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第八話 戦闘訓練は厳しくてメンドイよ。

【次の日】


 ……昨日はキツかったな。

 クーゴさんに攻撃されて受けたダメージの復活待ちしながら休憩、またクーゴさんに攻撃されるを一日中繰り返したからな。

 途中で俺が仕返しに攻撃したらクーゴさんが、


「ヘイヘイ、キット。ヤル気になったじゃん。ならオレも本気出すぜ!」


 って言い出して訓練がより厳しくなった。

 勘弁して欲しいよ。


 さて、今日はチョーハさんと訓練だ。

 ……出来たら昨日ほど厳しくないといいな。


「おはようございます、チョーハさん」


「……」


 本当に無口だなチョーハさん。

 クーゴさんがウルサイほどに喋るから余計に無口に感じるよ。


「……剣を地面に置け……」


「はい? 」


 なんだろう?

 今日は剣は使わないのかな?

 まあ言われたとおりに相棒を足元に置くか。


「…………」


 ヒュン!


「うわっと!」


 チョーハさんがいきなり持ってる槍で突いてきた!

 間一髪で避けたけど、あぶねー。

 なんか昨日と似たパターンのような気がするぞ!?


 ヒュン!


「いっ!」


 ヒュン!


「ほあっ!」


 ヒュン!


「てっ!」


 ヒュン!


 何とか避け続けてるが槍のスピードが早い!

 マジで待って!


「ちょっ! ちょっとタイム! タイム! せめて説明して下さいチョーハさん! 」


 ピタ!


「いっ!」


 ……俺の額の一センチ手前で槍が止まった。

 すっげー怖えー!


「……盾と体捌きを教える……」


 えっ?

 説明それだけ?

 って、もうチョーハさんが槍を構え直してるし!?


「……動きに無駄が多い……盾を使い最小限の動きで防げ……」


 マジっすか!?

 つまりチョーハさんの攻撃を盾と体捌きで避けるか防げと?


 ヒュン!


「わっ!」


 ヒュン!


「とぁっ!」


 ヒュン!


「ひゃあっ!」


 マジきつい!

 筋肉痛になりそうだよ。

 ……俺スケルトンだから筋肉無かったな。


 ヒュン!


「ひーっ!」


 やっぱ、チョーハさんも厳しかったよチクショー!


【その次の日】


「さてキットさん、本日は私と訓練します……って、キットさん? 何でそんな所に隠れてるのですか? 」


「いや、その、警戒してるっていうか、条件反射っていうか……」


 そう、俺は今近くの岩に身を隠してる。

 だってクーゴさんもチョーハさんもいきなり攻撃してくるんだもん!

 サージョさんがやらない保証はない。


「……あの二人が無茶したんですね。大丈夫ですよ、私は無茶な訓練はしませんから」


「……本当ですか?」


「本当です」


 まだ腰が引けるが俺はゆっくりサージョさんの近くに移動する。


「そもそも私が教えるのは魔法です。魔法は理論ですから無茶な訓練しても向上しません」


 よかった今日は無事に終われそうだ。

 ……でも何でだろう、嫌な予感が消えないんだけど。


「まずは確認です。キットさんの今現在使える魔法を教えて下さい」


「『炎呪文フレイム』です」


「それ以外は? 」


「……『炎呪文フレイム』だけです」


「……本当ですか? 」


 サージョさんが困った顔してる。

 仕方ないだろエルにも、


「キット様には魔法の才能がありませんね」


 って言い切られるぐらいだぞ!

 むしろ才能無いのに『炎呪文フレイム』を使えるだけでも凄いんだぞ!


「……前向きに考えましょう。使える魔法が少ないって事は余計な魔法や癖が無いということです」


「……無理して慰めて貰わなくて大丈夫です」


 逆に辛くなるんで。

 つか自分が一番理解してますよ魔法苦手なのは!


