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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ちのあじはこいのめいそう
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91 興味

 ◯ 91 興味


 今朝は、少し早起きして母さんが朝食を作る間に、お弁当作りに挑戦してみた。卵焼きはつぶれたが、まあ、許容範囲だろう。妹は給食があるので不要だが、いつも母さんに作ってもらってたのでたまにはと、挑戦したのだが……。


「まあ、最初はこんなものよ。良く出来てるじゃない」


 母さんがそう言って慰めてくれた。普通に料理するのと少し勝手が違うみたいだ、中々難しい。


「そ、うかな」


「また挑戦すればいいわ。彼女が出来たら、彼女の分も持って行ってあげなさいね」


「うっ、か、母さん」


「まあ、その様子じゃまだのようね、付き合うとかあったらちゃん(・・・)と家に連れてくるのよ」


 なにか有無を言わせぬ威圧を感じながら、その台詞を聞いた。


「う、ん」


 そんな日が来るんだろうか。付けっぱなしのテレビから、ジェッダルのスタッフの一人が捕まったというのがサラッと流れた。まあ、スタッフだとファンもそう大した騒ぎにはならないと思うが、董佳様が頑張っているのかな。そういえば、ファンクラブの会員制のホームページからあの呪符が売られていたって言ってたな……。玖美ももうじき受験なのにこんな事じゃ、集中出来ないだろうな。早く解決すると良いけど。

 朝からそんな事を思いながら学校に向かった。お昼休みに、トシの様子が気になったので見に行ってみると案の定、机に突っ伏して眠っていた。邪魔をしても悪いと思い、そのままにして教室に戻った。攻略に真剣なんだろう。変な暗示がかかってないと良いのだけど。帰りに寄ってゲームの進行を見に行ってみよう。

 今日で試験が全部返って来た。数学と歴史以外は思ったより良かった。


「鮎川君も数学ダメだったんだ」


 日直の当番で一緒になった佐々木さんと職員室に向かいながら、話をした。


「うん、最後の問題が解けなくて。あの点数が結構痛かったよ」


 試験中、後はこの話題ばっかりだな、と思いながらも返事をした。


「あ、分かる。私もそれダメだったんだ。先生もあの問題はちょっと難しすぎたかなとか言ってたから、正解者は少ないんじゃないかな」


 視線を上にしてちょっと考えてから佐々木さんは言った。新たな情報が出てきた。先生もそんなことを言ってたのか。


「そうなんだ。ちょっとホッとしたよ。全く歯が立たなかったから」


 階段を下りながら、話を続けた。


「平均点もたいして高くなかったから、あの問題のせいだよきっと。そういえば、鮎川君は部活動は何に入ってるの?」


 僕が頷いて同意してたら、話題が変わった。


「え、ああ。前は美術部に入ってたけど、全然行ってないから多分、除名されてると思う」


 そういえば、夏休み以降全然行ってないな……。最近は病欠に怪我をしたりと色々あったし。


「そうなんだ」


「うん、佐々木さんは何に入ってるの?」


「私は前は茶道部だったけど、顧問の先生が変わったからなんだかなじめなくなって、今は行ってないの」


 小さくため息をついてから、佐々木さんは少し微笑んだ。


「そっか、先生が変わると内容も変わって来たりするから、大変だよね」


「うん、それに毎回、足がしびれるのは辛くって」


 舌を小さく出してから、肩を少しあげてこっちをちらりと見てきた。


「ぷっくく」


 想像して笑ってしまい、佐々木さんがこっちを見てムッとした表情を向けた。


「もう、そんなに笑わなくても良いじゃない」


 ちょっと怒らせてしまったらしい、頬を少し膨らませて軽く睨まれてしまった。


「うん、ごめ……ん」


 なんとか笑いを抑えて、謝った。


「何か役に立つ事で、いい部があればいいのに」


「料理とか?」


「あ、それ良いね。確かお菓子を作る部があったと思う」


「へえ、そんなのがあるんだ」


「鮎川君も何か入っておいた方が良いよ?」


「そうだね、考えとくよ。」


 職員室に付いたので、ドアを開けた。


「もう、今考えてよ」


 ドアの音に隠れて余り聞こえなかった。


「何か言った?」


 振り返って聞いた。


「何でも無い」


 職員室からの帰り際に、担任の先生に部活動の種類を聞いてみたら、先生も全部は把握しておらず明日、調べておいてやると言われた。横から柔道部の顧問の先生に、鮎川と佐々木じゃ誘っても戦力にならんな、と笑いながら言われた。その通りだけど先生、そんなに大声で笑わないで欲しいな。

