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第四十三話 このドキドキはなに?

【学生寮ルフレの部屋、カナ視点】


 あれからキットくん達は休息と防具の修理の為に明後日まで滞在する事になったよ。

 修理の為のお金はお父さんが出すって。


 お父さんは


「娘を助けてくれたんだからこれ位は出させて下さい」


 っ言ってたよ。


 キットくんは泣いて喜んでくれた。

 お父さんありがとう。


 その後カナはルフレちゃん達の課題のお手伝いしてるの。

 ルフレちゃんもミキちゃんもカナを助けてくれたんだからね。


 二人とも兵士さんにお説教されてヘコみながらも凄いスピードで課題をこなしてく。

 ……カナってひょっとしてお手伝いする必要無かったかな。


「まったく、なんでカナを助けたのに怒られて課題までやんなきゃいけないのよ。意味分かんないわ」


 ルフレちゃんはずっとこんな感じでプンプしてる。


「ルフレ仕方ないよ。まぁ課題やれば許してくれるからラッキーだと思わないとね」


 それをずっとなだめてるミキちゃん。

 でも二人ともおしゃべりしながも手は全く止めてない。

 ……カナって本当に必要無かったかも。


「納得いかないわよ! ……っとやっと課題が終わったわ」


「ルフレ終わったんだ。私も丁度終わり」


 えっ? 二人も早いよ〜。

 あんな分厚い問題集を一時間で終わらせてる〜。


「カナありがとう。おかげで助かったわ」


 ルフレちゃんがお礼を言ってくれた。


「ふぇっ! お、お礼言うのはカナの方だよ〜。ルフレちゃん達がカナを人間達から助けてくれたんだから〜」


 本当に、本当に感謝してるんだよ。

 ルフレちゃん、ミキちゃん、レンドくん。

 そして、キットくん。


「おっ! カナぁ、顔が赤いぞ。さてはキットの事を考えてたな」


 ミキちゃんがニヤニヤ笑いながら言った。


「ほぇっ! そ、そんなこと……」


「隠さなくていいぞ恋する乙女よ。ニヒヒヒ」


 も〜ミキちゃんのいじわる。

 絶対カナの反応見て楽しんでるでしょ。


「……あんなアホ骸骨の何処がいいんだが」


「おっ、コッチは嫉妬か? こりゃ三角関係になるんかな?」


「はっ倒すわよミキ!」


 そう言うとルフレちゃんはミキちゃんを追いかけ回す。

 二人ともお部屋の中で走ると危ないよ〜。


「そう言うアンタはどうなのよミキ! レンドがアンタに気があるみたいじゃない?」


「ん? 好みじゃないからパス」


 それを聞いたカナとルフレちゃんは同時にコケた。


「ミ、ミキちゃん。それは少しひどくない?」


「だって私ってマッチョな男が苦手なんだもん。あとレンドって私の胸ばっか見るし。そりゃ良い奴なのは分かるけどレンドとは友達以上にならないかな?」


 な、なんて言うかミキちゃんらしいな。

 でもレンドくんが少しかわいそう。


「それよりさぁ。明日学校終わったらキットとレンドも誘ってケーキ食べに行こうよ。人間達倒したお祝いにね!」


「あら、いいわね。アタシは賛成よ」


 やった〜ケーキだ。

 カナはケーキが大好きだよ〜。


「カナも賛成〜!」


 それからカナ達は明日行くお店を選んたり雑談したり楽しい時間を過ごしたよ。

 明日が楽しみだな〜。


【次の日、町のケーキ屋】


「……なんで俺達の奢りなんだよ」


「アンタ馬鹿? こう言う時には男が奢るって決まってるのよ」


「ミキってショートケーキが好きなんだー」


「そうよ。あ、店員さん。追加でショートケーキ一つお願いします」


 上から順にキットくん、ルフレちゃん、レンドくん、ミキちゃん。

 キットくんとルフレちゃんはずっと言い合いしてて、レンドくんはミキちゃんに質問攻めしてそれを聞き流しながら物凄い勢いでケーキを食べるミキちゃん。

 …ミキちゃん、それって十個目だよね?


