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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
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46 所望

 ◯ 46 所望


「どれが試作品なの?」


 並べられた饅頭を見ながら、レイに聞いている。


「ええーと、どれだっけ? 今月は栗だからこっちかな?」


 レイが視線で聞いてきたので答える。


「あ、そっちのが紫芋で、こっちが鳴門金時、で、これが安納芋」


「芋シリーズなのね? 試作品なんてよく手に入ったわね」


「ああ、いい加減紹介するよ、こっちがアキだよ」


「そういえばまだだった? 私は雨森 董佳(あめのもり とうか)よ。主に他の界から人界への影響を監理していて……本来なら会う事も無いはずよ。ここで会えた事を……有り難いと思いなさい」


 温泉饅頭を頬張りながらの自己紹介は、今一決まってなかった。まあ、微笑ましく可愛いので良いとしよう。でもレイとのやり取りを見た感じ、見た目通りの年齢とかじゃなさそうだ。


「はい。……お会い出来て光栄です。鮎川 千皓です。えと……試作品は友人に感想を頼まれたので、あー、友人は饅頭作りを手伝ってるので、色々試しているから皆で食べてみて欲しいって渡されました。アンケート用紙もあるので、後で書いて貰っても良いですか?」


 こんな挨拶した事無いから変じゃ無いかなと思いつつ、試作品の感想の事も一応言っておいた。この饅頭は神殿に戻ってくるときに宙翔に大量に渡され、サレーナさんに預かって貰ってた物だ。レイとメレディーナさんを誘って、皆で食べようと思ってたんだけど、饅頭好きの人が居るならその意見も入れた方が良さそうだ。しっかりとサレーナさんも用紙を持って来てくれていた。


「作り手と知り合いってことね。また持って来ていいのよ、感想くらい出すから。紫芋は美味しいわね。粒餡ともよく合ってる……全部芋餡でも良いわ」


「ボクのは安納芋かな……ちょっと甘すぎかも。もうちょっと控えめの方がボクは好きだな」


「そうですか? 私はこのくらいが好きです」


 黒スーツの人も食べている。あれが好きとはかなりの甘党と見た。僕もあれはちょっと甘すぎたからだ。ちなみに僕は鳴門金時が一番良かったんだけど、誰も意見を言ってくれないな。試食タイムは終わり、お茶を啜りつつ皆アンケートを書いてくれた。皆にお礼の11月用の新作饅頭を渡して、アンケート用紙はサレーナさんに預かって貰った。


「11月の中身は何?」


 しっかりと11月の饅頭を抱えて董佳ちゃんが聞いて来た。


「ゆずです」


「そう、香りが好きよ。それから、私の事は董佳様と呼びなさい」


「え、あ、董佳様?」


 うーん、董佳ちゃ……様も心が読めるんだろうか? 僕が思案していると、


「それで良いわ。直接名前を呼ばせるんだから有り難く思いなさい。その代わり、いいこと? 試作品が出たら持ってくるのよ」


 真剣な顔で次回の試作品饅頭を要求された。手に入れれるかな? 宙翔に聞いてみよう熱心なファンが居るといえば融通してくれるかもしれない。


「はあ、分かりました」


「言葉遣いがなってないわ」


 指をさされて指摘された。


「う……しょうちいたしました?」


「そうよ、最初からそう言いなさい」


 僕は変な顔をしていたと思う、レイが口元を押さえて笑っていたからだ。ちょっとレイの方を睨んで牽制しておいたが、ちっとも効いてなさそうだ。


「ところで、共同での調査の件はどうなったの?」


 レイが聞いた途端に、董佳様は渋そうな顔をして不機嫌になった。


「ジェッダルの件ね。結局、アルバム一枚分を曲順に聞くと少しは支配効果はあるようだけど、それでもかなり微妙な感じ……あれでは失敗の方が多いでしょうね。たぶん、支配の方は実験とみていいわ、生命エネルギーを奪う方が目的と見るべきね……それに、大掛かりなのが気になるわね。万人退位で影響があったからには相応の処置が必要なのだけれど……正直、呪符の回収しかできないわ。奪われたエネルギーの補填はまず無理ね」


 顎に手を添えて、考え事しながら話している。最後に僕をちらりと見たがすぐに元に戻った。どうやら、巷を騒がせている事件の真相のようだ。話の半分も分からないけど、しっかり聞いておこう。


「瘴気の固まりの方は?」


「あれは本当に厄介。疑似生物化した物に瘴気を吸わせている感じだけど……よくあんな物をつくったというしか無いわ。あれだけ瘴気を集めたら普通、人界の生物は生きていられないのに逆に活性化してるし、正直あれの方が厄介、出所を探らないと」


「そっか、こっちもそんな感じだったよ。捜査の方はまだこれからって感じだね。こっちも他の世界であれが出回ってたら情報を出すよ。警戒態勢で各世界に情報を回してるし、何かあったらすぐに連絡するよ」


「そうね、そうして貰うわ」 


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