第二十話 俺様は凶戦士。
ーースキル『凶戦士』強制発動ーー
俺様はガイウを倒したい！！！
俺様の前でラピスを殺しやがったガイウをぶっ殺してぇ！
俺様がこの手でガイウをミンチにしてやる！
「ガァァァァァァァァ！！！」
「……まだ奥の手を持っていたのかキット。 いいねぇ最高だぜ！」
……あぁ筋肉ダルマめ、うるせぇんだよ。
俺様を見下してるんじゃねぇ！
俺様を誰だと思ってやがる！！！
「……筋肉ダルマ黙れや、俺様に無様に殺されるまで待っとけよ」
「クククッ、随分変わったな姿も性格も」
あん？ 何言ってやがる筋肉ダルマめ。
「なんの事だ？ 筋肉ダルマ」
「気付いてなかったか？ キット、お前さっき吠えた時に傷が元通りに治ってるぞ。それに体からドス黒いオーラを出してる。目の奥も不気味な光を出してるしな。何よりお前の剣が馬鹿みたいにデカくなってるぞ？」
……クソ筋肉ダルマに受けた傷が確かに復活してるな。
ラピスが『回復呪文』したとはいえ復活が早すぎる。
……復活スピードが上がってやがるな。
それに体中から力が溢れそうだ。
体がマグマになったみたいにクソ熱い。
相棒は……何だこりゃ？
相棒が俺よりデカくなってる。
刃の幅も広い、バスターソードってやつみたいだ。
……相棒も殺る気満々か。
いいぜぇ、とことん殺って殺ろうぜ！
「今のお前の方が俺好みで好きだぜっ！」
「そうかよ、俺様はテメェが大嫌いだがなぁっ！」
筋肉ダルマと俺様は同時に斬りかかった。
鍔迫り合いで力比べするつもりか？
「やるなキット、オレとパワーが互角にまで上がってやがる！」
「互角だぁ？ 笑わせるな筋肉ダルマ！！」
俺様がテメェみたいな下等生物と互角な訳があるかよ！
「なっ！ オレが押されてるだと！？」
「デカイだけの筋肉ダルマが俺様と対等だと思うんじゃねぇ！」
「チッ！」
筋肉ダルマめ、力で勝てないと分かって後ろに下がったか。
だが忘れてねぇか筋肉ダルマよ？
俺様はパワーよりスピードの方が自慢なんだぜ？
「おせぇよ筋肉ダルマ」
「キット！？ いつの間にオレの後ろに！？」
テメェがノロマ過ぎるだけだろう。
俺様は普通に移動しただけだぜ。
……燃え尽きろよ。
「『炎呪文』…………？」
何だ？ 魔法が使えないだと？
「……キット、その能力にも欠点があるみたいだな。『剛力乱舞』！」
大した欠点じゃねぇよ筋肉ダルマ。
相棒でテメェをブッ殺せばいいだけだ。
「……なぜ避けないキット？」
あーあ、体が見事にバラバラだな。
だがな、
「なぜかって？ 避ける必要がねぇからだ！」
「なっ！ バラバラにした体が引っ付いてくだと！？」
予想通りだ、この程度のダメージなら今の俺様なら一瞬で復活出来るんだよ。
「……化物め！」
「化物だぁ？ 違うね。俺様はスケルトンだ！ テメェら人間より優れたスケルトンのキット様だよ。人間に生まれた不幸を呪いな筋肉ダルマ！」
余裕が無くなったな筋肉ダルマ。
さてここからは俺様の独壇場だぞ？
……相棒、たっぷり苦しめて殺ろうぜ。
「そぉら、『疾風乱舞』だぁ！」
……まずは左腕を切り落とす。
「グッ！」
……次は肩から袈裟斬り、だが死なない程度に手加減する。
「ウガッ！」
……そのまま刃を返して左足を切り飛ばす。
「ガッ！」
……次は右足だ。
「ウ゛！」
……右腕ぇ。
「ガハッ！」
……最後は胴体、だがまだ死なせねぇよ。
「ガァッ！！」
いいざまだな。
さっきの俺様みたいにバラバラでやんの。
もっとも『不死身』じゃ無いから復活出来ないよなぁ。
下等生物の人間は可哀想だねぇ。
「筋肉ダルマが肉ダルマになったか。笑えるなぁ」
「……クソ！ 俺の負けか……殺せよキット」
「はぁ？ 聞こえないなぁ？」
「なっ！？」
だってなぁ、今からが最高に楽しい時間じゃんか！
その為に手加減だぜ？
「そぉらっ！」
「グフッ！」
まずは蹴る、蹴る、蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る蹴る！
おーおー、頑丈さを自慢するだけあってまだ生きてるな。
「……うーっ、うっ」
「まだ死ぬなよ？ まだ続けるからな」
次は相棒、お前にも楽しませてやるよ。
……はっ、相棒も楽しみにしてたか。
「次は串刺しだぁ」
「……やめて……くれ……殺して……」
……刺す。
「ガハッ！」
刺す、刺す、刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す刺す！
まだ生きてるのか、しぶといねぇ。
……相棒も飽きたって言ってるしそろそろ終わるかぁ。
「あーあ、飽きたなぁ。だから、そろそろ終わるぞ。何か言い残す事あるか？」
喋る力が残ってたらな。
てか原型残ってねぇな、このミンチ。
「……おっ……お前は……」
ほぉ？ まだ喋る力が残ってたか。
少し驚いたぜ。
「……お前……は……化物じゃねぇ……お前は……魔王……ダブシュッ゛！」
俺様は筋肉ダルマの言葉が終わる前に、筋肉ダルマの頭を踏み潰した。
最後まで聞いてやるとは約束してねぇな。
つうかさぁ、
「俺様は魔王の息子でスケルトンのキット様だ、名乗っただろ？」
もう聞こえてないだろうがな。
ふははははははははは！！！