「これは本当ですよ。今の若い『魔道士』は習得してる魔法の数の多さを自慢する人が多いです。ですがそのような魔道士は一つ一つの魔法の練度が低い事が多いですよ。嘆かわしい」


 今時の流行りは質より数なのか。

 でも、一つ一つの魔法が弱かったら意味ないよな確かに。


「例えば『炎呪文フレイム』、この魔法は極めれば火山の噴火並の威力があります。このように魔法は個人の能力次第で威力が変化します」


 なるほど。

 そういえばエルの魔法は全部アホみたいな威力があったな。

 ほぼ毎日お仕置きで喰らってたから間違いない。

 ……今、背筋が寒くなった気がしたが気のせいか?


「私が習得している魔法も基礎攻撃呪文と呼ばれる、『炎呪文フレイム』、『雷呪文サンダー』、『氷結呪文フリージング』。基礎強化呪文と呼ばれる、『攻撃強化呪文アタック』、『守備強化呪文ガード』、『速度強化呪文アクセル』と、『回復呪文ヒール』、後は幾つかの補助魔法だけです。ですがこれだけで私はセントラル地方の兵士の中で魔法の腕は一番ですよ」


 サージョさんは実は凄い人だったんだな。

 そっか基礎呪文だけでも強くなれるのか。


「話は変わりますがキットさんは攻撃と守備と素早さではどれが得意ですか? 」


「その中では素早さが得意です」


 俺はスケルトンだから体重が軽いからな。

 体重がたった六キロしか無いし。

 ……昔エルの前で言ったら問答無用でお仕置きされたけど。

 あの時に女性の前で体重の話をするのが危険だと学んだよ。


「ではキットさんの課題は『炎呪文フレイム』の威力向上。それと『速度強化呪文アクセル』の習得とします。この二つに絞ればキットさんでも必ず出来るはずです」


 なるほど二つだけなら俺にも出来そうだ。

 二つだけなら才能の無い俺でもクリア出来きそう。

 ……自分で言って悲しくなってきた。


「取り敢えず今日は『炎呪文フレイム』の訓練をしましょう。魔力の限り『炎呪文フレイム』を放って下さい」


「はい! 」


 よし、気持ち切り替えてやるぞ!


「 『炎呪文フレイム』 、 『炎呪文フレイム』、 『炎呪文フレイム』、 『炎呪文フレイム』、 『炎呪文フレイム』! 」


 フー、魔力切れだ。

 休憩すれば魔力が回復するから、それまで待ちだな。

 昨日、一昨日よりはずっと楽じゃん、やったね。


「はい、キットさん」


 サージョさんが小さい瓶を渡してくれた。

 なんだこれ?


「これは『マジックポーション』、飲めば魔力が回復します」


「……えっと、ありがとうございます? 」


「これを飲んだら訓練を再開して下さい。沢山持ってきてますから遠慮しなくて大丈夫ですよ」


 そう言うとサージョさんは魔法袋から次のマジックポーションを出した。

 ……まさか。


「魔法は使えば使う程威力が上がります。また魔力も使えば使う程魔力の総量が増えます。この訓練は魔法と魔力の両方を同時に鍛えられられますよ」


 つまり、マジックポーションで魔力を回復しながら一日中 『炎呪文フレイム』を使い続けろと!?


「頑張りましょうね、キットさん」


 チクショー、やっぱサージョさんも厳しかったよ。

 むしろ復活待ちの休憩時間が無い分サージョさんの訓練が一番キツイかも!?


「さあさあ、休んでる時間はないですよ? 」


 俺の嫌な予感が的中したよ!

 本当に勘弁して下さい。


 オマケ

 

 『魔法』


 魔法は体内にある魔力を変化させて起こす現象。呪文を唱えて放つが呪文無しでも使うことは出来る。(その場合は威力が落ちる)


 魔法は本で勉強、人もしくは学校から教わる、自力で開発習得する、その他(生まれつきなど)で使えるようになる。


 魔界の魔法は使い手の魔力によって威力が変わる。(例、キットが炎呪文フレイムを使うと手のひらぐらいだがサージョが使うと三メートルほどの大きさになる。) また使い手の意思で威力を調整出来る。


 魔法は魔界ではありふれた技能で戦闘に関係ない一般人でも使える者もいる。


 ただし種族によっては魔法が苦手な種族もいる。


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