まいひろいんいずめがみ
天ぷら食べたので久々に思い出して書きました。
ヒロインを助けたと思ったら、俺をこの世界に送り込んだ女神様だった。
…実に何をいっているのか分からないあれだな、うむ。
「…こんなところでなにしてるんですか、女神さん。」
「実は、太郎さんが天ぷらの能力が欲しいって言ったからあげたじゃないですか‼︎
そしたら何故かお兄様に怒られたのです‼︎
そして、苦労するだろうから助けてやれってここに送り込まれたんです‼︎
おかしいですよね‼︎」
…いや、それが普通だ。
まぁ、間違えた俺も悪いが。
「そうですね。
女神さん、元気ですのにね。」
「ハイ‼︎ですよね‼︎」
というか、さっきの感じだと俺はこの女神さんのお守をしなければならないのか?
…めんどくさい…これお兄様ってば体良く厄介払いしただけじゃないのか…?
「しかもですね‼︎ただこの世界に送られただけじゃなく女神ランク格下げされたんですよ‼︎」
「そうですか。」
「ハイ‼︎それも天ぷらの女神ですよ‼︎
どう思います‼︎」
「天ぷら、美味しいですよね。」
「ハイ‼︎私も大好きです‼︎」
「そうですか。」
ここでも天ぷら展開か…異世界に来て初めて出会う女性と言えばその物語のメインヒロインであるのがテンプレ。
それがまたしても天ぷらとは…。
「ところで女神さんって名前はなんて言うんですか?
いつまでも女神さんじゃ変でしょう。」
「フランです‼︎
フラン=ヘブンアップです‼︎」
「フラン…ヘブンアップ…」
どうしよう…この人名前からすでにどことなく天ぷら臭がする…
ヘブンアップって…天あげだし。
「じゃあまぁ、フランさん。
とりあえずこの森、出ましょうか。」
「ハイ‼︎」
…と言ってもどっちが出口か分からないんだが…
まぁ、テキトーに歩いてれば出れるか。
ーーーーー
「出れませんね‼︎」
「そうですね…」
…どうなってんだこりゃあ。
ずっとまっすぐ歩いてるはずなのにいつもゴブリンの死体のところに戻ってくる。
かれこれ2時間はぐるぐるしてるぞ…
「…そういえばフランさん。
ここに飛ばしたの貴女なんですが、出口の方向とかわかりますか?」
「いえ、わかりません‼︎」
「そうですか。」
…しかしそうなると参ったな、このままじゃ本当に遭難…
「なぜならこの森は「迷いの森」と呼ばれるダンジョンで、地図を持たざるものは入ることも出ることもできませんから地図を持たずに出る方法なんてわかりません‼︎」
「アホやろ、自分。」
おっとつい本音が。
しかしそんなところに地図も持ってない俺を放り込むとかこの人殺す気しかなかったのか。
「しかしおかしいですね!
本来、"天ぷら"みが高いとはいえ、王道主人公属性を持っている太郎さんなら転移してすぐ今後ヒロインとなって行くだろう美少女を助けて、その人の持つ地図を頼りに脱出できるはず…あ!」
…なるほど、つまり…
「俺が出会うはずだった美少女がフランさんになってしまったせいで、地図が手に入らなかった、と…」
「ま、メインヒロイン級の美少女だなんて、照れてしまいます‼︎」
「や、今回は本当に褒めてないです。」
もー。えーかげんにしてー。
天丼が食べたい。