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第二話 復活出来ても究極爆発呪文はキツイんだよ!

【五時間後、自室】


 よし、やっと体が復活した。

 今回は脊椎と頭部の一部をぶっ壊されたから結構時間が掛かったな。

 頭部と脊椎が無事ならもう少し早く復活出来たんだが。


 ……たく、クソ親父め、実の息子に魔界最強魔法『究極爆発呪文アルティメットノヴァ』をぶっ放すなよ。

 あの呪文は最大威力で大陸を粉々に破壊する呪文だぞ。

 いくら手加減してくれたとはいえ俺じゃなかったら確実に死んでたぞ。


 ……それを親父に言うと、


「『不死身』だから問題無いだろう」

 

 って言い返してくるか、絶対に。


 コンコン。


 ん?  エルかな?


「入っていいよ」


「はい、失礼しますキット様」

 プルン、プルン。


 やっぱりエルだったか。

 まあ俺の世話とか教育とかエルが全部やってくれてるからな。

 何故か他のメイドはやってくれない。

 俺って嫌われてるのか?


「キット様、お体の復活は終わりましたか? 」


「終わったよエル」


 タイミングよく来たな、エル。

 ……と思ったが俺を運んだのはエルだったから俺の復活時間を計算して様子を見に来たのか。

 エルは俺の骨の破損状況を見れば『不死身』の復活時間が大体分かるって前に言ってたしな。


 ……あれ? エルが機嫌良さそう?


「何でそんなに楽しそうなんだ? 」


「それはですね、フフフッ。キット様が魔界騎士に任命されたからですよ。エルは本当に嬉しく思います」


 メッチャニコニコしてるなエル。

 あとメッチャ胸が揺れてるな。

 心が踊るって言い方があるがエルの場合は胸が踊るって感じだな。

 こんなに嬉しそうなエルは久し振りに見た気がする。


「てか俺が魔界騎士になるのがなんでそんなに嬉しいの? 」


「当たり前です。大変名誉ある魔界騎士にキット様が選ばれたのですから。キット様は嬉しく無いのですか? 」


「全然嬉しくない」


 だってメンドイんだもん。

 名誉?

 そんなもんよりフカフカのベットでグータラしてるほうが俺には価値があるね。


「まったく、良いですか? 魔界騎士は実力と人格を評価された人物が選ばれるのですよ。そもそも魔界騎士はこの世界に危機が訪れた時に魔王様と議会に任命される救世主です。憧れてる人が大勢居るんですよ。実は魔王様も御就任前は魔界騎士でした。その頃の魔王様はそれはそれは立派で素敵な……」


 まーた、始まった。

 こうなるとエルはずっと喋り続けるんだよな。


 てか親父って魔界騎士だったんだ。

 それは初めて聞いたな。

 親父は昔の話は殆どしてくれないからな。


 ……そういえば俺の母親の話もしてくれた事無かったな。

 俺が生まれてすぐに死んだって言ってたが詳しい事は聞いたこと無い。


 まっ、細かい事は気にしないけどな。

 俺には少し口うるさいが姉さんみたいなエルがいるから母親が居なくても問題ないし。


「……ですからキット様は魔王様のように立派で優しくて逞しい……」


 訂正。

 エルはかなり口煩い俺の姉代わりだ。


 さて暇だな。

 エルの小言が終わるまで暇になったな。

 暇だから魔界騎士とか人間の事でも考えておくか。


 エルの長い話を纏めると魔界騎士は魔界のピンチのときに魔王と議会に任命される特殊な職業。


 今回は未知の敵、人間が相手だから『不死身』の俺なら殺されても復活して再度挑む事が出来る。

 だから俺が選ばれた。


 次は人間の事を考えるか。

 人間については魔界ではぶっちゃけよく分かってない。

 今までは人間が魔界にいること事態が稀で、情報がほぼ無いなからな。


 人間は魔界には無い魔法を使う。

 この位しか情報がない。


 人間については俺なら多少は知ってる。

 異世界だったけど前世は人間だったし。


 ……もっとも中途半端にしか前世の記憶は無いがな。

 だからといって人間と積極的に戦いたいかっていわれたらノーと答えるが。

 だってメンドイからな。


 ただ人間が襲ってきたら自己防衛の為なら戦うぞ。

 前世は人間でも今はスケルトンだし。


「……ですからキット様、分かりましたか?」


「分かりました!」


 やっとエルの小言が終わった。

 半分聞き流してたが返事しとけば大丈夫だろう。


「ではこちらをお渡しします」


「これは?」


 エルが持ってるのは俺の手より少し大きい袋だ。


「こちらは『魔法袋』です。特殊な魔法が掛かっており中は異次元に繋がっていて沢山の物を収納出来ます。この魔法袋だと大体この部屋位の広さの容量がありますよ」

 

