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第七話 仲間って良いよな。

【レーニング正門前】


 サーベルウルフにやられて肋骨数本骨折、腕と足にヒビが入ったか。

 復活には十分から二十分位掛かるかな、あー、ヤダな。


「ヘイヘイ、ちっと弱すぎじゃねぇキット? それでよく魔界騎士になれたな」


 自分でも分かってますよ! そんなことは!

 どうせ俺は『不死身』なだけの弱虫スケルトンですよ!


「クーゴ言い過ぎです。キットさん少し失礼しますね」


 そう言うとサージョさんは俺に手の平を向けた。

 何をするんだ?


「『回復呪文ヒール』」


 おお!

 折れた骨がどんどん復活してく。

 それに体力も回復してく。

回復呪文ヒール』をして貰うのは初めてだが暖かくて気持ちいいな。


「ヘイヘイ、キットは『不死身』だから『回復呪文ヒール』する必要無くね?」


「貴方は黙ってて下さい!」


 この二人は喧嘩する以外にコミニケーションの取り方は無いのか?

 常に喧嘩してる気がするぞ。


 まぁクーゴさんの言うとおりだけどね。

 けど『回復呪文ヒール』使って貰った方が復活が早いな。

 覚えとこ、痛い時間が短い方が良いし。


「大体クーゴは昔から不真面目過ぎます。私たち兵士の職務を何だと思ってるんですか! 」


「ヘイヘイ、サージョは昔から頭硬すぎだぜ。オレら兵士は町と国民を守るヒーローだぜ! そんなん常識だぜ! 」


「……」


「クーゴ! 私達兵士と言うのは国民のお手本とならないといけないのですよ。それなのに貴方はいつもいつも……」


 ……サージョさんってエルに似てる気がするな。

 サージョさんには逆らわないとこ。

 そしてチョーハさんこんなに騒いでも何も言わない。


「チョーハさん、止めなくて良いんですか?」


「……ほっとけ、いつもの事だ……」


 そっか、いつもこんな感じなんか。

 ……いつもあの二人はケンカしてるのか。


【レーニング表通り】


 やっと着いた。

 ユニコーンの馬車でも結構時間掛かったな。

 

 ……レーニングの町か。

 初めまして来たけどユートピアよりは田舎だな。

 でも大らかでゆったりとした感じがして俺は好きだな。


「キットさんこれから『レーニング兵士署』に行きます」


「兵士署ですか? 」


 兵士署って前世の警察署みたいなもんだからなんか事件でもあるんか?


「兵士署の責任者に挨拶と今回の滞在理由を説明するのです。あと、少しご注意が」


「はぁ、注意ですか? 」


 何かあるのか?


「ヘイヘイ、キットはゲンヨウ先輩と話した事は黙ってるんだぜ」


「クーゴ! 邪魔しないで下さい」


 兵士長さんとの会話を?

 何で話しちゃいけないんだ?


「……話の内容は我々も知らされてない……」


 えっ? 何でチョーハさん達にも?


「キットさんとゲンヨウ兵士長の話された内容は極秘扱いとされてます。ゲンヨウ兵士長からこの件はキットさんが本当に信頼できる人にのみ話しなさいと言われておりますよ」


 極秘って?

 あっ、分かったぞ。

 裏切り者か。

 裏切り者に情報が漏れる危険があるから極秘扱いなのか。

 でも俺が信頼できる人にって。

 クーゴさん達は信頼できないと?


「ヘイヘイ、ゲンヨウ先輩は極秘だから宿舎の相談室使ったんだぜ」


「あそこは日中に使う人が殆どいませんからね」


 でもなぁ。


「いいんですか? クーゴさん達にも話さなくて? 」


「……信じてる……」


 ……チョーハさん。


「ヘイヘイ、チョーハの言うとおりだぜ。ゲンヨウ先輩はオレらを絶対にないがしろにしないんだぜ」


 ……クーゴさん。


「二人の言うとおりです。ゲンヨウ兵士長が私達に話さない理由が必ずある筈。私達はゲンヨウ兵士長を信じて話してくれるまで待ちます。ですからキットさんも信じられる人だけに話して下さいね」


 ……サージョさん。


 ……三人共カッコイイです。

 そしてこの三人に信頼されてる兵士長さんもカッコイイです。

 なら俺は、


「分かりました。この件は俺が信頼できる人だけに話します」


 ……俺もいつかこの人達みたいになりたい。

 この人達みたいに本当に信じられる仲間を見つけたい。

 ……なんかガラにもない事考えてるな俺。

 でも嫌な気持ちじゃないかな。


【兵士署前】


 挨拶は簡単に終わったな。

 さて、これから何しようか?


