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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
60/159

58 基点

 ◯ 58 基点


 見学を開始しようと思ってたら、メレディーナさんが現れて案内をしてくれた。なんだか畏れ多いような嬉しいような……いや、有り難いのだと思うけど、この緊張感はどうしたらいいんだろう。内心焦ったが話してる内になんとか平静を取り戻した。


「世界の管理ですか? そうですね、難しいといえばそうですし、簡単といえばそうなる感じかしら……大まかに考えれば単純にエネルギーの流れを整えたり、新たに補填したり、消費したり……そうね循環させる事に気を付けているかしら。ずっと変わらずにいたかったら、そのまま閉じた世界で循環させれば良いですが、外部からのエネルギーを入れれば変化が起き易いですから、世界間での取引は欠かせません。異世界との付き合いを考えると難しくはなって来ますが、管理組合を挟めばそう面倒は起きないですし」


 そう言って僕の顔をみて微笑んだ。そのまま、話が続いたので必死に聞いた。


「今は、神々への癒しなどで外からのエネルギーを集めておりますが、いずれはアストリュー世界内でも十分なエネルギーを生み出せるようになれば、また違った手を打てるのですけど、まだまだここは成長途中ですわ。それでも、住民の皆さんに支えられている事は、本当に励みになりますのよ。アキさんの感想にも書かれてましたね。サレーナにも報告を受けてましたが、こういう触れ合いは直接は難しいですからね。とても嬉しかったのですよ」


 頬を軽く触られて、じっと見られては折角に落ち着いた鼓動がまた早く鳴り出してしまう。頑張って様付けも取って貰ったのに何でだろう、あまり緊張感が変わらないのは。


「え、あ、そんなこと無いです」


「信仰もまた神殿の力になりますから、もっと住民参加も視野に入れたいところですわ。信心とかけ離れずに寄り添えるように努めなくてはなりません、そういった事を考えると管理は難しくなりますわね。どういう距離感を保つか、人心をつかむ事は一番難しい問題かも知れませんね。そうそう、見学の話はとても有効だと思ってますよ。あれも住民の皆さんに少し取り入れて、神殿を解放出来ればと思ってますの。アキさんの会った方々のように神殿に入った事が無い人々も増えてますからね。敷居が高すぎても良くないと思うのですよ」


「はあ、確かに神殿で働くのに憧れてる人はいますけど、なかなか気軽には入れない感じがあるのかもしれないです」


「あら、そうなの?」


「え、あ、友達のお姉さんなんですけど……」


 言っていいのかちょっと迷っていると、


「まあ、遠慮しなくていいのですよ、外の方のお話を聞くのは大事ですから」


 興味ありげにそう言われては、話すしか無い。


「はい」


 僕は宙翔のお姉さんの話をした。神殿に憧れていて服を着たいだけだ、と宙翔は言っていたけど、肌が弱い事でここに住むようになった、というのも考えると、案外と本気かもしれない。勝手に僕が思ってるだけかもしれないけど、とそんな事を話した。人化もうまく出来ない事を話すと、メレディーナさんは真剣に頷きながら何かを考えているようだった。


「なるほど、あこがれを実現するにはイメージが足りないのね。そういう方々がいるという事は、もう少し距離を無くした方が良いかもしれませんね。とても参考になりましたわ。……そろそろお茶にしましょうか」


「あ、はい。えと、お役に立ててよかったです」


「うふふ、新人らしく初々しいわね」


「は、はあ」


 こういういうやり取りって、どう答えるんだろう。頑張りますくらい、言えば良かっただろうか、もう、遅いけど。メレディーナさんの執務室でお茶を受け取りながら、大人の受け答えは難しいと思った。これから慣れないといけないんだろうけど、出来るだろうか……。


「今まで見学して何か気になる所はあったかしら?」


 答えるのを興味深げに見つめれながら聞かれたが、期待する答えは持ち合わせてなかったので、仕方なく正直に答えた。


「え、えーと……何かどこもすごくて、よく分からないです」


 耳の辺りを掻きながら、申し訳ない気分が込み上がってくるのを感じた。


「そうですか、これから回る所にあるかもしれませんね。焦らなくて良いのですよ」


 僕のそんな様子をみてか、落ち着かせるように微笑まれた。ちょっとホッとしてお茶を飲んだ。


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