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第四十話 礼。

【レンド視点】


 ルフレの魔法で上手く人間達を分断出来たよ。

 さて、オイラ達も一対一の体制に持ち込むよー。

 あの戦士とは一対一でケリを着けたいんだよね。


「おいロヘロ、あの牛は任せたわ。オレはあの骸骨やるからよ」


「おー。飯食ったオデ、誰にも負けない」


 人間達も一対一が良いみたいだね。

 好都合だよ。


「レンド、そっちは頼むよ」


 キットがオイラに言う。


「もちろん! オイラに任せなよー」


 友達が頼ってくれるなら期待に答えないとね!


 キットと剣士の人間はお互いに牽制しながらこの場を離れてった。


 ……キットもミキちゃん達も頑張れ!

 オイラも頑張るからね。


「えーっと、ロヘロ? で良かったかな。よろしくね。オイラはレンドだよー」


 オイラは挨拶してお辞儀をする。

 勝負は礼に始まり、礼に終わる。

 師匠に習ったモンクの大切な教えだからね。

 ちゃんと守らないと。


「そう、オデはロヘロ。腹減ってないオデは強い。オデ、今度こそレンドを倒す」


「それはお互い様だよー。前はミキちゃん庇いながら戦ってたからオイラも本気出せなったんだよー」


 ミキちゃんに指一本触れさせたくなかったからね。

 あんな形の良いオッパイの女の子を守らないのはオイラの信念に反する!


 でも、正直今はミキちゃん達が居なくて良かったよ。

 これでロヘロと思いっきり戦えるんだから!


「……行くど!」


 ロヘロは自分の武器である巨大なハンマーを構えてオイラに向かって来る。


「……こい!」


 オイラもロヘロに向かって拳を構える。

 さぁ、戦いだ!


 まずはお互いに様子見。

 ロヘロのハンマーとオイラの拳がぶつかり大きな衝突音がする。

 ロヘロとオイラのパワーは互角ぐらいかな?


「ふんがー!」


 ロヘロが上からハンマーを振り落とす。


「『受けの構え』!」


 オイラは『受けの構え』でそれを防ぐ。


「まだまだいくどー!」


 ロヘロが連続でハンマーを振り落とす。

 んー、ちょっと不味いかな?

『受けの構え』でダメージは殆どないけど釘打ち見たいに足が地面にめり込んでいってる。


 守ってダメなら反撃あるのみだよ!


「うがー!」


「隙ありだよ、『正拳突き』!」


 ロヘロがハンマーを振り上げた瞬間に構えを解き、胴体目掛けて拳を突く。


「ぐぅ、 まだまだ!」


 ロヘロはオイラの『正拳突き』を受けながらもそのままハンマーを振り落とした。


 オイラに直撃して頭がグワングワンする。

 ちょっと油断したかな。

 ゾンビの弱点の頭部直撃は危ないからねー。

 でも、


「オイラだって負けないよー!」


 オイラは頭の痛みを堪えながらハンマーを掴みそのままロヘロごとブン回す!


「お、おー!?」


「てぃやーっ!!」


 そして近くの岩に向けて叩きつけた!


「ロヘロ、まだ終わりじゃないよね?」


「……当然。オデ、レンド倒すまでやる」


 ロヘロは砕け散った岩を払いならがら立ち上がる。


 ……自分が笑ってるのが自分で分かる。

 そう、これこそ戦いだよ。

 オイラとロヘロが全力でぶつかり、お互いの死力を尽くす。


 ……みんなには悪いけどオイラはこの戦い楽しいよ。

 だってこれこそオイラが望んだ戦いだから

 友達の為、魔界の為、そして自分の為に全力で戦える。


「いくどーレンドー!」


「負けないよーロヘロー!」


 オイラの拳とロヘロのハンマーがまた激突する。

 ……みんな、後で必ず助けに行くから今だけはこの戦いを全力で楽しむオイラを許してね。


 ……どれだけ打ち合ったんだろう。

 ……どれだけ時間経ったんだろう。


 オイラとロヘロはお互いに一歩も引かずに戦い続けた。

 どちらも体中アザと打撲だらけだよ。


「……ハァ、ハァ、うがー!」


「……ハァ、ハァ、『旋風脚』!」


 もう、数えるのが馬鹿らしくなるくらい繰り返した攻撃をまた打ち合う。


 オイラの左腕は折れて使い物にならない。

 でもロヘロの鎧もボロボロで鎧の役割を果たして無い。


 ……楽しい、最高に楽しいよ。

 全身から血が踊る感覚、体の痛みを超越する興奮、やっぱり真剣勝負は最高に楽しい。

 でもオイラの体力は残り少ない、ロヘロも多分同じだよね。


「「……」」


 お互いに無言で距離をとる。

 ロヘロも分かってるんだ、次が最後の攻撃になる事を。


 ロヘロはハンマーを強く握り直し構えてる。

 ……これが最後の攻撃ならオイラの最強の技を出さないとね。


「ふーっ」


 深く息を吐き、そして角を前に突き出し地面を軽く蹴る。

 ……これで最後だ。


「『突進』!!」


 オイラはロヘロに向かって全力で突っ込む。


「負けねーどーっ!!」


 ロヘロはオイラの『突進』に合わせるようにハンマーを振る。


 オイラの角とロヘロのハンマーはぶつかり、もの凄い音が周りに響く。


 ロヘロのハンマーは砕け、オイラの角は片方折れた。

 ……今の激突は引き分け、でもね、


「……オイラの勝ちだよ」


「……あぁ、オデの負けだ」


 オイラはそのままロヘロの懐に潜り込み折れてない方の腕を腰で構える。


「『正拳突き』!」


 オイラの『正拳突き』がロヘロの腹に捩じ込まれる。

 ……これで本当に終わりだよ。


「グハッ!」


 ロヘロは大量の血を吐き出すとそのまま地面に倒れ込む。


 ……勝った。

 ロヘロとの真剣勝負はオイラの勝ちだ。

 やったよ、やったんだよ!

 ……と、喜びながらオイラは考える。


 ……まだまだオイラは修行が足りない、もっと強くならないと。

 辛うじて勝てたけど最後の衝突の時にハンマーが砕けなかったらオイラが負けてたかも。

 そう考えるとオイラはまだまだ弱いな。


 さて反省時間は終わりだよ。

 早くみんなを助けに行かないとね。


 キットは……大丈夫だよね。

 だってキットなんだもん。

 キットが強いって信じてるからね。

 だからオイラはミキちゃん達の所に行くから。


 オイラは倒れてるロヘロに軽くお辞儀をしてミキ達の所に向かう。


 ……ロヘロ楽しかったよ、ありがとう。

 オイラは心の中でロヘロにお礼を言ってその場を後にした。


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