 カナはそれを聞いきながらケーキを食べてるよ。


「デリカシーの無い男ね。ねぇカナ? カナも何か言いなさいよ!」


「ふぇ!?」


 ルフレちゃんにイキナリ話をふられる。

 な、何かって何を!?


「あ、あのキットくん、レンドくん。カナを助けてくれてありがちょう」


 って噛んじゃった!

 は、恥ずかしい。


「「「「ぷ、はははは……」」」」


「み、みんな笑わないでよ〜」


 も〜、みんな笑いすぎだよ〜!


「さっすがカナだわ」


 流石って、ルフレちゃん何が流石なの~?


「やっぱカナは癒やされるわ」


 ミキちゃんそれは褒めてるの? けなしてるの?


「うんうん」


 レンドくんは何か納得した表情でうなずいてるよ。


「いやぁ笑って悪かった。カナって可愛いな」


 えっ!? キ、キットくんが、カ、カナのことを可愛いって言ってくれた。

 顔が熱くなるのが自分でもわかる。


 横でミキちゃんがニタニタ笑って、レンドくんは微笑ましいって感じでカナを見てるよ。

 ルフレちゃんは何だか不機嫌そうにしてる。


 う~、穴があったら入りたいよ〜。


【三時間後】


 ケーキ屋さんからの帰り道、キットくん達とバイバイしたカナ達はおしゃべりしながら歩いてる。


 ……明日、キットくん達はこの町をはなれるんだよね。


 カナを助けてくれた時のキットくんはカッコよかったな。

 昔お母さんに読んでもらった絵本の主人公みたいだった。


 ……カナはキットくんがす、すきなのかな?

 よく分かんない。

 でもキットくんとお話すると胸がドキドキする。

 これが……恋、なのかな?


「ねぇミキ、カナ」


「ん、どうしたのルフレ?」


「ほぇ?」


 どうしたんだろうルフレちゃん。


「……アタシね、キット達の旅について行こうと思うの」


 え?


「アタシの夢は魔界の歴史に残る大魔道士になること。その為には学園にいるよりキット達と一緒に人間退治した方がいいと思ったのよ。勝手に決めてゴメンだけどね」


 ルフレちゃんは満面の笑顔でカナ達に言い切った。

 ……ルフレちゃんが眩しく見える。

 ……ルフレちゃんってスゴいな。

 カナと違って何時も自信あって堂々として、夢に向かって真っ直ぐで。


「……ルフレらしいっちゃ、ルフレらしいか。でも条件が一つ、私も同行するからね」


 ミキちゃんまで!?


「……ミキ」


「ルフレだけを行かせたら親友じゃないわよ。それにあいつ等と一緒に騒ぐのも楽しかったしね」


 ウインクしながら言うミキちゃんがスゴくカッコよく見える。

 ミキちゃんはいつもカナ達のことを大事にしてくれる。

 だから今回もルフレちゃんの為について行くんだよね?


「カナ、アンタは残りなさいよ」


 え?


「そうよカナ。カナにはこの町に家族が居るんだらね」


 カ、カナは。

 カナはどうしたいの?

 お父さんお母さんは勿論大事だよ。

 でも、


「ミキ、今から先生の所に行くわよ」


「オーケー。でもコレって退学になるのかな?」


 でもお友達も大切。

 それに、キットくんも。

 ……………………………………………今、決めないと後悔するんだよね。

 キットくんがお話してくれたラピスさんならきっとこう言うよ。


「カ、カナも行く! カナも一緒に行くよ!」


「「カナ!?」」


 後悔したくないから。

 カナも後悔したくないからお友達と一緒に行く。

 そしてこのドキドキが恋か確かめるの。


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