第四十八話 フラグを回収しました。
【ミキ視点】
私の『呪文砲(改)』の威力を見せてあげるわ。
覚悟しなさいよ。
「ミキ頼むから無茶しないでくれ」
「何言ってるのよ、『昼間役立たず同盟』の汚名挽回するんでしょ」
男ならシャキッとしなさいよ。
おっ!
「いたーっ、ビッグタランチュラがいたわー! さぁやるわよキット」
「もうヤケだ、なるようなりやがれ!」
やっとヤル気になったじゃん。
よしよし、それでいいのよ。
さぁ私達が料理以外にも役に立つって証明してあげるからね。
「キットー、頑張ってー」
「アンタが蒔いた種なんだからちゃんと責任取んなさいよ」
「キットく〜ん、ケガしたらすぐに治療してあげるからね〜」
「本当ヒデェ話だな!」
レンド達は手伝う気はないのね。
好都合よ。
キットは渋々って感じで剣を抜いて構えた。
私も『呪文砲(改)』を構える。
「先手は貰った!」
『呪文砲』から放った『雷呪文』が勢い良くビッグタランチュラを襲う。
「ありゃ?」
外しちゃった。
あれ? おかしいなぁ?
「何やってんだよミキ」
「メンゴメンゴ」
キットに呆れられちゃった。
改造して最大六発まで魔法をチャージできるようになったけど重
量が増えたから手元がブレちゃったかな。
ありゃ? ビッグタランチュラは私に向かって何かの液を飛ばしてきた。
「それは毒液だ、下がれミキ!」
咄嗟にキットが私を庇って盾で毒液を防いでくれた。
……ちょっと男らしかったぞ。
「キットありがとう」
「どういたしまして。まだやるんだろ?」
「もち!」
「なら次は外すなよ」
「まっかせないって!」
今度はよーく狙って、両手で呪文砲を支えて…………
「いっけー!」
よっしゃ、今度は命中。
「追い討ちよ!」
続けてさらに二発の雷撃を打ちビッグタランチュラを倒した。
「やったわーっ!」
「……おい、呪文砲がなんかおかしいぞ?」
なによ、せっかく良い気分になってるにのに。
キットに言われて呪文砲を見ると銃身がバチバチと火花をはなってた。
まずい!!
「!!?」
私は手を離そうとしたけどそれより早く呪文砲に込められた『雷呪文』が暴走した。
「「うぎゃーーっ!!!」」
暴走した雷は私と側に居たキットを襲い私達は思いっきり感電しちゃった。
【十分後、キット視点】
くっそ痛かったー。
たく、なんで俺まで。
「キットくん、ミキちゃんもう少し動かないでね〜」
俺達はカナに『回復呪文』で治療してもらってる。
「てか何でこんな事になったんだよ?」
俺はカナに治療してもらいながらミキにたずねた。
「それがどうもね、銃身に残った魔力が逆流したみたいなのよ」
「それが何で暴走につながるんだ?」
「それでね、まだ撃ってない弾に逆流して弾の容量を越えて暴発ちゃった♡」
ちゃった♡、じゃねぇよ!
可愛く言っても許さんからな。
「今までは一発撃つと弾の中が空だからそんな事なかったんだけどね」
「なら改造は失敗なのか?」
「失敗じゃないよ、込める魔力を減らせば逆流しても容量超えないから『炎弾呪文』なら暴走しないわよ、多分」
『炎弾呪文』は魔力の使用量が少ないからな。
「そのうち銃身に魔力を残さないように改造するから心配しなくて大丈夫よ」
「だからと言って……」
俺達がそんな事を話してるとルフレが俺の肩を叩いて話を止めた。
「ミキの魔道具が失敗するのはいつもの事だから心配するだけムダよ」
って、いつも失敗してるんかい!
「ルフレぇ私だっていつも失敗してる訳じゃないわよ!」
「いつもでしょうが! ミキが作った魔道具は最低一回は必ず爆発するか誤作動してるじゃん。前に寮の部屋を爆破した事を忘れての?」
爆発だと!?
危険すぎるだろ。
「ほら、それは『失敗は成功の母』よ。失敗を恐れては新しい魔道具は作れないわ」
「アンタの失敗は危険だって言ってるの!」
「ミキちゃ〜ん、ルフレちゃ〜ん。ケンカはダメだよ〜」
何つうか色々不安になったな。
これからはミキが魔道具を使うときは警戒しないとな。
「ミキ達が仲間になって賑やかになって本当良かったねー」
「アーソウデスネ」
楽しそうにレンドは言うが俺はすっげー不安だぞ。
俺は棒読みでレンドに答えながらこれからの旅が無事に進むことを祈らずにはいられなかった。
本当、無事に旅がしたいぞ。
オマケ
『呪文砲』
チャージした攻撃魔法を放つ拳銃型の魔道具。
魔法をチャージする必要がある為に元々攻撃魔法が使えるルフレやキットからしたら意味のない魔道具。
だが、あらかじめチャージすれば魔力を消費せずに魔法が使える為、実はそこそこ便利。
今回の改造で最大六発までチャージ出来るようになったが代わりに込められる魔法に制限が出来た。
今後は『炎弾呪文』専用として使われてく事になる。




