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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
えんをたどればゆめのふち
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87 真偽

 ◯ 87 真偽


 結局、僕の家を弄ったのは家にいた三人組だったらしい。作業スペースが狭いので、一時的に広くして自分たちの都合のいい大きさに変えたという報告だった。どうやらついでに外観や中身もかなり弄ったらしく、高級な家具を置いたりして遊んでいたらしい……。

 豪勢な食事も注文して食べたらしく、その支払いは間借りしている僕付けにされていた。メインシステムを弄れる様にしていたこっちが悪い、とは向こうの言い分だったが、こんな値段の食事をとる必要性も、個人に支払いを押し付けるのもおかしい、と弁護の人が反論したらあっさりと引いてくれた。どうやら、管理組合の裁判所の様な所で決着を付ける事になったようだ。


「君が訴えをおこすなんて、珍しい事があるんだね」


 次の日、銀色のフレームの眼鏡を押し上げながら、永富(ながとみ)さんは鋭い眼光でマシュさんを見ていた。


「何で貴様が来てるんだ?」


 同じぐらい鋭く睨みつけながら、マシュさんは聞き返した。昨日、来た人とは違う人が、病室に交渉に来ていた。


「私も貴方がいるのに態々来たりするのは嫌だったんだが、相手側のお嬢さん方に呼ばれてね」


 肩をすくめ本当に仕方なさそうに、ため息まで付きながら永富さんは言った。


「ふん、今回は向こうが悪すぎるからな、容赦しないぞ?」


 イライラとした口調で言って、マシュさんは相手を威嚇していた。


「訴えられる事はあっても、訴える事があるとはさすがに私も予想出来なかったよ。成長したもんだ」


「嫌みか? 今回はちゃんと捜査も入れたぞ? 何を疑っているか知らんが、貴様の顔は見たくなかったぞ」


「それは、お互い様だと思うんだがね」


 話している二人の間には火花が散っている様に見えた。何やら因縁がありそうだと思いながら、僕はレイ達の到着を待った。


「さて、君のその包帯は、意味があるのかね?」


 方眉を上げて疑いの目で永富さんはこっちを見ていた。スフォラは炎自体は防いでくれたけど、熱までは完全に防げなかったので、上半身の広範囲を火傷してしまっていたのだ。冷却ジェルの様なものと火傷用の薬が塗られていて、それを包帯でぐるぐる巻きにされていて外見がミイラ男に近かったりする。痛み止めも効いてるので今は余り痛みは感じ無かった。


「意味って?」


「おや、そんな事も分からないのかい? 本当に怪我をしているのか、と言ってるんだよ」


 僕の方に手を伸ばしてきたのを、マシュさんが阻止してくれた。


「それは後でメレディーナに聞けば良いだろう。汚い手で触ろうとするんじゃない」


「おや、貴方はこの彼の事を?」


 意外そうに僕達を見比べていた。


「ふん、勝手に誤解してんじゃない。そのまま消毒してない手で触るな、と言ってるんだ」


 マシュさんの言葉に頷いて、その通りだと意思表示しておいた。なんだか嫌みな人だと思う、それに言動が一々わざとらしい。


「あら、お待たせしたかしら」


 メレディーナさんとレイともう一人、カーザナトゥルさんが病室に入ってきた。


「いいえ、メレディーナ神、貴方の為なら何時間でもお待ちします」


 そう言って、頭を下げて挨拶を始めた。いきなり、態度が綺麗に変わった永富さんを、唖然と僕とマシュさんは見るしか無かった。この変わり身の早さはどうやっているんだろう、変な人だ。

 カーザナトゥルさんと永富さんは交渉、代言、を通じてある程度審理する役割があるらしい。訴えに対して罪があるかどうかの判断は、真偽を司るものに託されるらしい。今日はその方法を決める交渉が行われる。

 いきなり新人が巻き込まれるなんてついてないね、とレイには言われた。確かにそう思うよ。理解するのに精一杯で、断罪の儀とか言われても困るんだけど。

 サッカーの審判が退場を言ったら絶対だろ? そんな感じだとマシュさんは言うけど、余計に訳が分からないよ。

 真偽の審判の前に立つのに方法があって、双方が審判の前で討論する、片方ずつ審判に訴えを聞いてもらう、カーザナトゥルさんや永富さんに代理で立ってもらう等だ。事前に和解があった場合は取り消しもあるみたいだけど、今回は和解は無いみたいだ。

 向こうも何やら訴えているので、一悶着ありそうな予感だ。交渉で決まらなかった場合は厳選なるくじ引きで方法を決めるらしく、今回はその方法になった。

 目の前で、その約束がなされた。明日の朝、真偽の審判の前でくじが引かれ、結果に応じて午後から星深零の間で真偽の見極めが行われる事になる。その後、罪に応じての罰が断罪の儀にて申し渡されるそうだ。これには魔法の拘束力が付いていて、制裁が完了するまで消えない、魔法契約の一種だともレイが説明してくれた。

 そして、終ったら感想レポートの提出を申し渡された。うぐ、早くも罰が下された気分だ。


「審判の人ってどうやって本当か嘘か分かるの?」


「その審判によって区々だよ。嘘の言葉が分かるって人もいれば、嘘をつくと何か見えるって人もいるし、皮膚が痛むって人もいる。色が違って見えるって人もいたかな? 逆に本当のことを言うと分かるって人もいるよ」


「へえ、そんな人達がいるんだ」


「そうだね、そのうちアキも分かるかもしれない、それとも分からないかもしれない。でも分かるだけじゃなくてちゃんと罪を見て、罰を決めないといけないから専門の勉強がいるけどね。だって、嘘だからってそれが罪ってことでもないからね。ボクはそんな面倒な事やりたくないよ」


「うん、レイが裁判官みたいな事してるの、想像出来ないよ」


「そお? 何か照れるなあ」


「え? 照れるところなんだ」


「そうでしょ?」


「う、ん、そうかも」


 きっとレイの中ではそうなんだと思う事にした。それにレイはどっちかというと、裁判官を困らせてるイメージはある。話を総合するとぼんやりとだけど、照れはそれなんじゃないかと思う。そこに至真意は分かりそうにないけど。


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