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世界を繋ぐお仕事 〜非日常へ編〜  作者: na-ho
いきなりですか
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2 変身

 ◯ 2 変身


「あっ、えっと……あれっ? ええっ?」


 いきなりの展開にすっかり度肝を抜かれ、頭の中が ? マークで埋め尽くされてしまった。


「やあ、驚かせたね、ごめんね。まあ、ボクも驚いたけど、まさかこんな所で覚醒する人がいるなんて予想出来ないよ」


 うんうんと頷き、何か納得したような表情でこっちをじっと見つめてきた。その目は綺麗な碧だ。

 うわ、外人さんだ。金髪だ。本物って思ってたよりキラキラだ。天使の輪が出来てる。ガラス玉みたいに綺麗……こんな瞳、あるんだなどと珍しさから、思わずずれた事を考えて視ていると、


「いや、照れるなぁ。そんなに見つめられたらボク、恥ずかしいよ……」


 両頬に手をそえ、身を捩りながらそんな事をいわれた。


「はっ、ご、ごめん、そんなつもりじゃないんだ。その、近くでこんな綺麗な目を見た事無かったからつい、深い意味は無いから!」


 あわてて誤解を解こうと、顔の前で手のひらを振り否定したが、


「そんな〜 綺麗だなんて、こんな口説かれたらもうボク、ドキドキしちゃう!」


 なんて、顔を赤らめながらそんな台詞を言われた。


「口説く?! い、いや、その、そんなつもりじゃ……」


 あせって、うまく言葉が出ずに慌てふためいていたら、


「ふふ、まあ、冗談はこれくらいにしてキミの疑問にこたえようかな」


 と、今度はニッコリと笑って言われてしまった。


「うっ」


 からかわれたと分かって、今度は自分の顔が赤くなるのが分かった。うう、年下にからかわれるなんて、自分のコミュニケーション力が恨めしい……失言しない様にしなくては。


「まずは落ち着いて。ね、お茶でも飲もうよ。あ、ボクは レイン キュセラーム、呼び方はレイでいいよ。それから今更だけど、初めまして」


 レイがご機嫌な感じでお茶を渡して席を勧めて来たので、座って受け取った。乾いた喉を潤すため一口飲み、ふうーと息を吐いた。

 やっぱ、日本茶は落ち着くなあ。外人なのに日本茶選択とは変わってる。いや、流行ってるのかな? あ、違うか、気を使ってくれたのかも。意外といい子かも知れない。少し目線の低い彼に向かって、お礼を言う為に口を開いた。


「ありがとう。ちょっと落ち着いた。え、と、初めまして。僕は鮎川 千皓(あゆかわ ちあき)。アキって呼ばれてる、アキでいいよ 」


 からかわれた後でレイを見るのは、気まずさがあったがなんとか制し、自己紹介を済ました。


「うーん、そうだねー。何から話そうかな……まずアキ君、これまでの記憶は戻ってるよね?」


「うん、思い出したよ。っていうか、ええと、なんかこれって夢なのかな? こんなリアルな感触のある夢って見た事無いけど。あ、アキでいいよ」


 言いながら座った椅子や、テーブルの感覚がしっかりとあるのを確かめた。


「んん、夢じゃないよ。今はばっちり目が覚めてるし、妙な暗示もかかってないよ。アキの意識は覚醒状態だよ、というかこっちの暗示をキミは撥ね除けたんだよ。普通の人は無理なんだけどね。キミってば幼稚園児なみに癇癪起こして、プッツリ切れてたし。ぷぷっ」


 思い出し笑いでにやけた顔を向けられて、また顔が赤くなるのを感じた。


「う、レイ、み、てたの? ああっ、もうー、からかうのやめて〜」


 テーブルに突っ伏して顔を隠し、火照りが冷めるまでをやり過ごした。


「ふふ、可愛いなあ。これは是非、勧誘しなくちゃ。もう一杯、お茶飲む?」


「うん、貰うよ」


 お茶を飲んでると、指摘された失態を思い出し、なんだか急に座り心地が悪いような感覚になった。うう、年下に翻弄されてる場合じゃないのに情けない。こんなんじゃ可愛いと言われても反論出来ないよ。

 それにあれは、言われてみれば癇癪を起こした子供のようだったかも……。気持ちを切り替える為にお茶を飲み干し、ふと疑問に思った事を聞いてみた。


「ねえ、なんで癇癪起こしてるって分かったの? 僕、声に出してたっけ? あ、でも、あそこは声が出なかったはず……」


 そうだよ、声に出してたら恥ずかしすぎて暴れてしまいそう。と言うかもうこれ、夢落ちでいいよ。


「残念ながら、暴れても夢落ちにはならないよ」


 レイがにやりと笑い肩をすくめた。


「! ……僕の顔ってそんなに読みやすい?」


「鋭いんだか鈍いんだか、まあ確かに読みやすいと言えば読みやすいけど、ボクは心の声が聞こえるんだ。それに、年下じゃないし神格も持ってる超越者で、うーんとキミから言うと神様みたいな存在って言えばいいかな。一応キミもこっち側に今さっき、片足踏み出した訳だし。ボクとしては目の前で神格が芽生えそうな覚醒者が現れるなんて滅多にないものが見れて、感激でテンションが上がっちゃったよ」


 う、重度の中ニ病?!


「失礼な、中ニ病じゃないよ」


「うあっ! 本当に読まれてる!」


「そうだよ、信じてくれた? キミが話しやすいようにこの姿を選んだんだ。いやいや、この年特有の妄想だからじゃないよ、証拠に変わるよ」


 僕が思った端から返されて、目の前でレイの姿が霞んだ。向こう側が見える……ゆ、幽霊?! いや、光りだした。点滅してるよ! 光は人の形から小さな丸い形に変化し、光粒をまき散らしながら空中を滑るように動き出した。


「…………」


 口を開けたまま固まってしまった。


「おーい、アキ? 戻ってきてー、もしもしー、聞こえてる?」


 は、っと脳内フリーズ状態から戻ってくると、レイの覗き込んでくる顔がドアップで見え、軽く頬をた叩かれていた。姿が戻っている。


「……すごい」


 レイって幽霊だったんだ、あ、違うや、神様だっけ? なんだか、後光がさして見える?! ってまた光っちゃってるし! なんか、眩しい……。

 光が薄れたと思ったら知っている姿が目の前にあった。さっきの管理員の眼鏡のお姉さんだ。結構タイプ、なんだけど……。


「もっと褒めていいんだよ〜、ふははは、どうだ〜」


 ふんぞり返って自慢してるよ。なんか色々台無しな気が、キリッとしたお姉さんのイメージがぁあ!!

 脳内でイメージが塗り替えられる感覚と戦っていたら、また軽く光って、瞬きした瞬間には元の少年の姿に戻っていた。軽くどこかににダメージが入った気がするけど、まあ、大丈夫だ、多分。


「ごほん、いや、最近こんな事で誰も感動したりしないからさ、反応がちょっと新鮮というか、あー、うん、信じてもらえたかな。ボクは病気じゃないからね!」


 レイが、目を逸らしながらそんなことを言う。


 ん? 耳が赤くなってる。やっぱりちょっと調子こいたらしい。うん、あのふんぞり返った姿は冷静に考えたら恥ずかしい。追求はしないでおこう、自分にも覚えがあるし、見てたこっちまで思い出して恥ずかしいよ。う、ちょっと昔を思い出しただけでも背中あたりがもぞもぞする、うん、あれは封印だから!

 レイと目が合うとお互いうなずき闇へと葬り去る事にした。


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