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第三十四話 ツンデレしやがって!

「何やってんだチビガキ!」


 俺はチビガキに怒鳴った。

 このチビガキあんなに言ったのに何で来たんだ!


「チビガキ言うな! アンタみたいなアホ骸骨にカナを任せられる訳ないでしょ。アタシ達がカナを助けるからアンタは邪魔しないでよ!」


 このチビガキ、言ってる意味分かってるのか!?


「キット! 人間達が」


 人間達が魔法で攻撃しようとしてる。

 ムカつくチビガキだが助けないわけにはいかないか。


「レンド、防御だ!」


「よーし、『受けの構え』!」


 レンドはミキさんの前で『受けの構え』を、俺はチビガキの前で盾を構える。


「ひっひっひ、それ『下位爆発呪文ボム』じゃ!」


「はぁ、仕方ないか。『下位風呪文ウインド』!」


「うらうら、『下位閃光呪文レーザー』!」


 白髭のジジイは光球を、女はカマイタチを、剣士の男が光線を放った。


 光球はレンドに当たり爆発し、カマイタチと光線は俺の盾に当たった。


「な、なに勝手な事してんのよ!」


 チビガキが後ろで何か言ってるが無視。

 今は相手してる場合じゃない。


「レンド、そっちのジジイと戦士を頼む。俺は剣士と女を相手する!」


「うっし、任されたよー!」


 二対一か、キツイけどやるしかない。


「『速度強化呪文アクセル』!」


 からのダッシュ!

 狙うは女。


「『疾風斬り』!」


「させるかよ!」


 チッ、剣士が自分の剣で俺の『疾風斬り』を止めやがった。


「骸骨が魔法やスキル使うのかよ、やっぱ魔界はおっかねぇぜ!」


「俺は骸骨じゃねぇ、スケルトンだ!」


「マジかよ、人語まで理解できるんか!?」


 そんな事を言いながらも鍔迫り合いは続いてる。

 力はほぼ互角か。


「デロール、当たってもいいけどその骸骨抑えといて。『中位風呪文メガウインド』!」


 マジか! あの女、仲間ごと俺を魔法で攻撃してきた!?


 俺と剣士はほぼ同時にさっきより大きなカマイタチを避けた。


 あっぶねぇ。


「デロール、ちゃんと抑えといてよ」


「アホか! 俺ごと攻撃するんじゃねぇよルポン。危うく真っ二つになるとこだったじゃないか!」


 剣士の名前はデロール、女の名前はルポンか。

 と、そんな事気にしてる場合じゃねぇ。


「アタシを無視するなー! 『炎弾呪文バレット』!」


 俺の後ろから飛び出したチビガキが空から火の玉をぶっ放した。

 が、デロールが剣で防いだ。


 昨日俺が食らった時にも思ったが、あの魔法は出が早いが威力は低いよな。


「チビガキ出てくるんじゃねぇ! さっさと逃げろ!」


「アンタこそアタシの華麗な活躍の邪魔しないでよ! アンタがしっぽ巻いて逃げたら?」


 そう言いながら俺にどついてくるチビガキ。

 このチビガキ、戦闘を何だと思ってるんだ!


 チラッと横目でレンドを見るとあっちも苦戦してる。

 いくらレンドでもミキさん庇いながら、ジジイが持ってるミカさんが囚われてる籠を気にしながらだと本領は出せないか。


「チャーンス! 『中位閃光呪文メガレーザー』!」


 デロールが魔法を!?

 不味い! チビガキを狙ってるのか。

 俺はとっさにチビガキを力任せに押す。

 間に合え!


「っ!!?」


 チビガキは何とか守れたが代わりに俺の腰の脊髄にかすった。

 ヤバイ、脊髄は復活が遅いのに。


「なっ、何で!? 何やってるのよアホ骸骨!」


「無事なら黙ってろ! 『炎呪文フレイム』!」


 俺は痛みを堪えながら魔法を使う。


「避けろ、ルポン!!」


「ひぇーーっ!!」


 クソッタレ、人間達はかすっただけかよ!

 腰をやられたから狙いが定まりきらなかったか。


「あっつっっ! ルポン、早く回復してくれ」


「……もう人間界に帰りたいよ、『下位治癒呪文キュア』」


 ルポンは回復呪文も使えるのか!?

 マジでヤバイな、どうする?


「じっとしてなさいアホ骸骨。『回復呪文ヒール』!」


 なっ!? チビガキが俺に『回復呪文』を!?


「……勘違いしないでよ。アタシはアンタに借りを作りたくないだけなんだからね。これでさっきのはチャラなんだから!」


 なんだよそれ?

 だが腰のダメージは復活したか。


「……一応礼は言っとく、ありがと」


「キットー!」


 レンドがミキさんを抱えてこっちに来た。

 よく見るとレンドは体中傷だらけだ。

 だがミキさんには傷は無い。

 レンド、頑張ってミキさんを守り抜いたんだな。


「お互い苦戦してるな、レンド」


「はははは、もう新品の道着がボロボロだよー」


 だがレンドの顔は笑ってる。

 この状況で余裕が残ってるレンドは流石だ。


「おぅ、ゾマとロヘロもこっち来たんか」


「来たんか、じゃないわい! あの牛の魔物はしぶといわ、ロヘロは空腹で役にたたないわで散々じゃ!」


「はらへったー、めしー」


「もう逃げようよ。わたしさっきの『中位風呪文メガウインド』で魔力使い過ぎてヘトヘトだよ」


 あっちも合流したか。

 それにしても相変わらず纏まりのないチームだな。

 ジジイはゾマで、戦士はロヘロか。

 一応覚えたぞ。


 しかし不味いな、チビガキ達を庇いながらてば全力が出せない。

 だがカナさんは助けないと。


 俺は翻訳クリスタルの魔力を切りレンドに話しかける。

 レンドも察してくれたか翻訳クリスタルの魔力を切ってくれた。

 ……人間達は揉めてるな、内容は今の俺には聞き取れないが。


「何か作戦があるのキット?」


「作戦って程じゃないけど。おいチビガキ、お前は『攻撃強化呪文アタック』は使えるか?」


「馬鹿にしてるの? 使えるに決まってるでしょ!」


「よし、後は何か目くらましがあれば……」


「それなら私が光を放つ魔道具を持ってるけど?」


 ミキさんナイス!

 これで手札は揃った。


 俺は簡潔に作戦を三人に伝える。


「……本当に上手くいくんでしょうね?」


「なんだ、自信ないのか?」


「誰に言ってるのよ! アタシはエリートよ」


「ミキちゃんお願いねー」


「おーけー、まっかせなさいって!」


 さぁて、


「やるぞ、みんな!」


 作戦開始だ!

 オマケ


『魔道士』


魔法を使う専門家の総称。


魔道士は沢山の種類があり、魔道兵士(魔法を専門に扱う兵士。サージョは魔道兵士に分類される)、魔法研究家(魔法の研究、新たな魔法を開発するもの)、魔道具士(魔道具を研究開発する、または魔道具を使うスペシャリスト)、魔道医師(魔法による医療の専門家、ラピスは魔道医師に分類される)などがある。


魔道士になるには国家試験を受けて合格しなければならない。

その為の勉強を教えるのが魔法学校。

メイジザード学園は魔界帝国一の魔法学校である。

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