8話
今回は、短いです。
兵士達は老人を馬車からおろし、草むらに横たえる。
老人の胸には、矢が刺さってる。
「いやー!お爺様!死んじゃやだー!!」
長い金髪の女の子は、怪我した老人を抱え、泣き叫ぶ。
「悪いな……アリス、わしはもう無理かもしれない…」
老人は、力のない声でポツリポツリとつぶやく。
「ルメーア公爵様!気をしっかりもってください」
「そうです、あなたはそんなとこで死ぬ方じゃないでしょう」
「今、光魔法を使えるものがあなたを回復させています、だから頑張ってください」
自分達も傷ついているはずなのに、兵士達は、全員その老人をはげましている。
ずいぶん、信用されているな、と拓也はそう思った。
「くっそ、怪我が酷すぎる。このままだと、ルメーア公爵様が…」
老人に回復をかけている兵士は悔しそうに下唇を噛みながらも、老人をなんとしてでも回復させよう必死な顔をしている。
だが、老人の顔色は暗いまま、治る気配を感じない。
「退いてください」
「な、何をする!?」
僕は兵士をどかせると老人の前に立つ。
「お、おお…お主が…我々を盗賊から…」
「喋らないでください、今、治します」
僕は本棚から白色の魔導書を取りだし、開いて唱える。
「魔導書よ、この者を癒せ、」
魔導書は白い光を放ち、老人の体も同じく光はじめた。
「こ、これは!」
その場にいた全員が驚いた。老人の体の傷は塞がっていき、怪我ひとつない、体に戻った。
「な、なんと…わしの傷が一瞬で」
「お爺様!!」
「おお、アリス、心配をかけて悪かったなこのとおり無事じゃ」
長い金髪の女の子が老人に抱きついた。
「お爺様…うわーーーん!!」
長い金髪の女の子は老人の無事を確認すると、今度は無事だったことが安心したらしく、大声で泣き叫んだ。