第四十一話 違い。
【キット視点】
俺と軽装の剣士、デロールは牽制しながら走る。
「そろそろこの辺で良いだろ骸骨」
「構わないぞ、あと俺はスケルトンだ!」
レンドやルフレ達とは大分距離はあるな。
この辺りなら周りを気にせずに戦えそうだ。
……俺達は睨み合いながら同時に剣を抜く。
相棒、勝つぞ。
……相棒が任せろって言ってる気がする。
いつもありがとう、相棒。
俺は大きく踏み込みデロールに向かう。
「『速度強化呪文』!」
それと同時に自負自身に魔法を使う。
「『疾風斬り』!」
そして毎度お決まりの『疾風斬り』、単純だが強力な最速戦法だ。
「甘えぇんだよ骸骨、『下位閃光呪文』!」
いっ!?
俺の斬撃が当たる前に魔法が。
俺は慌てて盾で防いだ、だが攻撃は中断。
『速度強化呪文』と『疾風斬り』のコンボが通じないのかよ。
「てめぇが早いのは分かってるんだ。だったら不意を付かれねぇようにするに決まってるだろ?」
「……その通りだな」
別に油断した訳ではない、またデロールを侮った訳ではない。
ただ最初に戦った時に前に倒したガイウよりは弱いと感じ、ルフレさえ居なければ勝てると思い込んでいた。
確かにデロールは前にガイウに比べたらパワーは無い、だが弱いとはならないよな。
……気を締めなおそう、俺は負けるわけにはいかないから。
「今度はこっちの番だ!」
デロールは物凄い勢いで剣を突いてくる。
俺はそれを盾で防ぐ。
「……その盾が邪魔だな、それ!」
い!?
剣の先で俺の盾を引っ掛けて弾き飛ばしただと!?
なんつう器用な事を。
俺は慌ててバックステップで後ろに下がる。
「距離とっていいのかよ? 『下位閃光呪文』!」
デロールの魔法は俺の左腕に当たった。
俺の左上腕骨から焦げた嫌な臭いがする。
大したダメージじゃないのが救いか。
……だがな、俺もやられっぱなしで要られるかよ。
「デロールお返しだ。『炎呪文』!」
「うわっと!?」
俺の魔法はあっさり避けられた。
「その魔法が危険なのも分かってるんだ、警戒してるってぇの」
「あー、納得したわ」
一度見せてるからな。
それは警戒もされるわな。
「だからオレは安全に地道にやらして貰うぜ!」
デロールは俺に向かって突っ込んでくる。
だが、スピードなら『速度強化呪文』で強化した俺の方が……
「うらぁ、『魔法解除呪文』!」
嘘だろ!?
そんな魔法ありかよ。
デロールによって俺のスピードは元に戻された。
驚いてる間にデロールは近づき俺に剣で斬りつける。
それを俺は左手で受ける。
……当然、俺の左手は砕けた。
「……痛いが、この距離なら避けられないだろ!」
俺は痛みを我慢しながら相棒で横に斬る。
「だから甘えぅって!」
デロールはそのままジャンプして俺の斬撃を避けてそのまま宙返りして俺の後ろに着地した。
なんつう身軽な。
左手を犠牲にしても当たらんのかよ。
俺は急いで反転しようとするが、
「ほれ、食らっときな!」
デロールは俺の方を見ずに蹴りを放つ。
俺は避けられずそのまま地面に転げた。
「うらうらトドメだぜ! 『中位閃光呪文』!!」
太い光線が俺の右顔面を削り取った。
……右半分が見えない。
だがギリギリ意識は保ってる。
気を抜くと直ぐにどっか行ってしまいそうだけどな。
「ヨッシャ、オレの勝ち! さて他の連中の援護に行くか。ロヘロはバカだけど力は強いから、やっぱ行くならルポン達の所か」
痛みでテンパった頭がやっと冷えた。
さっきからデロールが誰かに似てると思ったが俺に似てるんだな。
素早い、剣と魔法で戦う、偶に変則的なコトする、まんま俺じゃん。
あー嫌な事に気付いた。
……それともう一つ、詰めが甘いのも俺と似てるぞ?
「……本当に甘いな、お互いに」
「……んなバカな!?」
俺はふらつきながらもユックリ起き上がる。
「ありえねー!? アンデッドの魔物なら頭を抉ったらそれで終わりだろ、普通わ!」
「……残念だったな、俺は普通じゃないんだよ。俺は『不死身』だ!」
デロールは俺が相手で運が無かったな。
これがゾンビのレンドやミキだったら確かに終わってた。
……そして今のデロールの言葉でデロールを倒す方法を思いついた。
「ちくしょー。魔力の残りが少ないが、『下位閃光呪文』!」
俺の右大腿骨に当たるが無視。
そのまま俺はデロールに向かって走る。
「んあ!? 来んじゃねぇ骸骨! 『下位閃光呪文』!」
今度は右肩に当たるがこれも無視!
……本当に似てるな俺に。
俺も前にテンパって魔法打ちまくった事があったな。
だが俺とお前の違いはある。
俺は『不死身』、痛みさえ堪えたらこの程度のダメージは無いも同然。
「来んじゃねぇって言ってるだろ骸骨!」
今度は俺の右腕を相棒ごと斬り飛ばす。
だが俺は止まらない。
デロール、俺の腕を斬りつけた体制では避けられないだろ?
「ひっ!?」
「……捕まえたぞ」
俺は手のない左腕と前腕部の無い右腕でガッチリ抱きつく。
「デロール、これなら今度こそ逃げられないだろ?」
「離せ骸骨、何する気だ!?」
「何って? このまま『炎呪文』で俺ごと焼くんだよ」
「なんだと!?」
これでデロールは倒せる。
俺も焼けるが俺は『不死身』だから復活出来るから問題ない。
「は、離せ骸骨、離せー!!」
「あーそれとな、俺は骸骨じゃねぇ。俺は『不死身』のスケルトンだ!」
デロールはバタバタ暴れるが俺は絶対離さいよ。
……さて、すっげー嫌だがやるか。
「『炎呪文』!」
「う゛っ、う゛わ゛ーー!!!」
炎に包まれながら考えたのは仲間達の事。
みんなは勝てたかな?
みんななら大丈夫だよね?
そして俺はデロールの悲鳴を聞きながら意識を手放した。




