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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
えんをたどればゆめのふち
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76 上達

あけましておめでとうございます

 ◯ 76 上達


 アストリューの家で今日は休日として、まったり過ごしていた。

 庭の植物も大分増えて、最初に植えたカシガナも順調だった。時々増えすぎた葉っぱを取って、サラダにしたりして食べていた。もう僕の身長くらいあり薄紫の花が咲き始めた。

 宙翔のお父さんに貰ったハーブの方も生命力が強いのか、次々と増えて沢山花が咲いた。ハーブティーになるので、時々摘んで乾燥させてストックして飲んだりしている。生でも良いのだけれど、香りが乾燥させた方が優しい感じになるので僕はそうしていた。その他のハーブも料理に使えるものを中心に少しずつ植えてあった。どれも強いので勝手に増えていってくれて楽だった。

 近辺の地理も大体わかってきたので、商店街に出入りして買い物しながら色々教えて貰ったり。談話室でサレーナさんと近況を話したり、と大分充実していた。

 昨日の夜に神殿で会った陽護医師に、治療は終ってるけど時々友人として会って欲しい、と頼まれてちょっと驚いた。まあ、良いかと思って良いよ、と答えといた。新しい患者が我がままでストレスが溜まっているらしかった。医者も大変だな……。


 今夜(眠ってる間)はマリーさんに夢縁で会う約束もしていて、色々質問を考えていた。まあ、特に受付の人のその後とかだ。黒白ブレザーの事もよく分からなかったし、専用のトレーニング用のウェアを着る講義があるけど、購買に売ってなかった事とかだ。現実のものを夢の中に持ち込めてる事にも今更ながら疑問だった。これは聞いても僕には理解出来そうにないけど……そんなもんなんだと勝手に思っている。


 トシに言われていたゲームは登録だけしておいた。キャラクター作りでよく分からない事があったので、公式のホームページを見たり攻略ページを見てみたりしてたが、情報は錯綜していて自分の勘で決めた方が良い、と判断したので途中のまま今は放置している。


 今日はもうじきレイがここに息抜きにくると言っていたので、ザハーダさんに教わったレシピで昼食を作る事にしていた。クルミ入りのパンと、クラムチャウダーもどきと鶏の唐揚げにサラダだ。唐揚げは母さんのレシピだけど……料理をザハーダさんに教わり始めてから時々、母さんにも教わっている。まだ、簡単なものしか出来ないけど。調理したものを収納スペースに入れてたら、レイが来たのか玄関チャイムが鳴った。


「いらっしゃい」


 玄関を開けるとレイが立っていた。


「来たよ〜」


 後ろに何故かメレディーナさんと、陽護医師が一緒に付いて来ていた。


「あれ、皆来たんだ」


「ごめんなさいね突然に」


 メレディーナさんが押し掛けた事を謝っていた。


「ごほん、押し掛けてすまないね」


 陽護医師もだ。


「え、と大丈夫ですよ。どうぞ入って下さい」


 女の人が入るのはサレーナさん以来だとぼんやり思った。はっ、唐揚げが足りるだろうか……保存が出来るから大量に作ってあるけど、大人2人前がいきなり増えると不安だ。というかみんな食べるのかな?


「アキの手料理を食べるって言ったら、みんな付いて来たんだよー」


 レイが上着を脱ぎながら、ソファーに座った。


「え、そうだったんだ。でも、大した事出来ないよ?」


「良いのですよ。生活ぶりを見てみたかっただけなのです、気になさらないでね?」


 そういえば、宙翔の家でも何か珍しそうに見てたっけ。


「アキ君の手料理なんて聞いては、逃せませんから」


 陽護医師は何やら呟いていたが、良く聞こえなかった。


「え、と食べにくいけど、ソファーの方に並べた方が良いかな……」


 テーブルも椅子も数が足りなかった。ソファーの方も正直お皿が乗りそうにない。


「うーんと、大きいテーブルを出せば良いんじゃない?」


 レイの一言で、テーブルを取り替えれば良いと気が付いた。地球では無理だけど、ここでは出来る。早速四人がけ用のものを用意した。陽護医師がセッティングを手伝ってくれて、皆で食べた。


「ふふ、美味しかったですわ、上手に作ってましたね」


 食べ終わって片付けた後、メレディーナさんが褒めてくれた。


「あ、ありがとうございます」


「唐揚げ美味しかったよ。また作ってね」


 レイは唐揚げが気に入ったようだ。


「うん、いいよ」


「ごちそうさま。アキ君、料理の出来る男は今時はもてる要素ですよ。これだけできれば充分ですね」


 陽護医師は何かアドバイスをくれていた。


「は、はあ。もてるんですか?」


「そうだよ、日本じゃ共働きが多いから料理も家事も一緒にしてくれる人は、女の人も嬉しいみたいで、アピールポイントになるんだよ」


「へえ、そうだったんですね」


「ええ、妻がそう言ってました」


「奥さんが?」


 情報源が奥さんという事は、かなり有力な情報かもしれない。トシにも教えてあげようかな。


「ふうん、日本はそんな感じなんだ?」


 レイも奥さん情報だと聞いて、ちょっと興味を持ったらしい。


「まあ、そうなんですか?」


 メレディーナさんも聞いている。女神様だから、料理とかしてるイメージが湧かない……。


「ええ、料理をした際に片付けまでやらないと、評価は下がるそうですがね」


「はあ……そうだったんだ。そういえば母さんが、今時の男は料理も仕込んどいた方が良い、とか言ってたかも」


「そうでしょう、女性の意見は大事ですよ?」


「うん、もうちょっと頑張ってレパートリーを増やすよ」


「僕もした方が良いかな?」


 ちょっと思案しながら、ぼそりとレイがこぼした。


「えっ、レイもするの?」


「ボクがしたら可笑しいって言うの?」


 僕が驚いて聞き返したのにちょっと拗ねて、唇を尖らせている。


「いや、そんな事無いよ。器用そうだからすぐ出来そうだね」


「あら、みなさん良い心がけね? では、出来上がったら呼んで下さいね」


 ふふふ、と笑いながらメレディーナさんは、一番美味しいところを持っていった気がする。


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