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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
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39 神秘

 ◯ 39 神秘


 宴会が始まって一時間ぐらいした頃、霊泉がゆっくりと発光しはじめた。元々、月明かりの反射だけでも幻想的で綺麗だったのに更に明るく、オーロラの様に色を変えながら内側から光を発した姿は美しかった。この時は騒いでいた皆も霊泉に釘付けだった。しばらく光を発していた霊泉から、小さな金色がかった光の粒が空中に出ては泡の様に次々はじけ始めた。それが蒸気と相まって小さな丸虹が一瞬出来ては消えて、より一層に辺りを幻想的な景色に変えていった。時間も忘れて見とれてしまった。気が付くと現象は終っていて、元の月明かりの霊泉だった。


 [はあー……すごく綺麗だった]


 僕は感想もありきたりな事しか言えない自分でダメだなと思いつつ、ため息をついた。


「嬉しい、早速温泉に浸からないと……」


 と、宙翔のお姉さんの美寿(みこと)さんが興奮した様子で頬を抑えて言った。


「ええ、そうね。長く見なかったからね」


 女将さんも嬉しそうだ。


「姉ちゃん、よかったな」


 宙翔も嬉しそうにお姉さんに向かって言っている。僕の顔をみて、宙翔が疑問を教えてくれた。


「ああ、今日はいつもとちょっと違ってたんだ。丸い金の光があっただろ、あれは霊泉の美肌効果が上がる印で、長い間ずっと無くってな。まあ、滅多に無いんだけど、みんなどうしたんだろって言ってたんだ。姉ちゃんなんてずっと待ってたからな。今日あって本当良かったよ、アキも珍しいの観れたし」


 [へえ、じゃあ僕、ラッキーだったんだね]


 宙翔に笑いかけると


「そうだよ、ここに居てもあれは珍しいんだぞ」


 と、少し羨ましそうに言われた。


 [えへへ]


 ちょっと得したと思ってから、はたと気が付いた……美肌効果……メレディーナさん、レイがここに来るのは久しぶり……ハッ、仕舞ったかもしれない。もはや誤摩化しは効きそうにないことを悟った。急に黙った僕をみて、冷えたのか? と宙翔と美寿さんが心配してくれた。どうせだから温泉に浸かって暖まってから眠ろうと温泉に誘ってくれたので、皆で行く事になった。温泉に浸かって暖まった頃、僕もどうしようもないと腹をくくり、開き直る事にした。


 [暖まったら良くなって来たよ、心配かけてごめん]


「そうか? アキは治療で来てたんだな、大丈夫か?」


 [大丈夫だよ。これも温泉の効果かな]


「当然だよ、ここの温泉はメレディーナ様の癒しの力が入ってるんだ」


 [はー、ご利益だね]


「そうだ、ありがたい事だ。こうやってこの霊泉の神秘が預かれてるんだ、感謝だよ」


 とご主人が言った。


 [はい、そうですね……感謝しないと]


 僕は二人の顔を思い出しながら、こっそり心の中で感謝し、今頃でごめんねとついでに謝っておいた。


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