 家に帰ってから宿題をして、トシが帰ってきそうな時間を狙ってメールを送った。返事はすぐに来て、少しなら時間が取れると書いてあった。


「どう? レベル上げは」


「どうもこうも無いよ。遺跡に出てくるモンスターが多くて戦うのに苦労してる。意外と頭脳使うし」


 部屋に付いたら、着替えの途中だったみたいで、制服をハンガーにかけながらトシは答えた。


「そうなんだ、じゃあ、嵌る人は嵌りそうだね。ところで攻略のボスって何処の遺跡?」


 マリーさんにボスの名前か、クエストの名前を聞くのを頼まれてたのを思い出して聞いてみた。


「木の魔物の巣になってる所だ。何だったかな……クレイフィア山の谷間にある森で、モンスターと戦ってるときに音楽の合間に変な音が聞こえてくるんだ。ちょっと予行練習に連れて行って貰ったけど、あそこは画像も不気味だから早く終らせたいよ」


 トシはジャージの上着を着ながら思い出していたが、質問の答えはあやふやだった。これはあんまり名前は覚えてなさそうだな……。でも、場所は分かったからいいか。


「そっか、森って事は植物系のモンスターとか出るのか?」


「ああ、何か吸血コウモリとか木のモンスターの……トレントだったかな、よく一緒に出てくる。そこのボスが、枝を触手みたいに動かして攻撃してくるらしいんだ。捕まると魔力を吸い出されるわ、コウモリに血を吸われて体力値が減ってくわ散々ならしい……とにかく、俊敏値を上げとかないとまずいみたいだ」


 意外にも名前が出て来た。覚えてたんだ……見直したよ。僕もゲームのモンスターの名前とか一々覚えない方だから。だから一人で攻略が出来ないんだけど……。


「それは、嫌な感じで死に戻りそうだね。今日の昼間、様子を見に行ったら寝てたけど、まさか授業中も寝てないよな?」


「いや、まあ……な」


 さっと目を逸らしたトシに、これはまずいなと続きを言った。


「赤点、おばさんに怒られただろうに……」


「いや、まあ、……な」


 トシは頭を掻きながら、誤摩化す様に笑って同じ台詞を言った。


「またお小遣い減らされるんじゃないのか」


「いや、まあ、それは困るけど、一週間は見逃してくれよ」


 情けない表情で手を合わせて頼み込んで来た。


「分かってるよ、無理するなよって言いたいだけだよ。その攻略、延期にして貰えば? 何でそんなに急ぐのか知ってる?」


 疑問だったので聞いてみた。


「んー、何か期限があるらしい。この扉を一度開けたら、一ヶ月以内しか再チャレンジ出来ないっていうクエストなんだ」


「そんなクエストなんだ」


 随分厳しい……期間限定か。


「クリアするといい報酬が出るって噂だ」


 なるほど、難易度が高いからか。


「そっか。それでそんなに詰めてるのか」


「そうなんだよ、だから責めないでくれ。この前のスプラッターは悪かったよ、謝るからさ」


 トシが手を顔の前で合わせて謝っている。


「責めてるつもりは無いよ、そんなに気になるのは後ろめたいからだろ?」


「何時になくアキが厳しい……」


 わざとらしく泣き真似をしてすね出した。……確かにちょっと言い過ぎたかな。


「そんなに気にしたんなら悪かったよ。宿題手伝うから」


 そう僕が言うと途端に機嫌が直ったようで、


「おおー、我が親友よ。崇め奉るぞよ」


 と、今度は何やら大げさに拝むポーズで僕を見て、妙な台詞を言った。


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