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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
56/159

54 家

 ◯ 54 家


 陽護医師にアドバイスを貰ってから、なんとかアストリュー時間で3日後には感想を仕上げて、レイに提出した。その後は、地球に戻っては母さん達と会い、温泉饅頭を食べて過ごしたり、霊泉でリハビリしたりしてなんとか瘴気を受ける前の体調に戻ってきた。

 結局、左足の方が最後まで痛みが残った。右は予定より早く治った、とメレディーナさんと陽護医師は嬉しそうに言っていた。そんなこんなで今日で退院して、時折通院という事になった。気が付けば、地球時間では6日経っていて、明後日から中間テストだ。なんてタイミング……。


「ただいま」


「おかえりなさい」


 一緒に帰って来たのに、玄関で母さんが後ろで荷物を持ちながら、おかえりなさいを言ってくれた。


「へへ、何かすごい久しぶりの家だ」


 リビングのソファーに座り、一息ついた。横にはお福さんが寝てる。


「本当よ、8日間も留守だったんだから。毎回料理が余って大変だったのよ」


 母さんがお茶を入れながら、そんな文句を言い出した。


「えー、そのくらい調節出来ないの?」


「生意気言わないの」


「違うよ、聞いただけだよ。そういう調節って難しいの?」


「あら、ええ、そうね。長年の習性でつい、4人分になってしまうのよ」


「そっか、大変だね」


 お茶を飲みつつソファーにもたれた。


「本当よ、おかげでちょっと太ったわ」


 母さんはそう言いながら、脇腹の辺りの肉を掴んでいる。


「そういえばちょっと顔がまる……何でもないです」


 つい、流れで言ってしまい、母さんの目線で気が付いて途中で止めたが、機嫌は悪くなってしまったようだ。う、仕舞った。


「あー、明後日から中間テストなんだ。勉強でもしようかな」


 お茶をテーブルに置きながら、話を逸らした。


「もう……父さんと誤摩化し方が似て来たわね」


 横目で睨まれ、誤摩化しは利かないと悟った。


「う、あ……元が細いから、そんな太っては見えないよ?」


「その台詞を出すのが遅い!」


「いっつづづ」


 母さんに、頬を抓られてしまった。実力行使による教育が落ち着いたところで、自分の部屋へと荷物を運んだ。


「おおっ、直ってる」


 窓ガラスは綺麗に直っていて、焦げ跡が付いたという床も綺麗になっていた。


「ええ、昨日工事が終ったのよ。良かったわ、すぐに業者の方も来れるタイミングで。見積もりも早かったし、随分安くでして貰えて助かったわ」


 母さんが荷物を降ろしながら工事の事を教えてくれる。実はその業者は、異世界間管理組合と人界管理委員会の処理班とか言う所が共同で工事をしてくれ、お金も払った、という暗示をかけて全部ただでやってくれたものらしい。しかも強化した、とか言っていたので、今度はちょっとやそっとじゃ壊れない仕様になってると、レイが退院する前に説明してくれた。

 いや、今度はとか要らないんだけど、ね。どうやら、長い期間、犯罪組織を見つけられなかった事と、情報漏れによって襲撃を受けた事に対する謝罪も込めて動いてくれたそうだ。情報漏れに関しては今、調べているらしい。謝罪文書も来てたけど、一回読んだら消えてしまったので、内容はもう覚えてない。


「良い業者で良かったね」


 母さんが部屋を出てから、色々片付けた。それから、自分の携帯を探してスフォラと同期させた。携帯も話す偽装用以外は使わなくなりそうだ。夜まで中間テストの準備をして過ごし、皆が揃ったので家族で僕の退院祝いがあった。

 みんなこぞって僕に食べさせようとしてるけど、一気には入らないよ。……というか全員もしかしなくてもちょっと太ったよね。何となく心中を察して、大人しく食べれるだけその日は頑張って食べた。夜中にお腹を壊し、次の日を微熱で休んだのは仕方ないと思う。


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