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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
えんをたどればゆめのふち
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75 逃避

年末年始は投稿お休みします。

良いお年を。

 ◯ 75 逃避


 11月のとある最初の日曜日。

 トシと二人で出会いと厄払いの神社に向かった。なんだか真逆のイメージのするお願いごとな気がしたが、そこは曖昧な日本人だからと納得してお参りをした。

 二人しておみくじを引いてみたが、末吉だの吉だのと普通でぱっとしない結果だった。でも、最近の運からして、凶とか出てもおかしくないのを思い出し、実はこれはマシなのかもしれないと思い直した。

 時期が時期だけに神社は閑散としていたが、近所に紅葉の綺麗な有名なお寺があるらしく、そっちにもトシの情報で得た飯屋で食事をした後に行ってみる事にした。近所の主婦達のお勧めなだけあって食べたものは安くて美味しかった。

 紅葉は調度良く、見頃で綺麗だったけど、人の多さにうんざりだった。僕達くらいの年代の人は少なく、いても恋人同士で来ているかグループで来ていて、男二人はちょっと浮いていた。


「来年こそは、彼女とここに来ないとな!」


 意気込みだけはしっかりとあったが、内心は目の前の男女のカップルが憎そうだった。だから、嫌なら見なければ良いのに……恋人同士が楽しそうにしている姿を見るたびに、眉が上がって睨んでいるトシを横目で見ながら、これは重症だと思った。


「早くいい人が見つかるといいな」


「本当だぜ、まったくなんでいい女がクラスとかにいないんだ?」


「理想が高いんじゃ、無いかな? 清美さんは本当に美人だったし」


「そうか。分かってくれるか? あの清らかな美しさを……」


 何故か、清美さんを讃え出した。まずいので、何か話題を変えようと無い知恵を絞った。


「そう言えば、この前の大会はどうだったんだ?」


 確か、試験後直ぐぐらいにあったはずだ。


「……聞いてくれるな。散々だったとだけ言っておこう」


 なんだか落ち込んでしまった。話題が悪かったらしい、と言うか何故かその話題をしてこないと思っていたんだ。そういう事か。


「そ、そうか、残念だったな」


 仕舞った、暗くなった。うーん、他は……。


「中間テストの出来はどうだった? そろそろ帰って来る頃だよな」


「…………赤点が帰ってきた」


 更に暗くなったぞ。赤点とは数学だろうか。


「え、そ、そっか補修か。も、もう一回厄払いに行っとく?」


「いいよ。もう帰ろうぜ、従兄弟のゲームと交換したんだ。おもしろいからちょっと付き合ってみろよ」


 と、そんな感じで最近のトシの様子がわかった。ゲームで現実逃避していたらしい。


「う、うん分かったよ」


 ゲームの内容はホラーだった。どうも、吸血鬼だのゾンビだのといった微妙にリアルなゲームの映像は、心臓に悪かった。やってる途中で我慢出来ずに目を閉じてばかりで、ゲームはさっぱり進まなかった。これ、もしかしてグロ指定あるんじゃ……パッケージを確認したらR指定が入っていた。


「アキ、ゲーム中によそ見してたら進まないぞ?」


 トシはストレス発散するべく、画面に出てきたゾンビに、銃型コントローラを向けながら僕に言ってきた。


「うん、でもこれ、グロすぎるよ……夢に見そうだ」


 パッケージのR指定を指差してから、僕は正直に言った。


「そうか? そう言えばスプラッターは苦手だったか……じゃあ、RPGにするか? ドラゴン&シャリーダスト3だ」


「うん、そっちにするよ、元々シューティングが入ってるのは得意じゃないし……それ、何か話題の奴だよね。どんなの?」


「ああ、これはさっきの魔界終戦争シリーズとは違って、チームを組んで遺跡の宝探しだ。オンラインでID管理されてるからスマホかPCでも出来るし、生産とか育成も楽しめるからアキも楽しめると思う。まあ、こっちが本命だ」


 そう言ってにやりと笑った。さてはこのスプラッターはわざとだったのか? もう、人が悪いな。試験の結果を聞いたのがそんなに悪かったの知らないけど、それは逆恨みって奴だぞ。ちょっとトシの方を恨みがましく睨んでおいた。


「まあ、そう怒るなよ? 俺だってたまには面白い事が無いとな」


「まあ、赤点の慰めになったと言うならしょうがないけど、もうあんまりやるなよ?」


「流石アキ、わかってくれると思ったぜ。で、このゲームはな、パッケージを買うと10人まで登録出来るんだ。この、親IDを持ってる人がリーダーで、このチームに入る事になる。親は従兄弟だけど、5人チームで今までやってて、どうしても5人じゃクリア出来ないボス攻略クエストが出てきたからって、俺の所にも仲間の誘いが来たんだ」


「それって、課金だよね? そこはどうなるの?」


「子IDも課金は個別で出来るけど、手伝いだからとりあえず二ヶ月は基本料金分は向こう持ちで遊べるし、アイテムも少し譲って貰ってるんだ。従兄弟達と遊ぶのも良いけど、助っ人だから攻略クエスト以外は一人になるだろ? だからアキも誘う事を条件に仲間に入ったんだ。まあ、アキは登録だけしてくれたらそれで手伝いは終ったも同然だからな。まあ、出来ればレベルはあげてくれた方が、チーム的には助かるみたいだけど」


「へえ、そんなので良いんだ?」


「いいぜ。従兄弟達のチームは攻略頑張ってるから、付いていくのはかなりしんどいからな。まあ、勝手に決めて悪いけど、話題のゲームが出来るんだし、いいだろ?」


「うん、いいよ。誘ってくれて嬉しいよ。条件がかなり良すぎて怖いけど」


「いいさ、飽きたら抜けていいし。帰ったらPCから登録だけでもしといてくれ。一週間後には最低でもチュートリアルくらいは終らせてくれると、ネットですぐ会えるから助かる。今日の夜と明日の祝日はまるまる従兄弟とレベルあげなんだ……一週間後には言ってた攻略クエストに挑戦だ」


「付き合いも大変だな。睡眠時間はちゃんと取れよ? 補修もあるんだし」


「ああ、とりあえず、一週間後には攻略が終わってる事を祈ってくれ」


 そんな感じで、今日の神頼みミッションは無事に終わった。ゲームで家に閉じ籠ってたら出会いは遠のきそうだと思うけどな……。時々は外に誘ってみよう。


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