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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
ゆけむりのむこう
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32 同類

 ◯ 32 同類


 時を遡り、千皓の治療一日目が終った日。


「どうだった?」


 レイがメレディーナに聞いた。


「ええ、とても興味深いですわ。何か精神支配に近い呪いのパターンが見受けられました。ですが、何がしたかったのか……方向性がなく、だた言う事を聞かせるというにも少々足りない。中途半端な感じですね。アキ様の場合、精神系の呪いの方が特に効きが悪く出ているので、合わなかった事を考慮しても呪いとしては不十分ではないかと。……生命力を奪うだけでしたらここまでの偽装も必要を感じませんしね。これをご覧になって下さい」


 大きめの透明の円柱が空中に現れ、中に立体の千皓の姿に何やら模様が描かれた映像が重なって現れた。


「う、細かいなあ、ボク分かんないよ」


「ええ、大まかに説明しますと、これが呪いのパターンです。瘴気でここは吹き飛んでしまってますが、再現出来るだけやってみました」


 画面が何層かに分かれて説明に合わせて点滅しながら変わって行く。


「ここですね。……こうすると呪いのパターンが見えます。この辺りの精神を瘴気が触ったので幻覚が出やすいのかもしれませんね。それに長い期間の呪いで抵抗力が付いて耐性も上がってはいますが、それも変に偏っている為に複雑化してます。症状の現れにも出ておりますし、余りここは触らない方が良いかもしれません。長期にわたり刻まれてますから、弱い呪いだとしても取り除くのは容易ではありません。自然に消えるのを待つか、もしくはこうして、今ある呪い跡の経路を利用して……どうでしょう、かなり面白い事になりそうですよね」


 メレディーナが何やら画面を操作して画面を示した。


「いいね」


「これで支配ではなく自己暗示の方向に……治療にも使えますし」


「これだと、他からの暗示にもかかりやすいよね、おもちゃにされるのは嫌だな」


「それでしたら、こうすれば、暗示の受け入れが限定出来ますわ」


「ああ、なるほど。必要によっては外しても面白いかな?」


「まあ、いけませんわよ悪戯は」


「えー、言い出したのはメレディーナじゃないー」


「あらまあそうでしたかしら、おほほほ」


 メレディーナは口元に手を当てて笑った。


「これは……面白そうだね。いいね、これはこのまま残して、そうだこれも……どうかな?」


 レイの目が輝きだした。


「まあ、良いですわね、それでしたらアキ様の将来にもきっと良いかと……で、ここに、この別の経路を作って入れますと、これもまた少々面白い効果が……」


 メレディーナも乗ってきた。


「お体の方も少々合わせないと、こちらは実現しませんわ」


「それは任せて! マシュに言えばきっと嬉々としてやってくれるよ」


 良い事を思いついたとばかりに仲間の名前を呼んだ。変態と称していたが、自分たちも同じような事を考えている事には気が付いてなかった。


「まあ、マシュディリー様が? それはおもし……頼もしいですわ」


「この偽装もちゃちなのじゃなくて、しっかりしたのに変えて、全部作り替えちゃえ」


 勝手に変えてしまうつもり満々の、レイの発言も誰も疑問を抱かない。


「まあ、よろしいので?」


 メレディーナも言っている事とは裏腹に良い笑顔だ。


「いいさ、しばらくの間だけと思うし。弱ってる間は、呪いも掛かりやすいし、アキが自力で呪いに対抗出来るまで防衛の為にも仕方ないさ。早速、連絡を入れてみよう」


「ではそのようにさせて頂きますわ。うふふ、楽しみが増えましたわ」


 楽しそうに計画を進めるその場には、誰も自重を促す者がいなかったため、その後の悪戯を止めるすべはどこにも無かった。


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