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第四十七話 どうやらミキとのフラグ? を立てたようだ。

【その日の夕方】


 ……あとは軽く叩いて柔らかくした岩豚の肉を塩コショウで味をつけて串に挿して薪で焼く。


 鍋の方はどうなってる?

 おー、短時間で結構ダシが出てるな。

 なら岩豚の骨は鍋から出してアクを取り、乾燥野菜を入れて塩とコンソメで味整えてっ、と。


「キットー、追加の薪持ってきたよー」


「ありがとうレンド」


 俺達は今日の野宿の為の準備をしてる。

 レンドは薪になりそうな物を集めながら周りの警戒。


 女性陣はテントの設置。

 ……因みにこのテントは男は使わしてくれないから俺とレンドは寝袋でテントの外で寝てる。

 ヒデェ話だ。


 で、俺は夕食の準備。

 ウチのメンバーで料理が出来るのはミキと俺だけなんで必然的に二人でローテーションを組んでる。


 レンドは簡単な料理なら出来るが(ただし焼くだけ、切るだけなら)ちゃんとした料理は出来ない。

 ルフレとカナは包丁すら握った事もない。

 ……まったく、これだからお嬢育ちは。


 で、俺が今日の調理担当。


 ちなみに今日の晩飯は昼に仕留めた岩豚の串焼きと豚骨ダシのコンソメスープ、あとはパンとシンプル。

 野営飯だから凝ったもんは作れんのは仕方ない。


「キットやーい、テントの準備終わったから手伝うよ」


「サンキュー、ミキ。なら朝飯用のサンドイッチ作るからパンを切ってくれるか?」


「オーケー、任せなさいって」


 つっても今焼いてる肉を挟むだけだけどな。


 さて、俺は食器の用意するか。


【夕食後】


「ごちそうさまでした〜、おいしかったよ~キットくん〜」


「ふー、満腹満腹」


 カナは礼儀正しいくお礼を言い、ミキはだらしなく腹を擦る。

 ……ミキよ、年頃の乙女がそれはどうかと思うぞ?


