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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
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41 自覚

 ◯ 41 自覚


「あれ、アキ、もう来たんだ」


 レイが僕達を見つけた途端に言った。隣でサレーナさんがゆっくりお辞儀をして下がった。


「あらまあ、お帰りなさい」


 とレイの隣に居たメレディーナさんが迎えてくれた。また何か話し合ってたようだ。


「早かったね。まだゆっくりしてて良かったのに」


 あれ、呼ばれたんじゃなかったのかな。


 [ただいま。急がなくてよかったの? 体がここに届いたって聞いたから帰って来たんだけど]


 僕は二人に聞いた。


「ええ、まだマシュディリー様が調整中ですのよ」


 その名前を聞いてビクッと反応してしまったが仕方ないだろう。マシュディリィさんもどうやらこっちに来ているらしい。


 [調整中?]


 なんだろう。よくわからないが、そうらしい。


「うん、なんか瘴気は全部取り除いたんだけど、中々消えない瘴気跡を霊泉で消してるところだよ。それと後で霊魂との繋がりも少し見たいそうだから、どのみちこないと出来ないし、ちょっと早かったくらいだよ、気にしないで」


 レイを見ると僕の顔色を気にしたのか説明してくれた。


「ええ、ここの霊泉の力があの瘴気を一番浄化てくれるみたいで、何やらされてますわ。こちらでアキ様のお体の調節もするとマシュディリィ様から伺いました。ですのでもう少しお時間が掛かるようですわ。良ければこちらで何か飲み物でもご用意しますので、もう少し寛いでいて下さい」


 メレディーナさんも不安げな僕の心情を察してか気を使ってくれる。レイと目配せをしながら二人はこっちに笑顔を見せた。


 [あ、はい、ありがとうございます。気を使って貰ってすいません]


「まあ、謝らなくても良いのですよ。しっかりと治すのが大事ですもの」


 [は、はい]


 メレディーナさんに手を握られそう言われると頭に血が上って、後はなんだか良く分からないうちにソファに座っていた。その後、意識がハッキリしたところでサレーナさんが暖かい飲み物を持って来てくれて、それを飲みつつこれまでの事をメモしていた。メレディーナさんに頼まれた感想の為に、少し頭を整理したかったからだ。


 [みんな忙しそうだな……]


 行き詰まったところで、ぼんやりとそんな事を言ったら、


「ええ、そのようですね。気になりますか?」


 と、後ろからサレーナさんが話しかけて来た。


 [ううん、みんな頑張ってるんだなって思って]


 サレーナさんも何か一仕事終ったようで、こっちに戻って見に来てくれたところだったらしい。一緒にソファで入れ直してくれた飲み物を飲みながら、話をした。


「感想は書けたのですか?」


「まだ少し纏めただけだよ、意外と難しくて」


 僕は耳の辺りを掻きながら誤摩化した。


「そうでしたか。余り難しく考えずに素直に思った事で大丈夫ですよ」


 [うん、ありがとう。……この飲み物って冷めないね。調度飲みやすい温度でずっと保たれてるし、不思議だね]


 ちょっと話題を逸らした。


「はい、こちらはカップに冷めないように魔法が掛けてあるんですよ」


 [え、魔法?]


 そうだったんだ、猫が喋ってる時点でファンタジーだとは思ってたけど、魔法もあったんだ。


「はい、そうです。アキ様は魔法は使われないんですか?」


 [う、うん使った事無いよ。地球では魔法とか無いから使えないんだ]


「まあ、そうなんですか。力を制限されてる世界なんでしょうか?」


 [えっと、どうなんだろう、そういえばそういう事を何も知らないかも。……呪いはあるって最近知ったけど、他はどうなってるんだろう]


 地球の事もよく分かってないな、そういえば。


「……私には他の世界の事は分からないですが、何か事情があるのでしょう」


 [うん、僕も自分が何も知らないって、分かった気がする]


「ではこれからですね」


 サレーナさんが微笑んで、元気付ける感じで言ってくれた。


 [そうだね、今から頑張るよ]


 僕は決意も新たに、握りこぶしをつくりながら言った。


「ええ、疑問に思った事を忘れずに、色々勉強して下さいね」


 アドバイスまで貰ってしまった。


 [ありがとう、サレーナさん]


 流石、神殿の女神様だ。頭が上がりそうにない。


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