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第四十四話 短くて不器用な手紙。

【ルークス】


 俺達はゆっくり歩いて町の門を目指してる。

 今日、俺達はこの町を出てまた旅に出るからな。


「結局ミキ達にサヨナラを言えなかったねー」


 レンドの言う通りだ。

 世話になった人達に挨拶して周ったが何故かルフレ、ミキ、カナの三人だけがどこにも居ない。

 ……あいつ等にも礼を言っときたかったのにな。


「仕方ないよレンド」


 少し寂しいけどな。

 俺達はそんな事を喋りながら町の門に着いた。


 ん、門の前に誰か居るぞ?

 兵士さん……じゃないよな?


「アンタ達遅いわよ! レディを待たすなんて最低〜」


 んな!? ルフレだと!?


「やっほーキット、レンド」


「キ、キットくん。こ、こんにちわ」


 それにミキとカナも。


「なんでお前達がココに居るんだよ!」


「そんなの決まってるでしょう、アタシ達もアンタの旅について行くのよ」


「はぁ!?」


 なんでやねん!


「……ねぇルフレ。ひょっとしてキット達に同行の許可貰う前に決めたの?」


「そうよ」


「そ、そうよって。それはマズいよ〜」


 今の流れで大体の事が分かった。

 つまりルフレが勝手に俺達についてくると言い出して、それをミキ達は知らなかったんだな。


「つかお前達は学生だろ! 学園はどうしたんだよ!」


「そんなの休学扱いにして貰ってるわよ」


 はぁ?


「あー説明は私がするわ。メイジザード学園では在学中に休学届けを出せば学園から離れても大丈夫なの。まぁ代わり自分で勉強してその証拠に課題をやって定期的に学園に郵送で送らないと行けないけどね」


「あ、あと〜、帰ってきたら臨時テストもあるんだよ~」


 ミキとカナの説明で何となくだが分かった。

 メイジザード学園って意外と融通効くのね。


「同行するのは良いけどー、町から出るには冒険者か兵士の資格がいるよー」


 そうだよ、町から出るには資格がいる。

 レンドは冒険者、俺は魔界騎士だから資格持ってる。

 学生のこいつ等に資格なんか……


「そんなのとっくに授業で取ってるわよ」


 持ってるのかよ!

 流石エリート学校だな!


「なら大丈夫だねー。キットー、仲間が増えたよー。良かったね」


 ……アーソウデスネ。


「何よキット。アタシ達が仲間なったんだから喜びなさいよ」


「キット、レンドこれからもよろしくね」


「よ、よろしくお願いします」


 こうして俺達の旅の仲間が(勝手に)増えました。

 ……でもまぁ、コイツとまた一緒に居られるのは少し嬉しいかな。


【ルークス、東の荒野】


 俺達は次の町を目指して荒野をテクテク歩く。

 まぁ歩いてるのは俺とレンドとミキの三人だけど。

 ルフレはレンドの背中で、カナはミキの頭の上で既にバテてる。

 こいつ等体力無さ過ぎ。


 つか飛べるんだから飛べよって言ったら、


「飛ぶのも体力いるのよ!」


 だって。


 仕方ないからレンドとミキに二人を運んでもらって、俺は先頭で歩いて周りを警戒してる。


「そいやお前達さぁ、親に旅に出る許可は貰ったんか?」


 ふと思ったから聞いてみた。

 学校に許可貰ったのは確認したが親には言ったんか?


「あー私は大丈夫。元々親は居ないし。私は孤児なんだよね」


 最初に答えたのはミキ。

 あっさり言ったがそれって結構重い話じゃね?

 悪い事聞いちゃったな。


「すまんミキ」


「良いって良いって、私は孤児なのを気にしてないから」


 ミキは本当に気にしてないって感じでケタケタ笑いながら言った。


「カナはね〜、ちゃんとお父さんとお母さんに許可もらったよ〜」


 次はカナ。


「ちょっと待て、誘拐されたばかりでよく許可貰えたな?」


 カナの両親はカナを大切にしてるみたいだったし。


「んと〜、最初は反対されたけど〜。がんばってお話したら許してくれたよ〜」


 その頑張った部分が気になるが触れないとこ。

 ……俺の勘が触れるなって警告してるからな。

 まぁ許可貰ったなら良いや。


「ルフレー、ルフレは許可貰ったのー?」


 レンドは自分の背中に居るルフレに話しかける。


「許可? そんなの貰えるわけ無いじゃん」


「オイ、それマズくね?」


「だってアタシのパパとママは他の町に居るし。それに仮に話してもあの頭の硬いパパが許可くれる訳ないもん」


 いや、だからってな。


「気が向いたら手紙で報告するからいいのよ」


 所詮、人のうちの事情だからこれ以上は聞かんが問題起こすなよ


「手紙かー、そろそろオイラも故郷の家族に手紙を書くかなー」


 ふと思い出した様にレンドが言った。

 ……そいや俺も旅に出てから一度も手紙なんか書いたこと無いな。

 次の町で親父とエルに手紙を書くかな。


 そんな感じで俺達は次の町を目指してひたすら荒野を歩いて行く。


【キットの手紙】


 拝啓、親父、エル、元気にしてますか。

 俺は元気です。


 まだまだ旅は続きますが俺は何とかやってます。

 本当に楽しい事も辛いことも色々ありますが一応元気にしてます。


 あのさ、俺に四人もの大切な仲間が出来ましだ。

 四人とも個性的だけど面白しろい奴ばかりです。

 四人との出会いは……これ以上書いたら止まらなさそうだからユートピアに帰ったら直に話します。


 親父もエルも俺は本当に元気だから心配しないで下さい。

 手紙もまたそのうち書きます。


 キットより


 オマケ


 メイジザード学園は届け出を出せば休学出来る。

 これは本来は家の都合やら学費を稼ぐ為、あるいは著名な魔道士に一時的に弟子入りする為などの理由で町を離れなければならない生徒の為の制度である。


 ルフレ達は魔界騎士であるキットに同行して勉強するという名目で無理矢理許可をとった。

 

 休学中の課題はかなりの量がある。

 また臨時テストも非常に難しい為、ルフレ達は旅をしながら夜はひたすら勉強する事になる。

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