1 逸脱
初めまして。ページを開いて下さってありがとうございます。
誤字、脱字、アドバイス等ありましたらよろしくお願いします。
2014、12、2プロローグを差し込みました。
順次書き直していきます、終り次第続きに入ろうと思います。
◯ 1 逸脱
「はじめまして、異世界間管理員です」
スーツ姿の眼鏡をかけたお姉さんが、集まった人達に向かいニッコリ笑いながら挨拶した。ここは何処だろう……と、続きを考える暇もなくお姉さんは続けた。
「みなさんは、異世界へ召喚されました。帰る事は出来ません。行き先は皆さんの世界でいう剣と魔法の世界。今までいた世界とは違った理の世界になります。これより、これから向かう世界でのスキルを決めて頂きます。尚、元の世界でのスキルも持ち越せますので、それに合わせてスキルを決めて下さい。質問は受け付けません。召喚された事実を潔く受け入れてスキル決めを行なって下さい。ちなみにここでの記憶は残りません。では、始めて下さい」
突然、目の前に半透明の薄いボードが現れた。PCの画面だけみたいだ。
(うわっ、ビックリした。)
あれ? 声が出ない?
(あ、あーあー?!)
声を出そうとしていたら目の前のボードが、チカチカと点滅だした。見るとボードの真ん中に文字が出ていた。
ー スキルをスムーズに決めるために声は出ないようになってます。時間も無いのでこちらに集中して下さい ー
(はっ、はい)
画面がパッと変わって、そこに僕のステータスが書かれていた。
名前: チアキ アユカワ
性別: 男
年齢; 16
レベル: 3
生命力: 10
魔力: 20
筋力値: 3
知力値: 5
俊敏値: 3
耐性値: 6
器用値: 5
運: 2
スキル
家事1 歌唱1(呪)
ー あなたにお勧めのスキルです。あなたの場合は20ポイント分が選べます ー
と、書かれた下にずらりとスキルが並んでいた。しかし、正直よく分からないというか、まだ混乱して頭が働かなかった。
おちつけ、落ち着かなきゃ。こんな時は深呼吸だ、目を閉じるんだ。はあー、すうー、歌唱(呪)って何だ、いや、落ち着けー、はあー、でも(呪)って? 嫌、ダメだ。今は落ち着かなきゃ……吸ってー、吐いてー、頭を空っぽにするんだ……すうー……はあー……。
3分ぐらいして、おそるおそる目を開けもう一度スキルを見た。瞑想1が増えていた。
(ええっ?!)
こんな事で? 増えたよ。どうなってるんだ〜っ! 選んでも無いのにっ増えてるっ!! なんだっこれは?!
僕は頭を抱え、さらに異常な事態に動悸が激しくなってきた。するとまた画面が点滅し、見るとスキル画面ではなく文字が書かれていた。
ー 落ち着いて下さいっ、もう一度、瞑想をお勧めします ー
(ああっ、そ、そうします)
僕は助言に感謝しつつ、もう一度瞑想を始めたが、今度は思考が止まらずうまくいかなかった。
スキルを決めるってなんで? 異世界ってなんだ? レベルがあった……レベルってゲームとかの? でもゲームじゃないみたいだし何か違う、なんかモヤモヤする。
元の世界、僕のいた世界のスキル? いや、そもそも何でここにいるんだ? それが思い出せない、何か違う……おかしいよ! こんなこと嫌だ!! 違うって言ってる、なんか僕の中で反抗してる、心がついていってない、頭の中がグシャグシャで違う事が分かってるのにっ、あの数字は何なんだ?
ああ、落ち着かなきゃならないのにっ! どうして何を基準にあんな数字になって、どうして数字なんだ、ステータス? 僕は、そんなの決められたくない、嫌なんだ評価されるのは……価値を勝手に決めないでっ! 世界に決められるのか? 逃れられないのか? ああ、この疑問はどこから?
あああっ、そうだ、決めるのは僕だ自分の存在を決めるのは自分だって、自分がどうありたいかは自分で決めたいんだ、いきなりどこに行くって言うんだ? こんな訳の分からない事を何で押し付けられなきゃいけないんだ! 嫌だ! い・や・だっ!! な・ん・な・ん・だ!! も・う・っ!!!
パシッと何かがはじけるような感覚の後、頭の中にあった霞が晴れるように記憶が戻って来た。目を開けるとボードが無くなっていて、替わりに椅子とテーブルがあり、金髪の少年が対面の椅子に座ってこっちを見ていた。