「キットさん、これから私達は荷物の引き渡しをしてきます。キットさんはレーニングを見てらしたら?」


 それいいな。

 俺はユートピアから出たことが少ないから他の町をじっくり見てみるのも面白そうだ。


「ヘイヘイ、それからキット。明日からオレたちと戦闘訓練だから忘れんなよ?」


 げっ!

 そうだった、レーニングに来た理由は俺の戦闘訓練の為だっけ。

 メンドイな。

 でもクーゴさん達と一緒ならまだ良いかな?


「キットさん明日から私達三人が交代でキットさんに色々教えます。まずは基礎から覚えていきましょね」


「ヘイヘイ、明日は俺との訓練だぜ。遅刻するなよ? 」


「……我々は調査任務で暫く滞在する……」


 メンドイから逃げたいな。

 でも逃げたらダメだよな。

 はぁー、メンドイけどやるしかないか。

 本当にメンドイけど。


【次の日】


「ヘイヘイ、早速訓練開始だぜ」


「……よろしく、お願いします」


 ……まだ体が痛い気がする。

 今俺は、クーゴさんに強引に起こされてレーニング近くの平原にいる。

 クーゴさん、寝てる俺をバラして魔法袋に入れて運ぶんだもんな。

 バラバラにされた痛みで起きましたよ。

 ちなみに魔法袋の中は真っ暗だった。

 知りたくない事実だったな。


「ヘイヘイ。テンション低いぜキット」


「誰のせいですか!」


 この人は俺よりもいい加減で雑な性格してるよな。

 サージョさんが怒る理由が分かった気がする。


「ヘイヘイ、テンション上がってきたじゃんキット。んじゃオレから教えるのは剣術とスキル『疾風斬り』だぜ! 」


『疾風斬り』って昨日クーゴさんが使ってたスキルだよな。

 俺に出来るのか?


「聞くより慣れろってね。剣抜きなキット『疾風斬り』!」


「うわっ!?」


 慌て腰の相棒を鞘から抜いて受け止めた。

 あっぶねぇ。


「クーゴさん危ないじゃないですか!」


「ヘイヘイ、実戦じゃあ危ないのは当たり前だぜ」


 だらからって、いきなり過ぎでしょ!


「オレとの訓練は全て実戦形式でやるぜ。これからオレは剣術と『疾風斬り』だけでキットを攻撃するぜ。キットはそれを見て、感じて体で覚えるんだぜ」


「マジっすか!? 」


 それってクーゴさんにひたすら攻撃され続けられるって事!?

 勘弁してー。


「ヘイヘイ、次行くぜ。『疾風斬り』! からの『疾風斬り』、『疾風斬り』!」


「ちょっ! まっ!」


 二回目の『疾風斬り』まではなんとか避けれたが三回目が左腕に当たった、痛!


「ヘイヘイ、痛がってる場合か?」


 そう言いながらクーゴさんは右から斬りつけてきた。

 バックステップで避けたがかなりギリギリだった。


「まだまだいくぜ? ちゃんと付いて来いよキット?」


 初日からハード過ぎる、これが毎日とか嫌すぎるぞ!


 オマケ


 兵士は現代日本の警察、消防、救急、自衛隊を合わせたような職業である。

 

 兵士は町なら兵士署、村なら駐屯所に待機しており魔界の平和と秩序、魔族の安全を守ってる。


 なお、名前が兵士なのは乱世時代の名残り。現在の魔界は魔界帝国以外の国が無いため戦争することはまず無い。

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