7 望
◯ 7 望
「ああ、召喚の話だったね。どうやら問題があったみたいだから、今、調停中だよ。召喚した方の世界の神達が想定してた規模より大きいエネルギーが動いた事に気が付いて、慌ててうちにストップをかけて来てたんだ。調べたらどうやら、闇落ち神の連中に召喚陣をすり替えられたらしい。それで今、両世界間でもう一度条件を絞ってるんだ。まあ、何人かは欲しいみたいだから送る事にはなりそうなんだけどね。大体は帰る事になる」
米神の辺りを押さえながら衝撃的な報告をしてくれた。いつの間にそんなことが分かったんだろう、さすがは神様。
「え、そんな事が……あ、でも帰れるんだ」
「うーん、こういう不測の事態が起こったときに対応出来るのが、うちの強みなんだよね。闇落ち神達の直接の介入が入ったのが確認されたから、やり直しというか。まあ、稀にあるんだ。今頃、あっちの世界は大変みたいだよ、神同士の追いかけっこだ。でも、キミは帰るなら、ここでの契約が先になるかな」
こちらを真直ぐに見て、にんまりしながら言われた。
「なんせ、ここで弾かれてるからね。契約外だよ」
人差し指を顔の横で振り振りしてる。そんな……。
「どうしたら、帰れるの?」
「うう、ひどいわっこんなに誘ってるのに、ちっとも靡いてくれないんだ」
どこからかハンカチを取り出して泣きまねしだした。
「す、するよ契約、働くよ。僕は、帰りたいんだ」
言った瞬間、レイが復活してきた。
「やっと言ったね? 言質は取ったよ。ちゃんと帰るんだよ? 家出少年」
にやにやしながら、俯きかけの顔の表情を覗く様にして追いかけくる視線を逸らしつ答える。
「う、知ってたんだ」
今までで一番ばつが悪いかも。
「当然。あの暗示を魂から必死で振りほどいてまで出て来たんだから、何かあると思うよ? それに、中々頷いてくれない理由もそれだったんだろうけど、もうちょっと僕の魅力に傾いてくれても良いと思うんだよ? 何か自信無くしちゃう」
今度は唇を尖らせて拗ね出した。
「う、うん、ごめん、感謝してる。何か友達みたいで楽しかったよ」
「大げさだなあ、二度と会えなくなるなんて思ってないよね? 契約するんだから当然会えるし、仲間だよ。それどころかもう大親友くらいだよ? それに、最初に口説いて来たのはアキの方だよ、忘れたとは言わせないよ?」
横目でこっちを睨んできて、最初の話し合いを思い出さされてしまった。そ、そういえばそんな事……したかな? いや、あれは結局、口説いた事にされてるみたい?
「否定は許さないよ、それだとボクが美しくないみたいじゃないか〜」
「えっ、そこなんだ?!」
「他に何があるんだ?!」
「いや、まあ、確かに?」
何か変な汗が背中を流れた気がする。うん、なんかすごいこだわりがあるようだが、僕には理解出来そうにない、というか聞くのが怖い。