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第三十一話 再会したらまたケンカ。

【次の日、メイジザード学園】


 デカイ、本当にデカイなこの学園。


「つかデカすぎね?」


「メイジザード学園は男女別の校舎で勉強するかねー。右の校舎は男子校舎、左の校舎が女子校舎になってるんだよー。実質二つの学校が一つのになってるに近いんだよー」


 レンドなぜに詳しいの? ってレンドだから事前に調べたか昨日の内に聞いたんだろな、多分。


「やぁレンドさん、今日も来てくださったんですか?」


 レンドと駄弁ってたら横から声をかけられた。

 誰だ?


「はい、今日もお話を聞きたくてきましたー。あとこっちが昨日話した魔界騎士のキットだよー」


「あっどうも。キットです」


「はじめましてキットさん、僕はこの学園で教師をしてるリョウです」


 リョウさんは銀色の毛並みを風に揺らしながら挨拶してくれた。

 ……この人、随分イケメンな『ワーウルフ』だな。


「キットー、リョウ先生は例の行方不明の生徒の担任なんだよー」


 レンドは小声で俺に教えてくれた。

 て事は、この先生は女子クラスの担任なのか!?

 色々と羨ましいぞ。

 イケメン爆ぜろ。


「立ち話も何ですし、とりあえず応接室に案内しますよ」


【応接室】


 応接室に案内された俺達は、先生に昨日兵士さんから聞いた話をした。


「ではキットさんは人間に誘拐されたと仰りたいんですね?」


「はい、まだ可能性の話ですが。ただ以前にも人間による誘拐事件は起きてますから可能性は高いかと」


 ガイウの時も誘拐だったからな。

 今回も同じ可能性はある。


「……まだあの子は生きてると?」


 先生は声を震わせながら俺に聞いてきた。

 心配なんだろう、この人は。


「はい、絶対とは言えませんが。ただ前に戦った人間曰く、生け捕りの方が人間界で高く売れると」


「魔族を売るために誘拐するのか人間は! だが生きてる可能性があるんですね?」


 リョウさんは苛立ってるな、当たり前だが。

 だが生きてるなら助けられる。


「だから先生ー、誘拐された娘の事を詳しく教えて欲しいんよー」


「分かりました、ちょっと待ってて下さい。あの子と仲が良かった友達を呼んできますから。その為にここに来てくれたんですよね?」


「話が早くて助かります」


 察しが良い人だな。

 絶対モテるタイプだなリョウさんは。

 ……羨ましい。


 リョウさんが応接室から出ていくとレンドが話しかけてきた。


「キットー、これからどうやって人間探すのー?」


「んー、とりあえず潜伏先の目処は付いてるんだよね。昨日兵士さんに人間の目撃された場所を聞いといたし」


 目撃された場所はかなり集中してる。

 おそらくその近くに潜伏してるだろう。


「でももし人間がもう居なくなってたらー?」


「多分、まだ居るよ」


 確証は無いが。


「何で言い切れるのーキット?」


「今回人間は兵士さんや冒険者と争わずに誘拐を成功させてるだろ? 楽して獲物を手に入れた人間は多分味をしめてる筈だ。だから人間はもう一度同じ手段で誘拐しようとするだろう」


 人間は強欲だ。

 一度成功したならもう一度もう一度と同じ手口を繰り返すだろう。


「流石魔界騎士、人間の事よく分かってるねー」


 本当は俺の前世が人間だったからなんだけどな。

 レンドに言っても信じてもらえないから言わないが。


 これが魔族の犯罪者ならまず間違いなく、すぐにその場を離れる。

 何故なら同じ場所に留まれば魔獣に襲われる可能性が増えるからな。

 魔獣の中にはニオイや音で獲物の住処を特定して油断した隙に住処に襲いかかるってのも多い。


 だが人間はそんな事は知らない。

 強欲な人間は必ずまたこの町の魔族を狙う。


 ……絶対に見つけてやる人間。

 ……今度は絶対にラピスさんの時みたいなミスはしないからな。


「先生ー、ここにあの魔界騎士が居るんですか?」


「ルフレ、魔界騎士さんはカナをさがす為に来たんだろ? ちょっと不謹慎じゃない?」


「だって、あの魔界騎士だよミキ。不謹慎なのは分かってるけどこんな機会滅多にないじゃん」


 表が騒がしいな。


「ねぇねぇキットー、女の子達が来たよー。どんな子達だろ? 巨乳かな?」


 ……表だけでなくレンドも騒がしかった。

 本当レンドは巨乳好きだな。


「二人共、失礼の無いようにね。キットさん、レンドさん入りますよ」


 そう言うとリョウさんが応接室に入ってきた。

 その後に青い髪のショートヘアな『ゾンビ』の子。

 この子胸は結構デカイな。


 横を見るとレンドが目を真ん丸にしてゾンビの子をガン見してた。

 ……それじゃ変質者だよレンド。

 案の定ゾンビの子は可愛い顔を引きつらせてるし。


 最後に入ってきたのは………


「「あーーーーっ!!!」」


 昨日のチビガキ!?

 俺とチビガキは同時に声を上げた。

 金色の長い髪、青い目、白い翼、何よりそのチビな体、忘れもしない昨日のチビガキだ!


「アンタ昨日のアホ骸骨! なんでアンタがここに居るのよ!?」


「それはコッチのセリフだ! お前こそなんでここに居るチビガキ!」


「チビガキ言うな! この学園の生徒だからに決まってるでしょアホ骸骨。」


「お前こそ骸骨言うな、俺はスケルトンだ! 俺は魔界騎士だからここに居るんだよ!」


「アンタが魔界騎士!? 嘘!? アンタみたいなスケベ骸骨が?」


「スケベ言うな! 大体あれはお前のせいだろ! 嘘じゃねぇし! 俺は正真正銘の魔界騎士だ」


 そう言うとチビガキはこの世の終わりみたいな顔して頭を抱えだした。

 何て失礼な奴だ!


 チクショー、昨日の今日でまたコイツに会うとは。


 昨日の嫌な予感が当たったか。

 本当に俺の嫌な事だけはよく当たる。

 本当にチクショーめ。


 オマケ


 『メイジザード学園』


 ルークスにある魔界帝国一の魔法学校。

 この学園の卒業生は皆魔道士のエリートとして魔道具開発、魔法開発、兵士などになる。

 入学する為には難しい試験をクリアし高い学費がいる。が、場合によっては免除される事も。


 男女で校舎が別。サージョの母校でもある。

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