84 図書館
◯ 84 図書館
図書館は西門の近くにあり、第一図書館が教職員とクラスアップ後の特殊、エリートクラスの専用の図書館で、第二図書館が僕達基礎クラスと一般に開放されている図書館だった。
「初めてなんですけど、どうすれば良いですか?」
受付の人に施設の説明をして貰った。
「ご利用ですね。まず、入り口の機械に腕輪をかざしてから入場して下さい。本の貸し出しは、本の裏に付いているバーコードを、中にある専用の機械を通してから持ち出だすようお願いします。持ち出しが禁止されている物は、背表紙に赤いラベルが貼られているので注意して下さい。貸し出しは一週間になります。延長はこちらにもう一度来て、申請をして下さい。後はこちらの説明を良く読んでご利用下さい」
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ」
今回の受付の人は感じの良い人だった。正門の総合案内の受付の人とは全然違った。というより、あの人と比べる事が間違ってるかも……。
早速、中に入って館内の案内図を見たけれど分からなかった。近くの端末で契約魔法、植物と入れて探してみたら、地下に案内のマークが付いた。
地図で確かめながら地下に降りると、古い本がぎっしりと並んでいた。近くを手に取ってみたが、触っただけで分解しそうなくらいの物が多くあったので、気をつけながら探した。残念ながら、怪しい本が多くてどれが目的の本かも分からなかった。中には悪魔契約とか怪しげな儀式とかが書かれ、気持ちの悪い絵が描かれていて、そういう類いはそっと閉じて元に戻した。
しばらく探したが、諦めて図書館探索に切り替えて、地下からゆっくりと他を見てまわる事にした。一階で、料理の本のレシピをいくつかスフォラに記録してもらい、ハーブを使った料理なんかも少し見つけたので、参考に借りる事にした。二階に上がると人が多く、半分以上は勉強スペースとしてとられていて、皆静かに椅子に座っていた。三階は個室が用意されていて、中に入って映像を見たり出来た。本は電子書籍としての貸し出しもしているけれど、まだ少ないようだった。
「あっ、すいません」
「うおっと」
階段に向かう角で誰かと鉢合わせてしまい、本を落とした。向こうの人も同じく抱えていた本を落としたようで、一緒に拾った。白のブレザーを着ている……エリートクラスの人なのにこっちに来てるなんて何だろう。
「すいませんでした」
「こっちこそ、急いでたから悪かったよ」
「これ、どうぞ」
五冊くらいを持ち直した本の上に重ねて置いた。
「ああ、すまない」
「こんなに読むんですか? すごいですね」
「いやぁ、面倒くさいから適当に借りて、読んだり読まなかったりだよ」
「そうなんですか?」
「まあな、手当たり次第気になったのを持ってきて、そこで中身をチェックして違ったら弾くんだ。僕のやり方だよ……」
「そんなやり方があるんですね。あの、僕の本が中にまぎれてると思うんですけど……」
持ってた本が見当たらないので、目の前の彼が間違って拾ったようだ。
「え、本当? ごめんごめん、あー、ちょっと待って、あー、個室に入るからドアを開けてくれる?」
「え、と何処にするんですか? ここは初めてで、よくわかってなくて」
「ああ、何だ、新人か。そこのランプが消えてる部屋が開いてるから、そこにしよう」
そう言われたので、そこのドアを開けた。すると、白のブレザーの人は中に入って、備え付けの画面の横に本を置いて、本の山を崩しながら探してくれた。
「ごめん、どれかわか分からないよ」
「ハーブの本なんですけど……」
「ああ、これかい? 自然魔法か、見た目もそんな感じだね、悪かったよ。じゃあね」
そう言いながら、本を返してくれた。
「はい、こちらこそ急いでるのに、すいませんでした」
「いいって、あ、名前は? 僕は加島だ」
「鮎川です」
「鮎川、じゃあまたね」
「はい、加島さん」
僕の返事を聞くか聞かないかの間にはもう、ドアを閉めて中に入ってしまった。マイペースな人なのかな。さっき、加島さんが自然魔法とか言ってたな……ハーブの事だろうか。もう一度、自然魔法で検索してみた。また地下の本棚が示されたのでもう一度向かった。何やら、白魔法だの、メルメス文書だの色々出てきた。どれもピンと来なかったけど、一応借りてみた。




