28 女神達
ゆけむりのむこう
◯ 28 女神達
目が覚めたら、そこは天国かパラダイスかと言わんばかりの場所だった。なんだか、TVだとか、映画や本の中でしか見た事無いような大きな柱が並んでいて、なんとか神殿だとか大仰そうな名前がついていそうな雰囲気の建物が並んでて壮観な眺めだ。建物内には至る所に花が飾ってあり、少し甘い微かな香りで優しく包んでくれる。
そこに沢山の綺麗な人が、ギリシャ、ローマ辺りの神話の世界の衣装に近い感じのドレープの入った服を着て客人をもてなしていた。何故か女性の衣装がミニ丈が多くて目に眩しい。薄いひらひらの生地が、ふとした仕草で体のラインを感じさせて目のやり場に困る。
「いらしゃいませ。まあ、レイン様。ずいぶんご無沙汰で……心配してましたのよ」
「まあ本当、レイン様、ようこそいらっしゃいました。レイアも寂しゅうございましたのよ」
「酷いですわ、レイン様。アストリュー霊泉の事なんて、お忘れになったのかと噂してましたのよ? やっといらして下さってホッとしましたわ」
と、次々レイの所に女性達が集まってきて、もみくちゃにされている。レイってもてるんだ……。
奥からひと際、華やかな女性達がこちらに向かってきた。長い衣装を着ていて上品で落ち着いた感じの女性を中心に、後ろに何人か付き従っている。偉い人なんだろうか? レイに取り巻いていた女性達が並んで頭を下げた。
「お待ちしておりましたわ、レイン様。お変わりないようでホッと致しました。連絡を頂いたときには耳を疑いましたのよ、本当に長らく振りでしたもの」
中心にいた女性がレイに挨拶をした。
「やあ、メレディーナ。久しぶりだね、ずっと来てなくてごめんね? でも、しばらく通うから、多めに見てよ」
小首を傾げながら、笑顔でレイは言った。
「まあ、嬉しいことを。腕に撚りをかけて、もてなしさせて頂きますわ。存分にお楽しみ下さいませ」
メレディーナと呼ばれた女性は嬉しそうに微笑みながらお辞儀した。
「うん、それで頼んでたお守りの事も後で話をしたいから、空いてる時間を教えてね」
「まあ、レイン様の頼みならいつでも言って下されば、予定など空けますわ」
「そう? 嬉しいな、メレディーナじゃあ、案内してよ」
「ええ、勿論ですわ。早速、霊泉の方に? それとも休憩ですか?」
そう言いながら移動し始めたので、後ろをついて行く。
「うん、休憩かな、彼はここが初めてだからね」
「まあ、彼が……連絡のあった方ですの?」
こちらを微笑みながら見つめてくる女性に軽く会釈した。
「ああ、紹介がまだだったね、部屋に着いたら紹介するよ」
「分かりましたわ、よろしくお願いしますね。どうぞこちらへ」
[は、はい、こちらこそ、お、願いします]
女性にニッコリ微笑みながら挨拶され、ドギマギしながらも案内に付いて行った。