「さて、オイラは少し寝るよー。見張りの交代時間になったら起こしてねー」


 レンドは食器だけ片付けるとさっさと寝袋に入った。

 食べてすぐ寝ると牛になるぞ……って元々レンドはミノタウロスゾンビだったな。


「ミキ、カナ。今日の分の課題をやるわよ」


 ルフレは魔法袋から問題集と参考書を出して言う。

 張り切ってるな。

 あのぶっとい問題集は見てるだけで頭が痛くなりそうだから、俺はさっさと見張りの為に立ち上がりその場を離れることにした。


【一時間後】


 見張りをしながら俺は『炎呪文フレイム』の練習してる。

 手の平のうえで『炎呪文フレイム』を放たず球体で維持するのは良いトレーニングになるし時間も潰せるからな。

 流石に魔力が空になるまではやらないけど。

 ……前に魔力を空にした状態で魔獣に寝込み襲われて大変な目にあったしな。


「おーキット頑張ってるじゃん。関心関心」


「どうしたミキ。まだ交代の時間じゃないだろ?」


 俺は手の上の炎球を消しながらミキに聞いた。


「いやね、ルフレとカナが勉強しながら寝ちゃって。で、テントに運んだらなんか課題を再開する気になれなくてこっちに来たのよ」


「あの二人は夜に弱いからな」


 ルフレは固有スキル『鳥目』のお陰で昼は誰よりも目が良いが代わりに夜は光が無いと殆ど周りが見えない。


 カナの種族フェアリーはそもそも光の無いところが苦手。

 夜は本能的に怖いらしい。

 だから二人は基本早寝なんだよな。


 よって夜の見張りのローテーションは俺、レンド、ミキの三人でやってる。

 三人ともアンデッドだから真っ暗闇でも目が効くしね。


「もちろんテントに運ぶ為に抱っこした時に尻と胸は触ったわよ」


「ミキ、ナイス!」


 流石ミキだ。

 ミキのこうゆう所は俺は好きだぞ、笑えるし。


「で、暇だから今日の『昼間役立たず同盟』のキットと話しに来たわけ」


「それ酷くね?」


 確かに昼間のビックホーン・レックスとの戦いは俺は活躍してないけど。

 つか、


「ミキは結構活躍したじゃん」


 ミキは魔道具駆使してだいぶ活躍してただろ、俺と違って。


「あービックホーン・レックスの時はね。それ以外は豚の解体とかばっかだったし」


 言われてみたら確かに。


「ビックホーン・レックスの時に使った『爆裂球』も今日で使い切っちゃったから明日からもっと役立たずよ、はー」


 ため息吐きながら肩を落とすミキ。

 気持ちは分かるぞ。


「『呪文砲』は? あれは結構便利じゃん」


「アレね。アレは一発撃つと再度ルフレに魔法をチャージして貰わないと、もう一度使えないからねぇ。何とか連射出来るように改良しようと考えてるけど良い案がないのよね」


 それはメンドイな。

 前世のピストルみたいに連射は出来ないのは不便だな。


 ……ん?

 ……ピストル?

 ……………そうだ!


「なあなあミキ、こんな感じに改造出来ないのか?」


「なになにキット、なんかいいアイディアがあるの?」


 俺はミキにピストルの構造を話す。

 まぁ細かい仕組みは覚えてないからリボルバーの撃ったら回転して次の弾を装填するイメージ地面に書いて説明しただけだけど。


「凄いわキット、あんた天才よ! よっしゃー早速改造するわよ!」


 そう言うとミキは風の如くテントに向かって走っていった。

 多分テントに置いてある自分のポーチの所まで行ったんだろうな。


 何にしてもミキの役に立ったのだから良かった、良かった。


【次の日】


「魔獣どこだぁー、私の『呪文砲(改)』の名誉ある犠牲者壱号はどこよー!?」


「ミ、ミキちゃんがなんか怖いよ~」


 ミキはあれから徹夜で呪文砲の改造してた。

 で、徹夜明けのハイテンションで早速魔獣狩りしに来た。


 無論みんなで止めようとはしたがハイテンションなミキを止められなかった。

 止めようとすると銃口をこっちに向けて怖いんだもん、仕方ない。


「……キット、アンタが責任取ってミキの面倒見なさい。アンタがミキを煽ったのが原因なんだからね」


「……ゴメン、マジでゴメン」


 ルフレは呪文砲に魔法をチャージするとさっさと空に飛び上がり俺の上あたりで傍観を決め込んでる。

 ルフレの言う通りリボルバーのアイディアをミキに教えたのは俺だから仕方ない。

 ……本当すんません。


 レンドは怯えるカナを宥めながらミキと距離を取ってる。

 ……ミキのオッパイ大好きのレンドでさえ今日のミキとは関わりたくないみたいだな。


「いたーー!! キット、行くわよー!!!」


 ミキに手を引かれながら無理やり走らされてる俺は頭の中でドナドナというフレーズを思い浮かべた。

 てかドナドナって何だっけ?


「『昼間役立たず同盟』の名誉挽回するわよーキットー!!!」


 ……そっか名誉挽回が正解だっけ。

 そんなしょうもない事を考えながら俺は諦めて戦闘態勢に入る。

 ……願わくば今日が無事に終わりますように。


 オマケ


 魔道具は主に生活用(照明、加熱機など)は普及してるが戦闘用の魔道具は殆ど普及してない。


 これは魔界に長年戦争が無いのもあるが、戦闘用魔道具が高価で量産されてないのが原因。(ミキは魔道具を手作りしてお金を節約してる)


 戦闘用魔道具を買うくらいなら自分で魔法を習得した方がマシってのが魔族の一般的な認識で、そもそも兵士や冒険者以外は戦闘用の魔法も必要ない。

 

 使うのはゾンビ等の一部の魔族の兵士、冒険者位な為に余り研究されてないのが現状だ。(そのゾンビ等も経費がかかる為に余り積極的には使わないが)

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