22 誘拐
◯ 22 誘拐
「んあ? ……何か騒がしいなあ」
窓の外が騒がしい感じがする。こんな夜更けに誰だろう……。昼間、変な時間に寝てたから中々寝付けずにいたのだ。興味本位で窓に近づき覗くと誰かと目が合った気がした。
「え?」
まさか、ど、泥棒?! でも、様子がおかしい。誰かと争ってるみたいな……!
さっき目の合った人が軽々と二階の窓までジャンプし、窓枠に手をかけたと思ったら窓を蹴破って派手な音を鳴らしながら入ってきた。とっさに横に避けたが、転んでしまった。
「ハイ、お嬢ちゃん。こっち来て貰おうか」
言うが早いか拒否する暇もなく、あっさり腕をつかまれて担がれ、そのまま、窓の外にダイブされた。
「っ……!……!!っ!」
心配した着地の衝撃も軽やかにそのまま、どこかへと走り出した。遅れて二人が追いかけてくる。暗くてよく見えないし、走ってるせいで視線が上下に揺れて定まらない。……というかこんなに揺すぶられたら気持ち悪いし、吐きそうになってきた。
「うえっぷ」
片手で口元を押さえたがいつまで持つか分からない、切羽詰まってたら急に止まった。
「時間稼いでろ」
どうやら、仲間に声をかけてるらしい。適当に放り投げられ、尻餅をついた。その拍子にとうとう吐いてしまった。
「おえ〜うえ……っ……」
「げ、汚えな、ってお前、女じゃないのか。ち、はずれかよ」
公園の片隅から何やら引っ張りだしている。円状になった板の様な物でひと一人が乗れるくらいの大きさだ。それをいじっていたと思ったら、円の上に立体紋様が現れた……。嫌な予感がして男から離れようと僕は体の痛みを我慢しながら足を引きずって歩き出した。準備が終ったのか男が慌てて追いかけてきて、羽交い締めにされた。
「大人しくしてな」
さっきの所に引きずられながら、男がポケットから取り出したナイフを見せてきて脅された。この人達って……?
「おい、行くぞ、隆!」
もう一人に声をかけると、そいつが走ってきて円の上に飛び込む様に入ると、紋様と一緒に消えた。あれって何かの装置みたいだ。追いかけてたもう一人と目が合った。あ、伊奈さん兄だ。耳が無いと分かりにくかったけど、目で分かった。何かもう、何を驚いていいか分からなくなってきた。
「こっちは人質がいるんだ動くんじゃねえ……」
じりじりと、男が伊奈さんを睨みつけながら何かの装置の方へと動いて行く。また紋様が浮かび上がってきていた。伊奈さんも男に負けないくらい迫力の睨みで、同じ距離をとりながら隙をうかがっている。後一歩で円のなかに入る時、伊奈さんが動いた。
「ち、お前も来い、暴れんじゃねえ」
さっきから首が絞まってるから、ぐるじい……無理だし離して……。一瞬の浮遊間の後、真っ暗な場所へと投げ出された。急に息が出来るようになって咳き込み、その後少しの間、息を吸うたびに喉からヒューとか言う音がした。




