52話
「それでは、みなさん今後も、私の店、パティシェをよろしくお願いします。特に拓也さん、あなたのおかげで、シュークリームを新作として、店に出せます。どうもありがとうございます」
「いえ、僕はただ作り方を知っていただけですから、お礼なんて」
「それでもですよ、それと、依頼の報酬の他にこちらを」
サンガさんは、何枚かに折りたたまれた紙を渡してきた。
「これは?」
「ちょっとした物ですが、店の割引券です。注文したものとその紙を一枚ちぎって一緒に出せば、そのものの値段の半分を安くしてくれますよ」
「そうなんですか、あっ、でもすいません。実は、明後日から、その王都に行く予定なんです。もらっておいてなんですが、お返しします」
僕は、サンガさんに割引券を返す。サンガさんの顔を見るときょとんとした顔をしている。もしかして、失礼な奴だとおもわれてしまったのかもしれない
そう思っていると笑い声が聞こえた。声の主はサンガさんだ。
「ははは、すいません。笑ってしまって、冒険者というのはもっと傲慢な人が多いと聞いているので、あなたのような、人もいるのですね、大丈夫ですよ。王都にも、その他の国にも、店舗はあるので、安心してください」
「ええぇ!他のところにもあったんですか!」
アリスさえも驚いている。
「はい、私共の商会は、昔の勇者様と仲がよろしかったらしいので、勇者様のお力を貸してもらい、いろんな国にも店舗を広げることができたのです」
そうなのか、昔の勇者、まぁ、僕と同じ世界からきた人だと思うけど感謝だな
「それゆえ、うちの商会からは先に新作を完成した店には、商会からボーナスが来る事になっていたので、拓也さんには本当に感謝ですね」
あっ、そうだったんだ。サンガさんもラッキーだったってことなのか
「ですので、これは、私のお礼と言うこと受け取ってくれませんか」
「それなら、ありがたく使わせてもらいます」
「それでは、改めて、今後とも、パティシェをよろしくお願いします」
「それにしても、拓也様が料理ができるなんて意外でした」
冒険者ギルドに依頼達成の確認を済ませ、明日の準備のため、家に帰る帰り道、アリスが僕を見て言ってきた。ミーナの方を見ると同じように意外だったのか首を縦に振っている。
「んー、そんなに、意外かな、まぁ、たまにしか作らないからかな、この前も、キアラさんから厨房を借りて、僕の料理を食べてもらったけど」
「んなっ!私、聞いていません」
「・・・私も」
「それは、アリスがいなかった時だからな、ミーナに至っては、一緒に住んでいないから知っていないのも当然」
「「むぅ~」」
なぜか、ふてくされた二人、僕は別に、プロっていうわけではないのに、なんでふてくされるのかわからないんだけど
「拓也様、今日の夕食は、拓也様が作ってくださいね」
「えっ」
この世界にきて、キアラさんにしか、僕の料理を食べてもらっていない、しかもキアラさん僕の料理食べて何も言ってくれないから、まずいかもしれないのに困ったな
「・・・だったら私も、今日は宿じゃなくアリスの家に泊まる」
「「えっ」」
「・・・私だけ仲間はずれ、ずるい」
「そ、それならしかたありませんね、特別にあなたを、私の家に泊めてあげます」
あ、僕が夕食を作ることは決定なんだ。
「・・・ん、ありがとう」
「今日はずいぶん素直ですね、何をたくらんでいるんですか」
「拓也と、一緒にお風呂、それから添い寝」
「なっ、そんなこと許しませんから」
「なんで、アリスの許しがいるの」
「そ、それは、私だってごにょ、拓也様とごにょ・・・・」
アリスとミーナの言い合いが始まりそうだ。ちらちらとアリスがこっちを向いているのが気になるが、あの二人の言い合いは、長いからな、先に帰ろうかな
「あっ、拓也様先に帰らないでくださいよ」
「・・・拓也待って」
さて、今日の夕食はなぜか、僕が作ることになったし、皆にまずいなんて言われたら、嫌だし何を作ろうかな、そんなことを考えながら、アリスたちと帰った。




