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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
えんをたどればゆめのふち
92/159

89 程度

 ◯ 89 程度


 ……またしてもマリーさんが朝一だ。今日は画面越しじゃない本人だった。後ろからメレディーナさんが付いてきていた。濃ゆさが中和されていい感じだ。


「お見舞いにきたわよ〜」


「ありがとう」


 わざわざ来てくれるなんて嬉しいな。メレディーナさんに包帯を取って貰い、スッキリした。


「あら〜、顔色が悪いわぁ。断罪の儀は延期にして貰ったら? あ、これ、食べてね〜」


 何やら、お見舞いの品を渡されながら言われたが、延期とか出来るんだろうか。


「大丈夫だよ。熱も下がったみたいだし」


「アキさん無理はダメですわ、体調が戻ってからにしましょう。すでに、向こうには知らせてありますわ」


 メレディーナさんにそう言われて、もう延期になってるのだと知った。


「そうだったんですか。ありがとうございます」


「そうよ〜、魔法の拘束って言ったら、呪いみたいなもんなのよ。それに何も掛けられる事がない場合もあるし、その場合は文書で何か言ってくるでしょ。大人しく寝てて大丈夫よ〜」


「マリーさんの仰る通りですわ、強力な契約魔法を掛けることは先方には難しいでしょう。この状態の上に精神に悪影響を及ぼさずに掛けるのは、至難の業ですもの。出席しなくても大丈夫ですわ」


 何やら説明してくれてるがよくわからない。何か不都合があるのかな。そこにレイが病室に来た。


「あ、マリー、来てたんだ」


「そうよ〜、ちょっと顔を見にね。マシュの方にもこの後、寄って行こうかと思ってるの。へまはしてないと思うけど、一応ね」


「そうだね、ちょっと落ち込んでるかもね。結局、監督不行き届きだと訴えられたんだよね、直前に。嫌なやり方するよね」


「あら、先方はそのようなことを言い出しましたの?」


「直前だなんて、いや〜ねぇ」


「そうなんだよ。主任なんだからって、責任かぶせ出したみたいだね」


「じゃあ、あたしが行って発破をかけてくるわ〜」


「うん、お願いするよ」


「アキちゃん、今日は大人しくしてるのよ?」


「うん、ありがとうマリーさん。レポートでも考えとくよ」


「んもう、真面目ねぇ、そんなの今日はさぼっときなさい。じゃあまたね〜」


 そう言いながら手を振ってマリーさんは出て行った。僕はレイに誘われて霊泉に浸かりに行き、ゆっくり話をした。病室に戻ってくるとカーザナトゥルさんがいて、断罪の儀は全員が延期になったと言った。訴えを全部まとめてから行った方が効率がいいからそうするのだとか。それもそうか、同じメンバーだしね。

 マシュさんは午後からまた見極めに行くらしい。大丈夫だろうか、マリーさんに元気づけられてると良いんだけど。

 審判も両方の意見をちゃんと聞くのは大変だろうな。こうやって後から何かを言ってくる事もあるし。メレディーナさんはカーザナトゥルさんに任せてるけど、僕の借りてる家の修理費や、火事で無くした物を請求するとか言ってた。マシュさんはあのショートした機械の請求と、規約違反もあると言っていた。僕も火傷を負ったことと、何時の間にか僕に請求された豪華な食事代やらカシガナも怖い目にあったことを訴えた。

 もし火事にならなかったら、僕はどうしてたんだろう。頭を打っただけで済んだかもしれないけど、あの悲しい気持ちの意味には気が付けなかったかもしれない。僕が大事にしたいものに気が付けたのは良い事だったのかな。


「ただいま」


 火事からこの家には帰ってなかったからどうなってるか心配したけど、もう、元通りになっていた。映像では一階部分のリビングはかなり焼けこげて、水浸しになってたから心配してたけど、大丈夫そうだ。庭に出てカシガナにも会った。留守の間は自動で水やりがされるから大丈夫だけど、寂しいよね。いくら、繋がりが出来てるといっても、そばにいた方が良いに決まっている。しっかりと血を吸われたけど留守の間は無かったのだから仕方ない。

 今日の午後はずっとリビングで、カシガナの見える位置にいる事にした。菜園班の皆や、宙翔、女将さんやご主人、美寿さんまでアストリューでの皆からのメールや、お見舞いの品を見返しながら過ごした。

 そうしている間にマシュさんとレイが戻って来た。


「おかえり」


 僕がリビングから言うと、レイが返してくれた。


「ただいまー」


「なんだ、もう家にいたのか」


 マシュさんはこっちを見て驚いていた。


「うん、あんまりカシガナもほっとけないから」


「確かに。もうそろそろ花が終る頃のはずだが、その兆候がまだ無い」


「そう言えばそうかも……花の時期は10日前後だったからそろそろだね。メレディーナさんと陽護さんが来たときには咲いてから二、三日は経ってたから、うん、やっぱりそのくらいだよ」


 と僕はマシュさんに言った。


「血が吸えなかったせいもあるかもしれないな。とりあえずまた日常に戻るからカシガナの状態も落ち着くだろう」


「うん」


「あー、その悪かったな、あんなのに巻き込んで。組合の研究員は割と自分勝手が多いからな」


 目を逸らし、言い辛そうにしながらも謝っていた。


「うん、あれはマシュさんのせいじゃ無いよ。きっとタイミングが悪かったんだよ。それにあの人達とはマシュさんは全前違うよ」


 マシュさんが研究に忠実なのか自分の欲望に忠実なのかはさておき、あの三人組は不満のはけ口を求める気持ちに忠実だったのは間違いない。いつか反省してくれると良いけど。三人組は機械の支払いをする事になりそうなのか聞いてみた。


「わからない。それを避ける為に監督不行き届きだと言い出したんだろう。あの三人は知らないが、捜査がかなり進んでいて、講習をさぼったり人に代理で行かせたりしていたこと等、色々出てきているから多分大丈夫だろう。やる気の無い奴には教える事は出来ないからな」


「ふうん、たまにいるよね、美味しいところだけ持ってく人が。要領よくしてるんだろうけど、結局は自分の首を絞める事になるんだよ。それが今ってことだね、本当にタイミング悪かったね、二人とも巻き込まれたんだよ」


「そっか……ところで夕飯だけど、三人組が食べたという豪華料理はどうかな」


 ちょっと気になってたんだよね。


「そうだね、被害の程度を知る為にも注文してみようよ」


 レイが乗ってきた。


「それはいいな」


 マシュさんもにやり笑いでこっちを見て言った。


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