 俺は広い部屋だと落ち着かないから結構狭い部屋を使ってる。

 この部屋位なら前世で言う四畳半位か。

 それでもかなりの物が入るが。


「はい、キット様」


「ありがとうエル」


 エルから魔法袋を受け取った。

 見かけは普通の布袋だな。


「キット様、中身をご確認お願いします」


「分かった」


 俺は中を確認する。

 これは両刃の片手剣か。

 こっちは鎧。

 あとは兜にバックラーに小手に金属のブーツ。

 おっ! 地図と寝袋に簡易調理器具も入ってる。

 んっ? カード……なのか?

 最後は財布だ、中には………三十万!?

 結構大金だぞ!?


「キット様早速装備してみましょう」


「分かったよ」


 新しい装備か。

 少しワクワクするな。


【十分後】


「よくお似合いですよキット様」


「へへっ、そうかな?」


 少し照れ臭いな。


 防具一式はミスリル製か。


「キット様、剣を抜いてみて下さい」


 俺はゆっくり剣を鞘から抜いた。


 ……吸い付くみたいに凄く手に馴染む。

 まるで手と剣が一体化する、そんな感じがする。

 長さは大体六十センチ位か。

 でも見かけよりずっと軽い。

 柄の先に丸みがあるな、前世の漫画に出てくるようなデフォルメされた骨の形によく似ている。


「フフフッ、お気に召しましたか? 」


「エル……この剣は? 」


 この剣はなんか違う。

 なんて言ったらいいか分からないが普通とは違う。


「こちらの剣はキット様の骨を混ぜて特別に作って頂いたキット様専用の剣です」


「俺の骨!?」


 いつ俺の骨を持っていったんだよ!


「ちなみに骨はお仕置きの度に少しづつ採取させて頂きました」


 ……しょっちゅうお仕置きでバラバラにされてるからな俺。

 肋骨とかなら持ってかれても分からんよな。


「すっげー複雑な気分。……でも、ありがとうエル」


「フフフ、私ではなく魔王様に気持ちをお伝え下さい、キット様」


「親父に?」


 何故に親父に感謝?


「はい。これら全て魔王様がご自分でご用意して下さったものですから」


 ……あの親父が。

 ……忙しいくせにクソジジィが。

 でもサンキューなクソ親父。


 少しだけ、本当に少しだけ魔界騎士の任務やってみようかな。

 赤の他人の為ならやりたくないが、親父とエルの為なら少しならメンドイ事もやったるかな。


「……俺は何処に向かえばいいんた?」


「やっと、やる気になりましたねキット様。まずはこの『魔王城』を出てすぐの首都『ユートピア』の兵士宿舎に行って下さい」


「兵士宿舎?」


「はい、既に話は通ってる筈ですからそちらで情報を貰える手筈になっております」


 よし、メンドイけど行くか!


「エル、いってきます!」


「はい、いってらっしゃいませキット様」


 そう言うとエルは俺を優しく、でも少し強く抱きしめてくれた。

 ……甘い香りがする。

 エルの……大好きな姉さんの優しい香りだ。

 少し恥ずかしいが凄く暖かい気持ちになれた。


 ……エル……そして親父、いってきます。


オマケ


『魔界騎士』


 魔界騎士に任命されるのは種族、生まれ、役職に関係なく能力と信頼によって選ばれる。魔界騎士は魔界の勇者であり大変名誉あるもの。


 魔界騎士は事件事故災害が解決した後に勲章として与えられることもある。魔界騎士は一度に複数、任命されることもある。


 魔界騎士は魔王と議会の直属という形になり通常の兵士達とは別扱いになる。


 初代魔界騎士は初代魔王の側近で右腕だった。初代魔界騎士は黒いユニコーンに乗った騎士だったため『魔界騎士』と呼ばれるようになった。


 魔界騎士に任命されると『魔界騎士の印』 を渡される。

 これは身分証明書にもなる。


 魔王も昔は魔界騎士でありクーデターを企てたバンパイアを倒す任務を遂行した。

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