44 事件
◯ 44 事件
「そういえば、ジェッダルのメンバーの一人が逮捕されたの見たか?」
ふと、思い出したのかトシが聞いて来た。
「え、知らないよ。何? 逮捕って言った?」
何があったんだろう。そういえば呪いの件と繋がってるんだろうか、それも分かって無かったな。分かってない事、知らない事だらけだ。
「ああ、麻薬所持とかって言ってたけど、他のメンバーも追われてるみたいな感じなこと言ってたな……名前が思い出せないんだよな、男のアイドルの名前なんて覚えてないからな。あんなの何が良いんだか」
トシが眉をひそめてぼやいている。
「うわ、一日寝てただけで、そんな事になってたのか」
「いや、今日の朝やってたから、まだ新しい情報だよ。学校でも女子共がすごかったぞ」
得意そうにトシが言ってる、話題に乗り遅れてる人物を発見して嬉しそうだ。
「ここに居たら分かんないから有り難いよ。ネットとかもすごい事になってそうだ」
玖美もこの話題は見てるよな。……機嫌が悪くなっていそうだ。
「だろうな、進展あったら教えてやるよ」
「うん、ありがとう」
トシと入れ替わりに父さんと玖美が来てくれたが、想定通り玖美は不機嫌だった。触らぬ神に祟り無しで、賢明にもジェッダルの話題には触れないでおいた。父さんがこっそり今日は朝からあんな感じなんだ、とフォローしていたので、僕は黙って頷くだけにした。
中間テストの事を言うと勉強道具は明日、母さんに頼むと言われたので安心した。皆が帰って一息付いたら、疲れてるのに気が付いた。確かに死にかけたというのは、体に負担が掛かるらしい。そのまま眠る事にした。
目が覚めると、レイが覗き込んでいたのか、目の前に顔があってちょっとビックリした。
「起きた?」
「……うん」
「じゃあ、準備してね」
サレーナさんに何か頼んでる。
「はい。お任せ下さい」
なんだろう。いつの間にか霊泉に戻されていたようだ。
「今から、会って貰う人がいるんだ。あんまり気負わなくていいよ。ボクがうまくやるから」
「うん、わかったよ」
誰だろう、よく分からないけど雰囲気的に偉い人かな? まあ、ああ言ってるから、レイに任せておくしかなさそうだ。
サレーナさんに体を清めましょう、と言われて綺麗にして貰い着替えをした。その後、軽く食べた。そういえば昨日は何も食べてなかったと思い出し、又しても今頃気が付いたとちょっと反省した。そうしてる間に来たみたいで、また隣の部屋に移動する事になった。
「あれ、こっちに来るんじゃないんだ」
「うーん、あの部屋はちょうど中間かな? 邪魔が入らないから、あそこになったんだ」
「? そうなんだ」
よくわからないが、そういう事らしい。
車椅子に乗せられて移動すると黒スーツの人達が眼光鋭く僕達を見ていたが、問題ないと判断されたようで通してくれた。さっきの黒スーツの一人はドアに張り付いている。映画かドラマの中でしか見た事無いSPみたいだ。なんだか緊張して来たみたいで手に汗が出て来た。




