そうなそぶりを見せた。俺は敵の背中に飛び乗って何度も斬りつける。巨狼は俺を振り下ろそうと必死にもがき、暴れている。俺も落ちてたまるかと全力でしがみつく。


「エイト!無理しないで!」

ソフィリアがそう叫ぶが俺は構わず攻撃を続け、敵の背中に剣を突き刺した。巨狼が苦しそうな声を上げる。俺は下にいるソフィリアに向かって叫んだ。


「今だ!」

「うん!」

ソフィリアは苦しそうな巨狼の後ろ脚に強力な突き技を見舞う。だが急に巨狼が暴れて俺はバランスを崩した。そしてそのまま吹き飛ばされる。


「まずい…!」

俺はそのまま吹き飛ばされて木の幹に激突した。だがそこへ向かって巨狼が向かってくる。


「(…今!)」


俺は敵の足の間に潜り込み、腹を斬りつけて懐から離脱した。相手の体力もだいぶ少なくなったようで激昂して今までよりもさらに激しく暴れだす。俺は敵のことを観察して冷静に分析した。

「(顔にでも当てないと致命傷にならない…!)」


そこで俺はある技の存在を思い出して賭けに出る気持ちで敵の正面に立った。巨狼も突進をしてくる。恐らく巨狼は無防備な俺を加えて飲み込もうとする。そしてその時に上を向く。


俺は巨狼が俺に噛みつくぎりぎりのタイミングまで待った。そして噛みつかれる0・5秒前、俺の姿が巨狼の眼前から消えた。


その時巨狼は驚いたはずだ。咥えたはずの俺が消え、代わりに真上にいるのだから。

【空間転移】で回避と移動を同時に行った俺は、右手の剣を勢いよく振り上げた。


「うおおぉぉぉ!」


俺は巨狼の弱点である顔面に強力な斬り下ろしを見舞う。顔に攻撃が直撃して苦しむ巨狼だが、最後のあがきか俺に攻撃しようとする。俺はまたもワープして攻撃を回避し、今度は左手で巨狼の体を貫いた。鈍い手ごたえが伝わり、敵の体から血が滴る。


「グルルァァ…」


そして今度こそ、断末魔を上げながら巨狼はゆっくりと倒れた。すると着地した俺のほうに向かって来るソフィリアが安心した表情で叱るように言う。


「もう…無理しすぎなんだから」

「ま、まあ結果オーライってことでさ。早く帰ろうぜ」

「…そうだね」



♢♦♢♦



俺たちは薄暗い森を出てエルネの町に帰った。帰りの道ではもうソフィリアも怯えることはなくなっていた。俺たちは依頼達成の報告をしにシェフの元に向かった。


なんでもあの巨狼は国の危険指定モンスターだったらしく、ギルドからの追加報酬10万ももらえた。そしてシェフは依頼のお礼として無償むしょうで飯を提供してくれた。高級なご飯を無料で食べることに罪悪感すら覚えたものだ。


エルネの町を出て次の町へと向かっている最中、ソフィリアが俺に向けて言った。

「私たちのコンビも板についてきた感じね。」

「いつコンビ組んだんだよ…まあそうだな。悪くないかもな」

「ほら、早く次の町へ行こ!」

「はいよ…」


そして俺たちは再び、壮大そうだいな旅を再開させたのだった。


最初のバトル回、どうだったでしょうか?

これから経験を重ね、もっと戦闘描写を上手に書けるように頑張りたいです。

良ければ次話も是非…、


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