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第二十五話 スキルの確認は大事だよ。

【二時間後、ボンド東の荒野】


「……そっかぁ魔界に人間の味方をする裏切り者がいるんだ、何だか悲しいよねー」


 レンドには人間の事も次元穴の事も、そして裏切り者の事も話した。

 レンドとはまだ長い付き合いじゃないけど信頼出来ると思ったから。

 ……俺が信頼出来ると思った人には話していいんですよね、兵士長さん。


「俺達の目的はその裏切り者を捕まえて人間を全て退治する事だレンド」


「……そっか、人間を全て退治するんだよね」


 ん? 何でレンドは複雑そうな表情してるんだ?

 何か思う事でもあるのかな?


「ねぇ、キット、そろそろお互いの戦闘能力を確認しない?」


 そうだよな、お互いの魔法やスキル確認しないと連携が取れないよな。


「なら、あの辺の岩がゴロゴロある辺りでお互いに見せ合おうよ、レンド」


【岩がゴロゴロある丘】


 確認良し、周りに魔獣は居ない。

 ……この辺の岩を敵に見立てて魔法とスキルを見せれば良いな。


「なら俺から見せるな、『炎呪文フレイム』!」


 まずは魔法から。

 この『炎呪文フレイム』の威力も大分上がったよな。

 前は手のひらサイズの火炎放射だったのに、今は全力で放つと俺の身長と同じ位のサイズの火炎放射が出せるからな。

 

 ……全力でやると直ぐに魔力が無くなるがな。

 ……これだけ鍛えてもエルやサージョさんの足元にも及ばないけどな。


「次は『速度強化呪文アクセル』! 」


 この魔法も大分世話になってるよな。

 今の俺が使うと大体二倍強位にスピードが上がる。

 持続時間は十分前後かな。


 ……そのまま一番近くにある岩までダッシュ!


「『疾風斬り』!」


 俺と同じ位のサイズの岩を真っ二つに切り裂いたぜ。

 使い勝手が良く出が早い『疾風斬り』は俺の得意技だよな。

 威力が少し物足りないが、その威力がいる敵には、


「そのまま『疾風乱舞』!」


 このスキルがある!


 俺は岩を粉々に切り裂いた。

 痛っ! ……またか。

 このスキルは連続で『疾風斬り』を六回連続放つから威力は凄いが腕に掛かる負荷がデカイのが欠点だよな。


「俺は終わったよレンド。後は普段は使えないスキルが二つ。盾が今は無いけど、盾による防御術も出来るよ」


 『凶戦士』は自分の意志では使えないしな。

 ……レンドに『凶戦士』の時の俺は見られたくないな。

 友達に凶暴になった俺は見られたくない。


 『逃走』はかっこ悪くて『凶戦士』より知られたくないが。

 ……レンドには詳細は黙ってよ。


 盾は……ガイウにぶっ壊されたからなぁ。

 鎧もボロボロだし。

 ……店長には少し多めに給料貰ったが装備一式買い換えるには足りんよなぁ。


 はぁ、来月の魔界騎士の給料で買い換えるしかないか。


「キット凄いよー、流石魔界騎士だよー! 」


 ……なんか照れるな。


「へへへっ、次はレンドの番だ」


「よーし、やるよー!」


 気合入ってるなレンド。

 レンドはモンクだから素手で戦うのか?

 魔法袋から武器を出す様子もないし。


「あっ、最初に言うけどオイラはゾンビだから魔法は全く使えないよー」


 ……そうだったな、ゾンビはスケルトンと同じアンデッドだけど魔法が使えないんだよな。

 ゾンビは魔力自体は持ってるが魔力を魔法に変換する事が何故か出来ない。

 不思議な話だよな。


「だからオイラは肉弾戦で戦うんだよー、それ『正拳突き』! 」


 ……スゲーぜレンド。自分の体よりデカイ岩を簡単に粉々に砕いた。

 素手でもあんな威力が出せるのか。


「次いくよー、『旋風脚』! 」


 ……片足でジャンプしてさっき砕いた岩の破片を回転蹴りで弾いた!

 当たったら痛そうだな。


「よっと着地成功ー。ねぇキットー、オイラに攻撃してー」


「何でだよ、レンド? 」


 マジで何でだ?


「いいから、いいから。全力で攻撃してよー」


 ……何か防御のスキルを見せてくれるのか?


「じゃあいくぞ! 『疾風斬り』! 」

「それ『受けの構え』! 」


 ……マジかよ、腕に斬りつけたのに全くダメージが無い。

 まるで鋼鉄の塊を斬りつけたみたいだ。


 俺の全力の『疾風斬り』を無傷で防ぎきったよレンド。

 あのガイウでさえ無傷では防げなかった俺の得意技だぞ。


「これがモンクの防御のスキル『受けの構え』だよー。ただしこのスキル使ってる間は動けないんだけどねー」


 やっぱデミリットはあるのか。

 これだけの防御のスキルならそうだよなぁ。


「以上でオイラが使えるモンクのスキルは終わりだよー。オイラは修行中に破門されたから使えるスキルは少ないんだよー」


「いやいや、これだけ使えれば十分でしょ」


 ……俺も使えるスキルは『疾風斬り』と『疾風乱舞』の二つだけだからな。

『凶戦士』は自分の意志で使えないから数に数えたくないし、『逃走』はもっと教えたくないし。


「後は『高速皿洗い』と、このミノタウロスの伝統スキルの……」


 レンドが地面を軽く二回蹴った。

 何をする気だ?


「『突進』!」


 レンドは角を前に突き出し岩に突っ込んでいった。


 ……言葉が出ないな。

 ……レンドの五倍はある岩を粉々に砕くとは。


「『突進』は敵に当てにくいのが欠点だけど結構強力でしょ?」


 結構どころの騒ぎじゃないでしょ! このスキルの威力は!

 俺の『疾風乱舞』よりも威力あるよな。


「……レンドスゲー、レンド本当にスゲーよ」


「そうかな?」


 ずーっと修行してると俺もレンドみたいに強くなれるのかな?

 だとしたらメンドイけど俺もやってみるかな。


「さぁ、キットー、次は魔獣狩りに行こうよ」


「え゛?」


 今から?

 少し休んでからに……


「あっ! あそこに魔獣が居るよー、キットいくよー!」


「ちょっ、待ってレンド!」


 あー、レンド行っちゃった。

 仕方ない追いかけるか。

 ハァー、メンドイ予感がするよ。


 オマケ


 『モンク』


 厳しい修業で己の肉体と精神を鍛え悟りを目指す修行僧。

 鍛え上げた体を最大の武器とし『正拳突き』などの素手のスキルを得意とする。

 モンクは各地の寺で修業する。


 モンクの規律は厳しく、その中には結婚を禁止するというのもある。

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